水瀬いのりが5月23日に2ndアルバム「BLUE COMPASS」を発売した。1stアルバム「Innocent flower」から約1年ぶりのリリースとなる本作には、昨年12月の初のワンマンライブなどを経て成長した、彼女の新たな表情が垣間見える全12曲が収録されている。
音楽ナタリーでは水瀬にインタビューを実施し、アルバムの収録曲や、6月より全4会場で行われる初のライブツアー「Inori Minase LIVE TOUR 2018 BLUE COMPASS」に対する思いなどを語ってもらった。
取材・文 / 近藤隼人
ワンマンは想像以上のものが返ってくる場所
──昨年4月に1stアルバム「Innocent flower」が発売されてから約1年が経って、アーティストとしても声優としても多くの活動をされてきましたが、何か印象に残っていることはありますか?
アーティストとしては22歳の誕生日である去年の12月2日に、東京国際フォーラム ホールAで初のワンマンライブを行ったことが大きな出来事でした。アーティストデビューしてからちょうど2年後に開催した、満を持しての1stワンマンだったのでファンの皆さんとの絆を感じることができて。ライブの楽しさを改めて知ることができました。
──1年前のインタビューではライブについて、「冷静でいながらも楽しむ感覚を徐々につかんでいる最中」と語っていましたね(参照:水瀬いのり「Innocent flower」インタビュー)。
そのときはまだフェスなどでのライブしか経験していなくて、ワンマンライブをやってみて新しく知ることがたくさんありました。大変でしたがすごく楽しくて、自分の想像以上のものが返ってくる場所でしたね。
──ファンの方もワンマンライブを待ち望んでいたと思います。お客さんの反応はいかがでしたか?
皆さんからの熱い思いを感じて、「本当に心待ちにしてくれていたんだ」とうれしくなりました。ワンマンライブはデビュー曲「夢のつぼみ」で始まって、新曲も歌って、それまでの私の集大成を見ていただける空間だったのではないでしょうか。ファンになってくださったタイミングは皆さんそれぞれだと思いますが、みんなで同じ日に同じ場所にいて、“アーティスト水瀬いのり”としての新しい歴史を作ることができたと思います。
──ワンマンライブで何か苦労したことはありました?
緊張も不安もあって、基本的にはすべてのことが大変でした。アニメのアフレコ現場でもライブのことが頭から離れなくなることがあって、12月2日が近付くにつれて、アーティストと声優の活動を両立させることの大変さを感じました。スタッフさんに用意していただいた、ライブのセットリスト順の歌詞カードが入ったクリアファイルを常にバッグに入れて、よく間違える部分にペンで線を引いて。試験に向けて勉強するような感覚がありました。
──そういった苦労を経て、ライブで得たものはありましたか?
ステージでは頭で考えることがすべてじゃないと知りました。度胸を試される場所であり、ときには思い切りのよさや勢いが必要で。でも、ただ単にがむしゃらになるのではなく、ちゃんと計算してペース配分もしながらライブを組み立てていかなきゃいけないんだなとも感じました。次のワンマンライブに向けての覚悟も芽生えましたね。
「アニサマ」は緊張感があるステージ
──昨年8月には「Animelo Summer Live」に初出演しましたね(参照:「アニサマ」2日目、キンプリ×DJ KOOに氷川きよしサプライズ登場 / 「アニサマ」大トリは“クイーン”水樹奈々、2018年もSSAで3DAYS開催)。
3日間のうち、2日目と3日目に出演させていただいて。2日目にはアニメ「キラキラ☆プリキュアアラモード」の主題歌歌手と声優陣で構成されたチームで、3日目にはソロとしてステージに立ちました。初めての「アニサマ」にチームとして出られたことで安心感がありましたし、翌日のソロに向けての活力にもなりました。
──「アニサマ」の会場の雰囲気や、お客さんの熱気についてはどう感じました?
