水瀬いのり×カノエラナ|アニメ「アクロトリップ」主題歌で深まる2人の縁 (3/3)

ペンを持ちつつ、頭の中でアニメの映像を流してる

──アニメがスタートした時点とエンディングを迎えたあと、改めてこの2曲を聴くと歌詞の響き方や意味合いが違ってきそうですね。

カノエ 確かにそうかもしれない。

水瀬 登場するキャラクターがどんどん増えていくし、最初から出ているキャラクターの秘密も明かされていくので「この言葉ってこのキャラにも当てはまるじゃん」みたいな発見が物語が進むにつれて出てくると思います。

水瀬いのり

水瀬いのり

カノエ 最終話でようやく「おおっ、ここがこうなるんだ!」って伏線を回収できると思いますし、オープニングもエンディングについてもたぶんそういう発見があるんじゃないかなと。私はアニメのテーマソングを手がける際、楽曲に合わせてキャラクターがどういうふうに動くんだろうと想像するのが本当に楽しくて。絵コンテを動かすような感覚でアコースティックギターを抱えて、作詞の際にはペンを持ちつつ、頭の中でアニメの映像を流して「もしかしたらここでキャラクターが飛ぶかもしれない」とか想像しながら曲を作っています。

──カノエさんはここ数作、アニメのタイアップが続いていますが、ずっとやりたかったことがやれているという手応えが大きいんじゃないでしょうか?

カノエ そうですね。私の音楽活動はアニメのオープニング主題歌やエンディング主題歌を歌いたいという気持ちから始まっているので、時間はかかりましたが最近はたくさんアニソンを歌わせていただいていることが本当にうれしくて。加えて、私はシンガーソングライターなので、そのときどきの気持ちがいろいろ曲にも表れているだろうし、同時にめちゃくちゃ飽き性でありハマり性でもあるので、一度目を離すと全然違う人になっているような、そういう曲の作り方をし続けてきたと思います。そういう意味では、ちゃんとアニメの世界観にハマる曲を作りつつも自分自身を忘れないようにしたくて。それは「リバーシブルベイベー」でも表現できていると思うし、ここまで好き放題に楽しみながら制作できる環境にいられることはとても恵まれていると思っています。

水瀬いのりとカノエラナの共通点

──ここからはお二人の共通点について語り合っていただければと思います。水瀬さんもカノエさんも同じ1995年生まれなんですよね。

水瀬 しかも誕生日が2日違いなんです(水瀬は12月2日、カノエは12月4日)。

カノエ そうなんですよね。しかも、それプラス……人見知り?

水瀬 あ、そうです。

カノエ 私もなんです(笑)。で、さっき撮影で並んだときに、どうやら身長も同じくらいかもしれないということに気付いて。

左から水瀬いのり、カノエラナ。

左から水瀬いのり、カノエラナ。

水瀬 うんうん。あと先ほどお話したときに、好きなものを好きだと言えること……決してそれはアピールではなくて、身にまとうものとかファッションやメイクに自分の“好き”がしっかりあるんだなっていうところも一緒だとわかって。人見知りっておっしゃっているけど、自分というものをしっかり表現されていて、それはすごいことだなと思いました。私は周りに擬態して溶け込んでいくスタイルなので(笑)、好きだと誇れるもの、アイコンになるような特徴を持っていることはすごく素敵だと思いますし、それが本人にちゃんと似合っているのがすごいです。「私めっちゃ地味だな」って、改めて思っちゃいました(笑)。

カノエ そんなことないです!

水瀬 いやいや。自分を隠すことなく、ちゃんと“好き”を謳歌している姿が私にはとても魅力的に見えました。

カノエ 武装なんですよ、これ。化粧を濃くしたりピアスをたくさん開けてみたり、爪をギラギラにしたり原色の服を着たりするのは全部私の中では武装。私、街を歩いていてもティッシュを配ってもらえないんですよ(笑)。道も聞かれないし。自分自身も話しかけてほしいわけではないので、そこを利用するというか「いろいろまとっているので、タッチしないでください」っていうカバーを自分にかけて守っているタイプの人見知りかもしれないです。

水瀬 私はシンプルに気付かれず、忘れ去られるポジションですね。飲食店でオーダーが通らない不幸系というか(笑)。

カノエ 私も幸運値がすごく低いのでわかります。

水瀬 そうなんですね。

カノエ 共通点ありましたね。幸運が足りないです(笑)。

水瀬 あと、私もアニメが大好きで、根がオタク気質なんです。アニメだけじゃないですけど、好きなものに対する熱量のかけ方がけっこうシンクロしている気はしますね。

カノエ あとは、おしゃべりのトーンやタイミングも、もしかしたら合っているのかもしれない。

水瀬 テンション感とか。

カノエ 急ぎすぎず、のんびりもしすぎずっていう。

水瀬 確かにそこも似ていますね。

左から水瀬いのり、カノエラナ。

左から水瀬いのり、カノエラナ。

──そのほか、カノエさんが初のオールセルフプロデュース盤(ライブ会場限定CD)「ぼっち。」をリリースしたのが2015年12月4日で、水瀬さんがデビューシングル「夢のつぼみ」をリリースしたのが2015年12月2日。それぞれ20歳の誕生日に記念すべき作品を発表しているんです。

水瀬 えーっ。

カノエ 実はそうなんです。共通点いっぱいありますね。

水瀬 お互い来年で10周年なんですね。

──そんなお二人のコラボレーションがこのタイミングで実現したわけですが、この1回きりと言わず、今後も何かしらの形で共演されることを期待しています。

水瀬 そうですよね。せっかくレーベルメイトなので、一緒に歌える機会があったらうれしいし。

カノエ カーッ!(興奮した表情で擬音を放つ)

