音楽ナタリー PowerPush - 三森すずこ
ラブリーでワンダーな移動式遊園地 “三森ファンタジーランド”にようこそ
思うままに作ってもらえば大丈夫
──だから「ちいさな手と観覧車」と「Wonderland Love」を聴いて「三森さんは遊園地にイヤな思い出があるのかな?」って思ったんですよ(笑)。「『ハーモニア』で告白に成功したなら、そのままハッピーエンドでいいじゃん」って。
あはははは(笑)。もちろんハッピーエンドも大好きなんですけど、最後の最後に「あれっ!? じゃああのときのあれはなんだったんだ?」みたいな余韻があったり、ゾクっとしたりする小説や映画も好きなんです。今回は「ファンタジー」をコンセプトにしたかったっていうのもあって、特にミステリアスでちょっと思わせぶりなエンディングにしてみたかったんですよね。
──そのストーリーラインやアルバム全体のコンセプトについて、渡辺翔さんやkzさん、それから畑亜貴さん、太田雅友さん、ふわりPさん、俊龍さんといったクリエイター陣とはどういう打ち合わせを?
kzさんにざっくりとお願いしたように、皆さんには楽曲のテイストや方向性、あとはイメージしているアトラクションについてある程度お話させてはもらいましたけど「○○な状態にいる△△な女の子の××な気持ちを書いてください」みたいな、細かいお願いはしてないですね。
──それはなぜ?
作家さんごとに作風が違うので。細かく設定を固めた1つの大きなストーリーを場面ごとに11個に分割して、皆さんに「それぞれの場面についての楽曲を書いてください」ってお願いすると、逆に作風の違いが気になっちゃうと思ったんです。細かく設定まで決められた1つのストーリーが進んでるはずなのに、場面ごとに色合いがズレると、聴いている人はそのズレが気になって移動式遊園地の世界に入り込めなくなっちゃうというか。だから作家さんたちには「遊園地デートで乗るローラーコースター」とか「2人で撮るスナップ写真」とか「2人で入るお化け屋敷」みたいな感じで、ふんわりとしたモチーフだけお伝えすることにしました。
──でもそういう作り方だとコンセプトアルバムと銘打っておきながら、まったくコンセプトから外れた曲が集まる恐れもありますよね。
そこは作家さんたちへの信頼がありますから。例えば以前kzさんとコラボさせていただいた曲(livetune adding 三森すずこ「High And Loud」)ってちょっと影の部分があると思ったんです。どこかに闇を抱えていそうな詞と曲だったから、「これはまたご一緒できれば一筋縄ではいかない曲を作ってくださるに違いない」っていう予感があって今回も作詞・作曲・編曲をお願いさせていただいたら……。
──本当に一筋縄ではいかない「Wonderland Love」が上がってきた(笑)。
だから皆さんに思うままに作っていただければ大丈夫。ちゃんと私の好きな曲ができあがると思っていたし、「ファンタジー」「移動式遊園地」っていうコンセプトを一番わかっている私が歌えばちゃんと1つのストーリーにまとめ上げられる。どの曲にもちゃんと移動遊園地やデートする2人に対する私の思いを乗せられると思っていたし、実際そうできたなって思っています。
変わったリズムと戦いたい
──あとこのアルバムって収録曲それぞれのアレンジも気になっていて。三森さん、今回、明らかにビートにこだわりましたよね。
選曲の時点では実は完全に無自覚だったんですけど(笑)、ホントにバラエティに富んでますよね。
──ええ。まず先行シングルの「せいいいっぱい、つたえたい!」がBメロになったら3拍子にリズムチェンジするし……。
Aメロのリズムもちょっと変わってるんですよね(笑)。
──リムショットを連打したり、突然4ビートというかシャッフルっぽくなったりしますしね。で、カップリングだった「純情Da DanDan」は……。
スカパンク、大好きなんです(笑)。
──だから去年の夏の時点で、三森さんってビートで音楽を聴く人なのかな?っていう気はしていたんですけど……。
完全に無自覚でした(笑)。でも確かに「なんだこれ?」っていうビート感をもっている曲のほうが耳に引っかかるし、好きですね。たぶん小さい頃からダンスをやっていたから「この曲どうやって踊ってやろう?」って想像力が働く曲が好きなんだと思います。あと、作曲家さんやアレンジャーさんの中にも私のライブやステージングを意識して制作している方がいる気がします。
──だから変わったリズムパターンの曲が集まってくる、と(笑)。実際アルバム用の新曲にしてもタイトルトラックは超高速2ビートだし、マーチングドラムから始まる「ときめいてDream」はキックの置き位置がちょっと変わってるし。で「Spinning Stars」はさっき話した通りEDMで。
「Spinning Stars」はK-POP的というか、ガンガン、ダンスするイメージの曲だからということで選んでみました(笑)。
──確かに東方神起やBIGBANGの楽曲なんかにも通底する、バキンバキンに踊れる曲でありつつも、聴き心地やサウンドデザインはどこかエロティックですよね。
照れちゃうくらいセクシーだしカッコいいですよね(笑)。この曲とか「純情 Da DanDan」なんかはホントに早くライブでダンサーさんと一緒に踊りたいですね。
──三森さんにとって踊りたくなる曲っていうのは「Heart Collection」のサビのようなリズムをとりやすい四つ打ちではなくて、ベースがワブルしまくる「Spinning Stars」や、スカのリズム、つまりシャッフルで裏拍を打つ「純情 Da DanDan」みたいな曲なんですか?
