M!LKのメジャー1stアルバム「Jewel」が6月14日にリリースされた。
M!LKが持つさまざまな魅力を“宝石”に見立てて制作されたアルバム「Jewel」。メジャーデビューシングル「Ribbon」をはじめ、メンバーが自らプロデュースした「ジブンエール」や、EBiDANの同期にあたるさくらしめじが初めて提供した「コトノハ」など、1つひとつが異なる輝きを放つ全11曲が収められている。
音楽ナタリーではメジャーデビューから1年半が経過した彼らにインタビュー。それぞれが語る今作の“推しポイント”や、10月に行われる初のアリーナ単独公演に向けた意気込みを聞いた。
取材・文 / 三橋あずみ撮影 / 斎藤大嗣
みんなの中で共通認識がちゃんとあった
──2021年のメジャーデビューから1年半、メジャー1stアルバムのタイトルは「Jewel」ということですが、このタイトルにはどんな思いが?
吉田仁人 メジャーデビューしてから1年半、ここまでチーム一丸となってがんばってきた僕たち自身、そして作品に収録されている1曲1曲が宝石のように輝いているという思いを込めて、「Jewel」というタイトルを付けました。本当に盛りだくさんの内容になっているし、メジャー1stアルバムとしてこんなに素敵な作品を出せることがうれしいです。
──7曲の新録曲はもちろん、メジャーデビュー前のシングル曲のリテイクバージョンを収めた形態が用意されていたり、本当に語るべきトピックがたくさんある作品になっているので……まずは皆さんから、1つずつ「Jewel」の“推しポイント”を挙げてもらってもよいでしょうか? そのポイントに沿って、お話を進められたらと思います。
塩﨑太智 僕はやっぱり、メンバー全員で作詞した「ジブンエール」ですね! 僕らが作詞を担当するのは「夢路」以来2回目なんですけど、今回は「こういう曲を届けたいよね」と最初の段階からメンバー主導で制作を進めていったんです。どういう曲調がいいのかを5人で決めて、スタッフさんが何百曲の中から厳選してくれた20曲くらいのデモを聴いて、どれにしようか夜中まで話し合って……曲が決まったら5人それぞれが歌詞のフレーズを書いて、それを吉田さんと柔太朗、舜太がまとめてくれました。イチからメンバーが作り上げたことが自分の中でいい思い出になっているから、僕はどうしてもこの曲がイチ推しですね。
吉田 曲のテーマについては太智と勇斗が「僕らからエールを送る曲がいいね」って。ライブで盛り上がって、心に響いて、元気を与えられる曲がいいと2人が提案してくれて、「それめちゃくちゃいいね」という話から曲探しを始めました。制作は面白かったし、思ったよりもサクサク決まっていったんです。みんなの中で共通認識がちゃんとあったからだと思うんですけど、それぞれの意思がバランスよく盛り込まれている感じがしますね。
曽野舜太 僕は歌詞のまとめ役をやらせてもらって。それぞれが書いた言葉をいったん集めて、パズルのように組み合わせつつ、全体のバランスを見て仕上げていきました。
お前の笑顔は太陽だなと思ったんだよ
──歌詞について、それぞれが書いたフレーズのこだわりを教えてもらえますか?
山中柔太朗 これ初めて話せるよね? うれしい。
佐野勇斗 僕は1番のサビ前「溜まった洗濯カゴにため息 風呂に入るのも面倒な日~」の部分が……。
吉田 いや、ごめんなさい。そこ僕が書いた歌詞だから。
山中 好きなだけでしょ?(笑)
一同 あはははは!
佐野 すいません(笑)。ホントのこと言うと、「なんとなく過ごす日々に嫌気差してんだ」「鏡に映る自分『頑張れてる?』 無理に笑っても疲れてる」とかが、僕の書いたパートですね。
──勇斗さんはどんな思いでこの歌詞を?
佐野 自分を投影しているんですけど、この年齢にもなると自分が今いる世界に慣れちゃうじゃないですか。そんな自分に嫌気が差すときもあるし、自分の部屋で鏡を見て「がんばれてんのかな? 俺」って思うこともしょっちゅうあるんですよ。でも、きっとみんなもそういう思いを持っているんだろうな、とか考えながら。
山中 そうだよね。ここ、ホントにいい歌詞。
塩﨑 いいよね。
山中 担当している割合で言うと、だいてぃん(塩﨑)が書いた詞が多いよね。
塩﨑 そうだね。サビ頭の「ちょちょちょもーいっちょ」とかも僕ですね。
曽野 このキャッチーさ、なかなか思い付かないでしょ。
塩﨑 あと、僕がうれしかったのは「さけべ、自分だけのエールを」。「さけべ」のところを空白にして提出したら3人(仁人、柔太朗、舜太)が埋めてくれたんですけど、「自分だけのエールを」が……。
佐野 タイトルになっちゃって。
塩﨑 そう! それがすごくうれしかった。
山中 実際、バチバチに曲にハマったからね。
吉田 このフレーズは最初から不動だった。
塩﨑 裏話を言うとカッコ悪くなっちゃうかもなんだけどさ、10分くらいでパッと曲を作るみたいな話を先輩から聞いたことがあって。「自分もそういうふうに作りたい」という憧れがあったから、曲を聴いたときに真っ先に思い付いた言葉を歌詞にしようと思ったのよ。実際やってみたら「自分だけのエールを」って頭の中で聞こえたんだよね。
吉田 この言葉にどういう思いを込めたの?