すごく熱かったです。会場がとても広くて、当然ですがお客さん全員が私のファンというわけではないので、緊張感があるステージでした。でも、それがフェスの醍醐味ですし、私のことを知らなかった方にも気になってもらえたらと思いながら歌いました。
──ライブ活動などが増えて、以前よりアーティスト活動が忙しくなったと思うのですが、声優業とバランスの取り方について、何か意識して変えたところはありますか?
大きく変えたことはなかったんですが、やっぱり必然的にアーティスト活動について考える時間が多くなりました。ですが、そのぶん周りの方がケアをしてくれて、私がいっぱいいっぱいにならないようにスケジュールを組んで、1つひとつの仕事にちゃんと向き合えるような時間を作ってくれました。皆さんが私に大きな変化を与えないように支えてくれているおかげで、アーティストと声優どちらの活動もぶれることなくこなせています。
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ツアーへの架け橋になるアルバム
- 水瀬いのり「BLUE COMPASS」
- 2018年5月23日発売 / KING RECORDS
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初回限定盤 [CD+Blu-ray]
3888円 / KICS-93710 -
通常盤 [CD]
3240円 / KICS-3710
- CD収録曲
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- ハートノイロ
[作詞・作曲:Haggy Rock / 編曲:白戸佑輔] - Ready Steady Go!
[作詞:藤林聖子 / 作曲・編曲:藤永龍太郎(Elements Garden)] - identity
[作詞:松原さらり / 作曲・編曲:南田健吾] - Shoo-Bee-Doo-Wap-Wap!
[作詞:藤林聖子 / 作曲・編曲:山下洋介] - シネマチックダイアリー
[作詞:松井洋平 / 作曲:石田秀登 / 編曲:EFFY] - アイマイモコ
[作詞・作曲:Haggy Rock / 編曲:白戸佑輔] - これからも。
[作詞:磯谷佳江 / 作曲:小野貴光 / 編曲:玉木千尋] - アルペジオ
[作詞・作曲・編曲:山﨑佳祐] - Million Futures
[作詞:RUCCA / 作曲・編曲:藤間仁(Elements Garden)] - 三月と群青
[作詞・作曲・編曲:藤永龍太郎(Elements Garden)] - Sweet Melody
[作詞:大滝美乃莉 / 作曲・編曲:長橋健一] - BLUE COMPASS
[作詞:岩里祐穂 / 作曲:上松範康(Elements Garden) / 編曲:藤間仁(Elements Garden)]
- ハートノイロ
- 初回限定盤Blu-ray収録内容
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- アイマイモコ(MUSIC VIDEO)
- Ready Steady Go!(MUSIC VIDEO)
- Million Futures(MUSIC VIDEO)
- 水瀬いのり「Inori Minase LIVE TOUR 2018 BLUE COMPASS」
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- 2018年6月9日(土)
- 愛知県 アイプラザ豊橋
- 2018年6月17日(日)
- 石川県 本多の森ホール
- 2018年6月24日(日)
- 兵庫県 神戸国際会館
- 2018年7月1日(日)
- 千葉県 幕張メッセ国際展示場イベントホール
- 水瀬いのり(ミナセイノリ)
- 1995年東京都生まれの声優、アーティスト。2010年にアニメ「世紀末オカルト学院」で声優デビューを果たした。2013年に「恋愛ラボ」で棚橋鈴音の声を担当し、注目を集める。同年にはNHKの連続テレビ小説「あまちゃん」で成田りな役を務め、「第64回NHK紅白歌合戦」に「GMTスペシャルユニット feat.アメ横女学園芸能コース」の一員として出演した。2015年12月の20歳の誕生日にキングレコードよりシングル「夢のつぼみ」をリリースし、ソロ歌手としてデビュー。以降、声優および歌手として活躍し、2016年には「第十回声優アワード」主演女優賞を受賞した。2017年4月に1stアルバム「Innocent flower」を発表。22歳の誕生日である同年12月2日に東京・東京国際フォーラム ホールAで初のソロライブ「水瀬いのり 1st LIVE Ready Steady Go!」を開催した。2018年5月23日に2ndアルバム「BLUE COMPASS」をリリースし、6月からは初のライブツアー「Inori Minase LIVE TOUR 2018 BLUE COMPASS」を行う。