確かに変わったリズムであればあるほどダンスで戦ってみたくなっちゃうかも(笑)。タップをやっていた影響もあるのかもしれないんですけど、リズムパターンから外れたところに音や振りを入れていくのがすごく好きだし、だからそもそもリズムパターンが変わった曲も好きなんです。あと私、踊ってるほうが歌いやすいから踊りたいっていうのもありますね。
──踊ってるほうが歌いやすい?
自己分析でしかないし、科学的に根拠があるわけではない。あくまでマイセオリーなんですけど、筋肉を意識しながら歌うほうがいい声が飛んでいく気がするし、実際飛んでいくんですよ。例えば、声出し練習のときによくやるんですけど、高音を出す瞬間、床に固定されてるテーブルの天板の底に手を添えて上に引っ張り上げるようにしていて。そうすると声が出るんです(笑)。それと同じ話だと思うんですけど、踊ったり身体を使ったりしたほうがいい声が出るんですよね。
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- ニューアルバム「Fantasic Funfair」 / 2015年4月8日発売 / ポニーキャニオン
- Blu-ray付き初回限定盤 [CD+Blu-ray+フォトブック] 4860円 / PCCG-01466
- DVD付き初回限定盤 [CD+DVD+フォトブック] 4104円 / PCCG-01467
- 通常盤 [CD] 3240円 / PCCG-01468
CD収録曲
- Fantasic Funfair
[作詞:畑亜貴 / 作曲:太田雅友 / 編曲:EFFY(FirstCall)] - ときめいてDream
[作詞:ゆらのあずさ、俊龍 / 作曲:俊龍 / 編曲:YUPA] - 純情 Da DanDan
[作詞:しほり / 作曲・編曲:小松一也] - ROLLER COASTER♡
[作詞:YADAKO (Myu) / 作曲・編曲:Masse(Myu)] - Traveling Kit
[作詞・作曲:渡辺翔 / 編曲:増田武史] - せいいっぱい、つたえたい!
[作詞:大森祥子 / 作曲・編曲:サイトウヨシヒロ] - Heart Collection
[作詞:中村彼方 / 作曲:光増ハジメ(FirstCall) / 編曲:EFFY(FirstCall)] - Spinning Stars
[作詞:しほり / 作曲・編曲:小松一也] - ハーモニア
[作詞:shilo / 作曲:遠藤直弥 / 編曲:中西亮輔] - ちいさな手と観覧車
[作詞・作曲・編曲:ふわりP] - Wonderland Love
[作詞・作曲・編曲:kz(livetune)]
初回限定盤Blu-ray / DVD収録内容
- 「せいいっぱい、つたえたい!」Music Video
- 「せいいっぱい、つたえたい!」off shot
- 「せいいっぱい、つたえたい!」Making of Music Video
- 「Heart Collection」Music Video
- 「Heart Collection」off shot
- 「Heart Collection」Making of Music Video
- 「Wonderland Love」Music Video
- 「Wonderland Love」off shot
- 「Wonderland Love」Making of Music Video
- P's LIVE!01ライブ映像(2014年6月21日@ゆうぽうとホール)
- ユニバーページ
- グローリー!
- 会いたいよ…会いたいよ!
- 恋のキモチは5%
- せいいっぱい、つたえたい!
三森すずこライブ2015
「Fun! Fun! Fantasic Funfair!」
- 2015年6月27日(土)千葉県 舞浜アンフィシアター
- 2015年6月28日(日)千葉県 舞浜アンフィシアター
三森すずこ(ミモリスズコ)
東京都生まれの声優、ボーカリスト。ミュージカル女優として活動したのち、2010年アニメ「探偵オペラ ミルキィホームズ」のシャーロック・シェリンフォード役で声優デビュー。以来同シリーズや「神様はじめました」「ラブライブ!」など人気作で主要キャラクターを演じる。また2010年には「ミルキィホームズ」の出演声優からなる同名ユニットとしてCDデビューを果たし、以降「Animelo Summer Live」に毎年連続出演。さらに「ラブライブ!」の劇中ユニットμ’sの一員として2014年にさいたまスーパーアリーナで2DAYS公演を行うなど、活発な音楽活動を展開する。そして2013年4月にはシングル「会いたいよ…会いたいよ!」でソロデビューし、同7月には2ndシングル「約束してよ?一緒だよ!」、10月には初のアニメ主題歌となる「ユニバーページ」を三森すずこ名義でリリース。2014年4月には1stアルバム「好きっ」を発表。翌年4月には1年ぶりの2ndアルバム「Fantasic Funfair」を発売した。