ナタリー PowerPush - ミドリカワ書房

J-POP界の無頼派が茂木淳一と語る「みんなのうた」ヒストリー

「テレビミドリカワ」“緑川大陸”

こういうこと言ったら面白いでしょ

──茂木さんはミドリカワさんのライブを普通にお客さんとして観に行ったことはありますか?

ミドリカワ たぶん観てないでしょ。

茂木 ないですね。もう最初からゲストで出演してました。

──横から観ててどう思われます? ミドリカワさんのライブ。

2009年10月の「お見合いLIVE2009」にゲストとして出演した千葉レーダ。

茂木 昔はミドリカワさんってアーティスト然としてて、周りの人が全部用意してあげてるのかなって見方をしてたんですけど。たとえば「テレビミドリカワ」でやってた、バンドメンバーにメローイエローを買いに行かされるみたいな(笑)、ああいう場面も本当にありそう。パフォーマンス観てても、前はほとんど喋らないで“謎な人”って雰囲気があったのに、今はもうちゃんと喋れるし「こういうこと言ったら面白いでしょ」っていうのをわかってるし。

──喋るのがうまくなったのは茂木さんの影響ですかね?

ミドリカワ そうですね、しょっちゅうライブに出てもらってるし、ライブに限らずラジオやなんかでもお世話になってるし。茂木さんだけに鍛えられたわけではないですけど、成長させてくれた人の1人ではありますね。トークは大事にしなきゃ、ってずっと思ってましたし。歌だけじゃ何なので、おしゃべりも楽しんでもらえたらなあと。

──もうMCはミドリカワさんのライブでは欠かせないものになってますからね。逆に茂木さんにとって、ミドリカワさんのライブに出演することがご自身の音楽活動の刺激になったりはしますか?

茂木 ならないですね(笑)。お客さんと触れ合う空間で遊ぶ、空間演出みたいなことはやりたいと思ってるし、音楽ってのはそういうところで重要なツールになるんですけど、この前ひさしぶりに千葉レーダのライブやって気づいたのは「歌いすぎると自分が飽きてくる」ってことで(笑)。

ミドリカワ はははは。

茂木 最近はずっと喋ることに重点を置いてきたから、そんなに歌わなくてもいいんだって思って。本格的に音楽だけをやるんじゃなく、半分喋って半分歌ってぐらいがちょうどいいのかなと思うんです。だからこの先も、千葉レーダとしてライブやる予定は見えないですねえ。「予定が入る」ってこと自体がイヤなんで(笑)。アルバイトもルーチンなものをやったことがないぐらいイヤなんです。

「早く寝たいと思います」が意気込み

──じゃあ、千葉レーダについてはライブの予定がないという衝撃の事実が判明したところで(笑)。ミドリカワさんは1月に全国ツアーがありますけど、そこへ向けての意気込みを。

ミドリカワ 今回はスケジュールがすごく詰まったツアーなんですよね。だから連続でライブがある日はすぐホテルに帰って寝ようと思ってます。声出なくなっちゃいますから。そこを大事にしたいですね。

──あの、ライブ自体についての意気込みを……。

茂木 それがミドリカワ書房なんですよ! だってこの人ふざけてないんですよ、本気で「早く寝たいと思います」が意気込みなんですから。そこをフィーチャーしないとダメですよ!

ミドリカワ そうですよね、がんばりすぎてもね。

──お2人がそうおっしゃるんでしたら、それで締めたいと思います(笑)。

茂木 最後に「いいアルバムですからぜひ聴いてください」とか言ったほうがいいんじゃないんですか?

ミドリカワ あっ、じゃあ、いいアルバムですからぜひ聴いてください(笑)。

インタビュー風景

ニューアルバム『みんなのうた 4

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CD収録曲
  1. ~殿様食品『しっとり大名』TVCM
    ―「余はしっとりじゃ」篇―
  2. 愛なるは
  3. ~にょきにょき本気!?
  4. ミドシンを聴きながら
  5. ~ギガビットパーセコンド
  6. 大丈夫
  7. ~北口の母
  8. 自信があるんです
  9. ~髑髏と蟷螂
  10. 妹の日記
  11. ~生クリーマー
  12. 泊まっていけよ
  13. ~どぶろくフィズ
  14. 夢が叶った男
  15. ~Takanori Makes 朝寝坊
  16. 喧嘩口論
  17. ~ドクターマウス氏による基調講演
  18. 馬鹿姉妹
  19. ~昼ドキ!五臓六腑 <阿実毛海岸>
  20. 転校生
  21. ~特急ヒデリ29号
  22. さらばグッバイ

※奇数トラックは茂木淳一による導入ドラマトラック

書籍『馬鹿姉妹』 / 2010年1月1日発売 / 1690円(税込) / 遊タイム出版社 / ISBN:978-4-86010-276-0

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ミドリカワ書房(みどりかわしょぼう)

アーティスト写真

1978年生まれ、北海道出身。自ら「J-POP界の無頼派」を名乗る異色シンガーソングライター。2004年12月にインディーズレーベルよりアルバム「みんなのうた」を発表。翌2005年7月に「みんなのうた+α」でメジャー進出を果たす。思わず口ずさんでしまうメロディに清涼感あふれる歌声、それと相反する社会や人間の闇に切り込んだ詞世界が持ち味。歌詞のテーマは「死刑」「ひき逃げ」「離婚」「万引き」「DV」など多岐にわたり、すべてが物語調になっている。しばらくメジャーで活動していたが、2008年に所属レコード会社との契約が切れインディーズに拠点を移す。精力的にライブを行いつつ、2009年6月には主催フェス「ミドフェス 2009 ~ミドシンだらけの梅雨フェス~」を代官山UNITで開催。出演をオファーしたアーティストから断られたため、出演者6組をすべてひとりで演じるというそのユニークな内容が笑いを誘った。