塩﨑 「自分を奮い立たせるんだ」という思いかな。
曽野 太ちゃんっぽいよなあ。
山中 太ちゃん的にはそこがお気に入り? ほかにもいっぱい、いいフレーズあるけどね。
塩﨑 あとは「やっぱ君の笑顔が1番眩しい太陽だ」かな。すごく笑顔が輝かしい人のことを想像したとき、それって何に見えるだろう?と考えたら、自分にとっては太陽だなって……。
佐野 ホントにー?
塩﨑 いや、マジでさ。勇斗の笑顔も想像したし。お前の笑顔は太陽だなと思ったんだよ。
佐野 本当? ならよし(笑)。
山中 ここ、おそらく彼のこだわりがあって。最初、僕らは「太陽さ」で調整していたんです。だけど、最終的な打ち合わせのときに太ちゃんが「『だ』がいい」と希望を伝えてくれて。
塩﨑 「太陽さ」のほうがきれいだけど、きれいすぎないほうが響くなと思ったんです。
佐野 あとさ、歌い出しのフレーズも変更したよね……?
吉田 あのさ、このペースで全部解説し始めたら終わらない!(笑)
塩﨑 この曲だけで1つ特集作ってください!
一同 あはははは!
自分が愛さなきゃ誰が自分を愛すんだ?
山中 僕は、自分で書いた歌詞で言うと「幸せはのんびり屋」が気に入っています。
佐野 よく思い付くよね? こんないいフレーズ。
塩﨑 俺も思った。
山中 幸せは向こうからどんどん来てくれるものじゃないけど、こっちも焦らずに歩いていればいつか出会えるよって。「のんびり屋」を舜太が気に入ってくれたのもうれしかったんだよね。
曽野 見た瞬間に「絶対採用したい」と思った。2番は柔(柔太朗)が作った歌詞が多いね。
山中 2番Bメロの「大体はなんとかなるから!」も僕が考えました。2番のサビ前、盛り上がるパートに一番響く言葉を置きたいなと思ってずっと悩んでいたんですけど、あえて「なんとかなるから!」って、気持ちが軽くなるような言葉を選んでみたんです。なんか、M!LKがこのフレーズを笑顔で言う姿がいいなと思ったんですよね。
塩﨑 おいちゃん(仁人)もオススメいっぱいあるでしょ?
山中 Dメロなんかもそうですけど、“ザ・いい言葉!”っていう歌詞は仁ちゃん担当が多いと思います。上手なんだよなあ。
吉田 自分のお気に入りは、さっき勇斗が言ってくれた「溜まった洗濯カゴにため息」から「自分こそ自分を愛そう」までのパートですね。忙しくて家事もままならん、みたいな誰もが共感できる悩み、もちろん僕らにもあるし……。
塩﨑 わかるもんなあ。共感できる。
吉田 凹むこともあるかもしれないけど、自分が愛さなきゃ誰が自分を愛すんだ?って話ですから。
裏コンセプトが「笑って泣ける」
曽野 僕は2番のAメロにある「なんかおっきな幸せ空からおちてくればなぁ」が気に入っています。うまくいってないわけじゃないけど変わり映えしない毎日を過ごしているとき、散歩していてふと「宝くじでもあたればなあ。いいことあればなあ」みたいに思うこと、あるじゃないですか? そういう気持ちを表現してみたんです。
吉田 最初、彼がこの歌詞を上げてきたとき「どうした?」と思ったんですよ。舜太のほんわかした口調で「こういうフレーズを入れたいんだよね」と言われて「どういうこと?」って思ったんだけど、実際当てはめてみたらしっくり来たんです。「別に悪くはないんだけどさ」みたいなテンションが、この曲の空気感に合っていて素敵ですよね。
──M!LKが気持ちをふっと軽くしてくれるような曲に仕上がっていますね。
吉田 でも正直、僕らが歌っているときはそんなに深く考えてもらわなくて大丈夫です! 純粋な“アゲ曲”だと思っているので、みんなも手を挙げて一緒に楽しんでほしいというか。
塩﨑 そう、一緒に踊ってほしいよね! 実際、曲選びもいかにノリやすいかを基準にしていたので。これは佐野さんの意見でね。
佐野 そうなんですよ。
山中 最終的な決定打は、自然と手を振っちゃう曲だったこと。この曲のデモを聴いているとき、みんなガンガンに振ってたもんね(笑)。ライブでは純粋に楽しんでほしいです。曲の裏コンセプトが「笑って泣ける」なので。
吉田 1人で聴くときなんかに、歌詞はゆっくりと見てもらえたらうれしいですね。
──何から何まで皆さんのこだわりが詰まっていますね。
山中 そうなんです。だから、この曲のことをたくさん話せてうれしかったです。
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バラエティの仕事増えると思うよ