音楽ナタリー Power Push - 三森すずこ
みもりんが語る「Light for Knight」みもりんが振り返る「Fun! Fun! Fantasic Funfair」
三森すずこの考える“踊ること”の意味
ブラスをフィーチャーしたスカパンク「純情 Da DanDan」ではタキシード姿のダンサー陣とともにハットや椅子やステッキを使ったラインダンスを繰り広げ、そのダンサー陣がアップリフティングなジャイブに乗せてダンスソロで魅せたのちには、白のドレスシャツにペールグリーンのロングスカートへとまたもお色直しし、フロートに乗り込み客席中央へと進出。超至近距離でストレートなロックチューン「ROLLER COASTER♡」を熱唱してミモリアンを沸かせたかと思えば、レーザー光が飛び交うステージに戻ると、メタリックなジャンプスーツ姿のダンサーたちと80年代テクノポップを思わせる「Traveling Kit」でロボットダンスを披露した。
あのダンサーさんたちのダンスタイム、カッコよかったですよねえ。あとハットとステッキを使ったラインダンスは絶対やりたかったので「純情 Da DanDan」はすごく楽しかったです(笑)。
──ここで聞きたいのが、その三森さんのダンス観についてなんです。というのもラインダンスを見せつつ「純情 Da DanDan」を歌う三森さんを観て、その直後にジャイブナンバーを聴かされたことで、スカパンクナンバーである「純情 Da DanDan」の聴こえ方が変わったんですよ。
聴こえ方ですか?
──もともとかわいらしい曲だな、と思っていたんですけど、あのタキシードで踊るオフブロードウェイっぽい演出のおかげで「あっ、スカってある意味ジャイブと同じ。古き良きルードボーイ、粋な不良の音楽だよな」って再確認させられたというか。それは「Traveling Kit」もそうで。ジャンプスーツのダンサーさんたちと無機質なロボットダンスを踊ったことで、あの曲の持つ1980年代テクノポップ感、シンセの音や乾いたドラムの音がより強調されていた。
そう観ていただけるとうれしいですね。基本的にダンスは振り付けの先生が作ってくださるんですけど、振り付けをいただいたあと「このリズムを立たせたいからこう踊りたい」とか「こう踊るとこの音が強調されるはず」とか「ここは歌を聴かせたいからダンスをちょっと抑えよう」っていうオーダーを出すことも少なくないので。
──「優しいバラードだから声を張らない」みたいなことと同じように、「この曲をこう聴かせたいからこう踊る」という明確な意図があって踊っている、と。
これもミュージカル出身だから特にそうなのかもしれないんですけど、ステージにおいてはダンスは単なる“振り”ではなくて、声や楽器と同じように、音楽を構成する大事な要素の1つだと思ってるんです。
観てもらいたいのは“空間そのもの”
その後三森は「せいいっぱい、つたえたい!」ではピンクの開襟シャツに白のロングスカートという50'sスタイルのダンサーとメリーゴーラウンドを楽しみ、雷鳴轟く中、始まった「Heart Collection」では、ゴシッキーなドレス姿に再々お色直し。なんとも不気味な洋館を映し出す透過型スクリーンの奥にしつらえられたアンティークチェアに腰掛けて、妖艶にこの曲を歌い上げる。
──「Heart Collection」の演出って「三森すずこがライブで見せたいものとは?」という謎かけになっていた気がしたんです。ソファの前に透過型スクリーンが張られたから、我々から見えたのは踊る三森さんのシルエットだけ。だから「あれっ、三森さんは三森さんを観てもらわなくてもいいのかな?」って。
確かにそういう面はありますね。ライブで観てもらいたいのは空間すべてというか。私と8人のダンサーさんがいて、ときにはメリーゴーラウンドが出てきたり、ときにはスクリーンに映像が映されたり、照明が客席を照らしたりする空間そのものを楽しんでもらいたいんです。
──歌い踊る三森さんだけにスポットが当たるステージにはしたくない?