水瀬 言葉になってない(笑)。

カノエ これじゃあ文字にできないですよね(笑)。

水瀬 カノエさんのステージを拝見したら、歌唱中とMCのときとのギャップが本当に素晴らしくて。同じステージに立って、それを横で体験してみたいです。「あ、カノエさんが歌モードになった」とか。

カノエ それをわかられてしまうのも恥ずかしいですね(笑)。歌うときくらいはナヨナヨせずにって思いながらやり切っています。

カノエラナ

カノエラナ

水瀬 ここまで振り幅を出せるのってやっぱりすごいですよ。普段から頭の中にそういう操縦士がいるんでしょうね。

カノエ 司令塔から小さい私が「今から歌です」ってカンペを出しているのかもしれない(笑)。

──ライブ以外だと、例えばカノエさんが水瀬さんに楽曲提供するというのも面白そうですよね。

カノエ えーっ、いいんですか?(笑) 私、いのりさんがめっちゃクールなお声でクールな曲を歌われるときに「おーっ、ヤベーっ!」ってなるんですよ。なので、カッコいい系がいいかなあ。

水瀬 タイアップとか関係なしに、そういう曲も書いてもらえたらうれしいです。

カノエ 今日もここに来るまで、ずっといのりさんの曲を聴いていて。「クータスタ」(シングル「アイオライト」収録曲)を聴いて「おお、左右で暴れておる!」とか思いながら、電車の中で揺られていました(笑)。あとは、「八月のスーベニア」(アルバム「glow」収録曲)とかアコースティック調で弾き語りができるような曲もいのりさんに合うんじゃないかなと。

水瀬 えーっ、今すぐにでも作っていただきたい!

カノエ いろいろ妄想しちゃいますね(笑)。

水瀬 最近は「スクラップアート」や「アイオライト」などわりとクールめなシングル曲が続いていて、「低い声もいいですね」と褒めていただくことが増えているんです。「じゃあ、もうちょっとカッコつけてみようかな?」と思っていたところなので、そういうアプローチの曲にはぜひ挑戦してみたいです。普通に頼んでいいことなのかわからないですけど、そんなことがあったらいいなあ。

カノエ あったらいいですねー。

──お二人ともレーベルのスタッフに目線を送っていますが(笑)、ここに文字として残しておきます。

水瀬カノエ ぜひお願いします!(笑)

左から水瀬いのり、カノエラナ。

左から水瀬いのり、カノエラナ。

水瀬いのり 公演情報

Inori Minase LIVE TOUR 2024 heart bookmark

  • 2024年9月15日(日)兵庫県 ワールド記念ホール
  • 2024年9月21日(土)広島県 上野学園ホール
  • 2024年10月5日(土)愛知県 名古屋国際会議場 センチュリーホール
  • 2024年10月12日(土)福岡県 福岡サンパレス ホテル&ホール
  • 2024年10月19日(土)北海道 カナモトホール(札幌市民ホール)
  • 2024年11月2日(土)千葉県 LaLa arena TOKYO-BAY
  • 2024年11月3日(日・祝)千葉県 LaLa arena TOKYO-BAY

カノエラナ 公演情報

カノエラナ 5th Single「イロドリ」リリース記念ツアー2024「KARAfull」

  • 2024年9月6日(金)愛知県 CLUB UPSET
  • 2024年9月7日(土)大阪府 soma
  • 2024年9月12日(木)神奈川県 Yokohama mint hall
  • 2024年9月15日(日)岩手県 Club Change WAVE
  • 2024年9月16日(月・祝)福島県 LIVE STAGE PEAK ACTION
  • 2024年9月21日(土)福岡県 ROOMS
  • 2024年9月22日(日・祝)鹿児島県 SR HALL
  • 2024年9月28日(土)京都府 Someno Kyoto
  • 2024年9月29日(日)広島県 SIX ONE Live MOON
  • 2024年10月6日(日)東京都 渋谷Star Lounge

プロフィール

水瀬いのり(ミナセイノリ)

1995年、東京都生まれ。2010年にアニメ「世紀末オカルト学院」で声優デビュー。2013年に「恋愛ラボ」で棚橋鈴音の声を担当し、注目を浴びる。2015年12月の20歳の誕生日にキングレコードよりシングル「夢のつぼみ」をリリースし、ソロアーティストとしてデビューする。以降、声優および歌手として活躍しており、2016年には「第十回声優アワード」主演女優賞を受賞した。2019年6月に東京・日本武道館で2DAYS公演、2021年10月には神奈川・横浜アリーナで全国ツアーのファイナル公演を開催。2022年7月にアルバム「glow」、2024年8月に「heart bookmark」と題した“オリジナルハーフアルバム”をリリースした。

カノエラナ

1995年生まれ、佐賀県出身の女性シンガーソングライター。2015年4月にTwitterに弾き語りのショート動画を上げるようになったことをきっかけに人気に火が付き、ライブ動員を徐々に増やしていった。2015年7月インディーズデビュー、2016年8月にメジャーデビューを果たし、2018年2月に1stフルアルバム「『キョウカイセン』」をリリース。2020年4月にはアニソンカバーアルバム「『尊い』~解き放たれし二次元歌集~』」、2021年9月には全曲の作詞作曲、アレンジを自身で手がけたコンセプトアルバム「昼想夜夢」を発表した。無類のアニメ好きで、近年は多くのアニメ作品のタイアップ曲を手がけている。2024年10月にはアニメ「アクロトリップ」のエンディング主題歌「リバーシブルベイベー」をシングルリリースする。