音楽ナタリー Power Push - METAFIVE
日本が誇る6つの才能が奏でるバンドサウンド
「METAFIVEらしさ」の線引きはない
──実際にアルバムを作ろうという流れに至ったのは、どういうきっかけからなんですか?
高橋 去年の2月にみんなで集まったときに、ゴンちゃんがデモを持ってきたんですよ。その時点では具体的な話なんて何もなかったのに「えっ、もう曲作ったの!?」みたいな。それがきっかけで、曲を持ち寄ってアルバムを作ってみようかという流れになって。
──そして8月には「ワーハピ」のステージ上でアルバムを制作していることが明かされました。
高橋 実はその頃にはほとんど完成してたんです。
──データのやりとりで曲作りを進めていく上で、基盤となる曲はそれぞれ自由に持ち込んだ感じなのでしょうか。
高橋 1人2曲ずつ用意して。
テイ 最初は1人1曲でいいって言ってたんですよね。
高橋 まりんが「『Split Spirit』と攻殻のライブでやった『Radio』がすごくよかったから、あの感じの音を残しましょう」と言っていて。その時点でテイくんと小山田くんは1曲ずつクリアしているわけだから「じゃあもう1曲ずつ作ってよ」っていう流れですね。最初に書き下ろしを持ってきたのはゴンちゃんだったのに、2曲目は一番遅かった(笑)。
──皆さんの中で個々の活動とは違う「METAFIVEの曲」を作る上での線引きはどのようなものですか? METAFIVEならこうでなくちゃいけない、もしくはこれをやったらMETAFIVEにはならないみたいな。
高橋 うーん……ないかもしれませんね。極端な話、歌謡曲みたいなのを作ってこのメンバーに振ってみても全然違う曲になると思うし、そういうことができるバンドなんだなってレコーディングが終わってからわかった。だからすぐに次を作りたいって思ってるくらい(笑)。
テイ のりしろ多めでデモを渡すのが、このバンドだといいんでしょうね。
──アルバムを聴いてみると、6人それぞれの旨味が生かされつつ、ちゃんとMETAFIVEという個体になっているというか。最初の何回かはクレジットを見ずに聴いたのですが、作曲者の予想が外れたものもいくつかあって。
高橋 個性がうまく分散できた感じはありますね。僕が作った曲はバレバレだと思うけど(笑)。
──やりとりする間に大きく変化した曲もきっとありますよね。作曲のクレジットが複数になっている曲もありますけど。
砂原 クレジットは「責任者」ですね。ミックスまでを代表して請け負う責任者。
METAFIVEならではのグルーヴ
──METAFIVEは思った以上にフィジカルなバンドなんだなと感じるのですが、どうしてこういうスタイルになったのでしょうか。アルバム発売に先行して公開された2つのMVもスタジオライブ映像ですし。
高橋 やっぱそれぞれの、餅は餅屋な感じがちゃんとあるバンドなんじゃないですかね。まりんも最近はシンベ(シンセベース)のオーソリティになってきちゃったんで。
──砂原さんの手弾きがたくさん見られるのもMETAFIVEの特色ですね。
砂原 ライブだけですよ。レコーディングはさすがに打ち込みで。やっぱり人前でやるんだったら多少ヘタでも人力でやったほうが伝わるなあと思うようになって。
高橋 それはYMOのトラウマですよ(笑)。
テイ みんなクリックを聴きながらやってるけれども、前ノリの人もいれば後ノリの人もいて。そういうのが合わさってMETAFIVEならではのグルーヴになってるんじゃないかなあ。全部シーケンサーでやっちゃうと、レコード聴いてるのと変わんなくなっちゃうんで。
高橋 最初がライブから始まったのも大きかったかもしれない。
──あとMETAFIVEの特色を考えたとき、高橋さんと小山田さんが前回のインタビュー(参照:高橋幸宏 & METAFIVE「攻殻機動隊ARISE border:4 Ghost Stands Alone」特集)でおっしゃっていたんですけど、それぞれ非常に個性の強い、ある意味変人の集まりとも言えるこのバンドの中でも特に変人なのがゴンドウさんだと。
一同 あはははははは!(笑)
──せっかく全員集まっている機会なので、皆さんとご本人の意見が聞きたいなと。
ゴンドウトモヒコ 何をもって変人というのか、変人の定義が知りたいです。
──楽曲制作のときに一番突飛なアイデアを乗せてくるとか、そういうことでしょうか。
高橋 いや、そういうところじゃないですね。
砂原 バックステージのことじゃない?
小山田 そうだね。生活のダイナミックレンジが広い(笑)。
高橋 ハメを外したりはするんだけど、仕事は絶対にキッチリするんですよ。どこで切り替えているのかが、僕は何十年も付き合っているのに全然わかんない。
ゴンドウ 大丈夫ですよ。普通です。
高橋 ほらね、大丈夫じゃない人ほど大丈夫って言うんですよ(笑)。
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収録曲
- Don't Move
- Luv U Tokio
- Maisie's Avenue
- Albore
- Gravetrippin'
- Anodyne
- Disaster Baby
- Radio(META Version)
- W.G.S.F.
- Split Spirit(META Version)
- Whiteout
- Threads
- METAFIVE "pre-METALIVE 2016 ~「META」 RELEASE party"
- 2016年1月14日(木)東京都 LIQUIDROOM
OPEN 19:00 / START 20:00 - 出演者METAFIVE / Young Juvenile Youth(オープニングアクト)
- 料 金前売5800円(ドリンク代別)
- METAFIVE "METALIVE 2016"
- 2016年1月21日(木)東京都 EX THEATER ROPPONGI
OPEN 18:30 / START 19:30 - 料 金 7800円(ドリンク代別)
METAFIVE(メタファイブ)
高橋幸宏、TOWA TEI、小山田圭吾、砂原良徳、ゴンドウトモヒコ、LEO今井という個々に活躍する6人のアーティストからなるバンド。2014年1月に行われたコンサート「GO LIVE VOL.1 高橋幸宏 with 小山田圭吾×砂原良徳×TOWA TEI×ゴンドウトモヒコ×LEO今井」をきっかけに集結し、その後も「高橋幸宏 & METAFIVE(小山田圭吾 × 砂原良徳 × TOWA TEI × ゴンドウトモヒコ × LEO今井)」としていくつかの音楽フェスなどに出演し高評を集める。2014年9月には小山田が音楽を手がける劇場版アニメ「攻殻機動隊ARISE」シリーズ第4弾「攻殻機動隊ARISE border:4 Ghost Stands Alone」の主題歌としてオリジナル楽曲「Split Spirit」を発表。2015年にはバンド名をMETAFIVEと改め、高橋が主催する音楽フェス「WORLD HAPPINESS 2015」をはじめとする複数のイベントに出演した。2016年1月には1stオリジナルアルバム「META」をリリース。