「ハーモニア」みたいなバラードのときは私を観てほしいとは思いますけど、それもある意味「Heart Collection」の演出と同じ。「歌い手が1人ステージでバラードを歌っている空間」を楽しんでもらいたいからなので。私自身、ミュージカルやショーを観に行ったとき、セットがすごく気になることがあるし、そういうときってお芝居や歌も楽しめるし、しかもセットも楽しめるから、いつもよりお得な気持ちになれるんですよ(笑)。だから私のライブもとにかくいろんな角度から楽しめるステージ、一瞬も飽きさせないステージにしたくて。もし私を観るのに飽きちゃっても(笑)、ダンサーさんや映像や照明を観ることで楽しんでもらえるのであれば、それはやっぱりいいステージだと思いますし、そういうステージを作れればより間口が広がるとも思ってて。視覚的に何か変化があることって誰にとっても楽しいことだから、たとえ私の曲を1曲も知らない方にも楽しんでもらえるんじゃないかって。
──となると三森さんにとってお客さんっていうのは、まさに“観客”。ステージを“観”るお“客”さんであって、一体となってライブを盛り上げる“参加者”や“クラウド”ではない?
「空間を楽しんでもらうこと」と「三森すずこのライブを一緒に作り上げること」のバランスについてはいつも考えてます。やっぱりお客さんの多くは“三森すずこ”の楽曲が好きだから「三森すずこライブ」という名前のステージを観に来てくださるわけだし、私自身みんなと盛り上がりたいと思ってますから。「ROLLER COASTER♡」でトロッコに乗って客席に行ったのもそうだし、あと映像を見せたい「Heart Collection」の前には「幽霊に見つかっちゃうから雷が鳴ったらペンライトを消してね」ってお客さんと約束したんですけど、それも「どうやったらみんなと一緒に楽しめるだろう?」って考えた末の演出なんです。
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- ニューシングル「Light for Knight」2015年10月21日発売 / ポニーキャニオン
- 初回限定盤[CD+DVD+ブックレット]1820円 / PCCG-01491
- 通常盤 [CD]1350円 / PCCG-70203
CD収録曲
- Light for Knight
- スマイリウム
- Light for Knight[Instrumental]
- スマイリウム[Instrumental]
初回限定盤DVD収録内容
- 「Light for Knight」MV
- 「Light for Knight」MVオフショット
- 「Light for Knight」MVメイキング
- DVD / Blu-ray「Mimori Suzuko LIVE 2015『Fun! Fun! Fantasic Funfair!』」2015年11月25日発売 / ポニーキャニオン
- Mimori Suzuko LIVE 2015『Fun! Fun! Fantasic Funfair!』
- Blu-ray Disc 8424円 / PCXP-50358
- DVD 7344円 / PCBP-52384
収録内容
本編映像
- Fantasic Funfair
- ときめいてDream
- 純情 Da DanDan
- ROLLER COASTER♡
- Traveling Kit
- せいいっぱい、つたえたい!
- Heart Collection
- Spinning Stars
- ハーモニア
- ちいさな手と観覧車
- Wonderland Love
<アンコール>
- 夢見る!信じる!未来叶えて!
- みんなでイエー☆オーッ!!
- ユニバーページ
特典映像
6月27日公演アンコール
- 会いたいよ…会いたいよ!
- グローリー!
- ユニバーページ
7月11日公演アンコール
- グローリー!
- みんなでイエー☆オーッ!!
- ユニバーページ
- DANCE SHOT COMMENTARY
- MAKING of『Fun! Fun! Fantasic Funfair!』
三森すずこ(ミモリスズコ)
東京都生まれの声優、ボーカリスト。ミュージカル女優として活動したのち、2010年アニメ「探偵オペラ ミルキィホームズ」のシャーロック・シェリンフォード役で声優デビュー。以来同シリーズや「神様はじめました」「ラブライブ!」など人気作で主要キャラクターを演じる。また2010年には「ミルキィホームズ」の出演声優からなる同名ユニットとしてCDデビューを果たし、以降「Animelo Summer Live」に毎年連続出演。さらに「ラブライブ!」の劇中ユニットμ’sの一員として2014年にさいたまスーパーアリーナで2DAYS公演を行うなど、活発な音楽活動を展開する。そして2013年4月にはシングル「会いたいよ…会いたいよ!」でソロデビューし、同7月には2ndシングル「約束してよ?一緒だよ!」、10月には初のアニメ主題歌となる「ユニバーページ」を三森すずこ名義でリリース。また2014年4月には1stアルバム「好きっ」を、翌年4月には1年ぶりの2ndアルバム「Fantasic Funfair」を発売している。そして2015年10月には1年2カ月ぶり、5枚目のシングル「Light for Knight」をリリース。また翌11月には、6~7月に千葉・舞浜アンフィシアターで行った「Fantasic Funfair」リリース記念ライブの模様を追ったライブDVD / Blu-ray「Fun! Fun! Fantasic Funfair」を発売する。