みんな居場所を探してるんだと感じて、心強くなれる曲を作りたかった

2009年初頭に「ライブを続けて、もっともっといいライブができるようになること」「歌を続けてアルバムを形にすること」という2つの目標を挙げていたMiChiだが、現在彼女はその目標を達成しつつある。この夏はSUMMER SONIC 09やFesta de RAMAなどのフェスやX-girlのイベントなどに出演。そして、1stフルアルバム「UP TO YOU」も完成した。

「マスタリングが終わって、『あぁ、いいアルバムだなぁ』って。ひとつのストーリーが始まるようなスタートで、最後にタイトル曲が来て、（全14曲のアルバムを通して）エモーショナルな感じになりました。このアルバムを作ったことで、これから新しいMiChiがスタートするんだっていう気持ちがありますね」

アルバム冒頭のヒップホップチューン「MadNesS Vol.1」から、リスナーはMiChiワールドにグッと引きずり込まれていく。自分自身であり続けることの大切さを歌うパワフルなメッセージがビートに乗る。中盤に収録されたフォーキーな響きの「RaiN」や「WoNDeRLaND？」も魅力的。「Shibuya de Punch」ではMiChiの見た東京の衝撃的な光景に、文字どおり殴りつけられたような痛みを感じる。

「東京はワンダーランドみたいだと思うんです。いろんな人がいて、いろんなことが起こっていて楽しそうで、遠くから見るとキラキラしていて。でも実際は、みんな孤独で寂しいんじゃないかなって感じたんです。それを悲しいと思うんじゃなくて、みんながひとりぼっちだと思ってるんだったら、みんな一緒、みんな居場所を探してるんだと感じて、心強くなれる曲を作りたかった。だから『WoNDeRLaND？』では、最後に『Yeah!』って叫ぼうよって歌いたかった」

アルバムの後半に置かれた初のバラード「YOU」（4thシングル）では、ほぼすべての歌詞を日本語で歌っている。大切な人からの手紙を読むときのように、その言葉のひとつひとつがゆっくりと頭に入ってくる。

「『YOU』は、感謝の気持ちを伝えたくて書いた曲です。これまでMiChiを支えてくれた人たちへ『ありがとう』って言いたかった。それが歌詞の中の『一人じゃここまで来れなかったよ』という部分です」

MiChiが音楽をやる上での目標はそこにしかないと思う

アルバムのラストは、ここからスタートしていくような力強さに満ちたロックチューン「UP TO YOU」。シンプルだが、ここにアルバム全体を貫く思想が凝縮されている。

「『UP TO YOU』というのは『あなた次第』という意味。アルバムタイトルを考えてるときに、自分が言いたいことはなんだろうって思ったら『UP TO YOU』というこの言葉に言いたいことが詰まってたんですね。あなた次第だからがんばれよみたいなことじゃなくて、あなたの中にあるパワーですごいことができるんだよ、考え方ひとつで世界は変えられるし、あなたは誰かのために何かができるんだよということを気づいてほしいという気持ち。

このアルバムはオープンなマインドで聴いてほしいし、楽しんでほしい。1曲1曲に自分が強く持ってるメッセージを込めているので歌詞も意識してほしいですね。内容を知った上で聴いてもらえると理解も深いものになると思うし、もっと楽しめると思う」

MiChiは一貫して「Be Yourself～自分自身であれ」というメッセージを伝え続けている。世界を変えられるのは「Your mind」だけ。自分を信じることをやめないことが何よりも重要だと歌う。そんな想いがファンに届いていることを、これまでのライブやシングルのリリースで、MiChi自身は実感しているだろうか。

「落ちこんでたけど曲を聴いて元気になったとか、救われたっていうメッセージをもらうと、伝わってるなって思いますね。MiChiが音楽をやる上での目標はそこにしかないと思う。誰かのために何かができる。だから、MiChiはミュージシャンというよりは……、何か言いたいことがあるシンガーかな（笑）。

このアルバムでは、初めて自分で作詞、作曲、プロデュース、楽器を弾いた曲もある。今後はもっと音楽的な部分にもかかわっていきたい。フルバンドでライブをやったりとか、弾き語りにトライしたりとか。

11月のワンマンツアーは、イベントと違ってMiChiだけを観に来る、MiChiの音だけを聴きに来る人たちが集まる場所だから、自分も押さえきれないぐらい楽しくて、気合も入ってますよ。MiChiのいろんなバリエーションを観てもらいたいです」