音楽ナタリー Power Push - METAFIVE
日本が誇る6つの才能が奏でるバンドサウンド
高橋幸宏、TOWA TEI、小山田圭吾、砂原良徳、ゴンドウトモヒコ、LEO今井という豪華メンバーにより結成されたバンド、METAFIVE。彼らは2014年1月に行われた高橋主体のコンサートをきっかけに「高橋幸宏 & METAFIVE」としての活動をスタートさせると、2015年には名を「METAFIVE」と改め、ついにはオリジナルアルバム「META」を完成させた。
メンバー全員が集まった今回のインタビューでは、改めてバンド結成から現在までの流れを確認しつつ、METAFIVEをあくまで1つの“バンド”と考える彼らのバンド感や楽曲制作の過程などについて詳しく話を聞いた。
取材・文 / 臼杵成晃 撮影 / 西槇太一
一夜限りのコンサートからバンドへ
──METAFIVEはもともと、2014年1月に行われたコンサート(参照:高橋幸宏が豪華メンバー率いてテクノポップ忠実再現ライブ)で集まったことが結成のいきさつになったわけですよね。
砂原良徳 そのときはバンド結成みたいなつもりじゃなく、本当に1回集まって終わるはずだったんですよ。
TOWA TEI あくまで幸宏さんにコンサートの話があって、そのために集められたのが僕たちっていう。
高橋幸宏 「せっかく集まったからバンド名付けちゃおうか」って言って名前を付けちゃったしね。そうこうしてたら「TAICOCLUB」からオファーが来たりして(参照:TAICOCLUBにSOIL、幸宏&METAFIVE、ゲイリー・ベック)。
テイ そこからフェスにいくつか。ワーハピ(高橋が立ち上げた夏の音楽フェス「WORLD HAPPINESS」)とか。
高橋 あの年のワーハピは大雨だったね(参照:荒天に負けぬ豪華15組競演、ワーハピ2014)。
テイ 1年間で何度かライブをやって、小山田くんがプロデュースする日本科学未来館のライブ(参照:「攻殻」一色に染まった日本科学未来館でCornelius大活躍)のときに「いい具合にバンドらしくなったな」って感じたんですよね。映像もよかったし。
高橋 その頃、テイくんのソロに僕が参加して、シングルとアルバムで3曲ぐらい連続で歌わせてもらったりして。そういうつながりがある中で「METAFIVEはバンドとしていけるかもな」と。
テイ 僕の「LUV PANDEMIC」という曲(参照:TOWA TEI新曲MVに細野、幸宏、小山田、水原佑果、LEO出演)は、METAを想定して作ったんです。まだ続くかどうかもわからなかったけど。ソロ名義だけど、METAでもやれたらいいなっていう。
──テイさんの作品にはMETAFIVEのメンバーを含めさまざまなゲストが参加していましたけど、この6人だからこそやれること、METAFIVEならではのサウンドの方向性があるぞと。
テイ うん。今回のアルバムはほとんど6人だけなんですよ。
小山田圭吾 LEOくん(LEO今井)のお母さんとゴンちゃん(ゴンドウトモヒコ)の娘は入ってるけど。
テイ 親族はOK(笑)。
エゴのぶつかり合いがないバンド
──こうやって皆さん全員がそろうと、やはり圧巻ですね。それぞれに活躍されている方々なので、単純にスケジュール管理などは非常に困難だと思うのですが、そんな中でフルアルバムが制作されたことにまず驚きました。
テイ メンバーはみんなそんなに大変じゃなかったと思いますよ。レコーディングもデータのやりとりが多かったし。スタッフは大変なんじゃないかな。スタッフのほうが僕たちよりも顔を合わせている回数は多い。
──6人全員が物理的に集まるのは、ライブのときぐらい?
小山田 あとはリハーサルとか。
砂原 打ち合わせでも集まりましたけど、数回ですよ、数回。
高橋 レコーディングでは、歌入れとか最終段階で集まったぐらいですね。でもね、このバンドは本当にすごくラクですよ。バンドをやってて一番大変なのは、メンバーのアーティスティックなエゴのぶつかり合いだけど、このバンドはそれがまったくないから。みんなそれぞれアーティストとしての個性やエゴはあるけど、ここで出す必要がないし。「よくこのメンバーをまとめてますね」って言われますけど、僕はまとめてないですからね。なんにも(笑)。
──「エゴのぶつかり合いがない」というのは、ほかの皆さんも同じように感じていますか?
高橋 感じてなかったらテイくんはやってないと思いますよ。懲りてるから(笑)。
テイ 懲りてます。僕とまりん(砂原)は3人組を経験していて……。
高橋 僕も3人組やったよ。
テイ 幸宏さんはいろんなバンドを経験してるじゃないですか。ゴンちゃん(ゴンドウトモヒコ)と幸宏さんはいろいろ。LEOくんと小山田くんはソロか2人組だからバンドとは違うよね。
高橋 エゴをぶつけ合うのは音楽家であればどんな形であれ必要なことなんですよ。でも、それって若いうちだけで、歳を取ってくるとエゴのうまい出し方もわかってくるし、LEOくんは若いっちゃ若いけど、考えが大人なんで。喋り方も一番大人だし(笑)。
──LEOさんは世代差を感じることもありますか?
LEO今井 もちろん世代差はありますけど、それが何かを妨げるようなことはまったくないですね。むしろ音楽のテイストは同世代の人たちよりも通じるところが多いと思います。
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収録曲
- Don't Move
- Luv U Tokio
- Maisie's Avenue
- Albore
- Gravetrippin'
- Anodyne
- Disaster Baby
- Radio(META Version)
- W.G.S.F.
- Split Spirit(META Version)
- Whiteout
- Threads
- METAFIVE "pre-METALIVE 2016 ~「META」 RELEASE party"
- 2016年1月14日(木)東京都 LIQUIDROOM
OPEN 19:00 / START 20:00 - 出演者METAFIVE / Young Juvenile Youth(オープニングアクト)
- 料 金前売5800円(ドリンク代別)
- METAFIVE "METALIVE 2016"
- 2016年1月21日(木)東京都 EX THEATER ROPPONGI
OPEN 18:30 / START 19:30 - 料 金 7800円(ドリンク代別)
METAFIVE(メタファイブ)
高橋幸宏、TOWA TEI、小山田圭吾、砂原良徳、ゴンドウトモヒコ、LEO今井という個々に活躍する6人のアーティストからなるバンド。2014年1月に行われたコンサート「GO LIVE VOL.1 高橋幸宏 with 小山田圭吾×砂原良徳×TOWA TEI×ゴンドウトモヒコ×LEO今井」をきっかけに集結し、その後も「高橋幸宏 & METAFIVE(小山田圭吾 × 砂原良徳 × TOWA TEI × ゴンドウトモヒコ × LEO今井)」としていくつかの音楽フェスなどに出演し高評を集める。2014年9月には小山田が音楽を手がける劇場版アニメ「攻殻機動隊ARISE」シリーズ第4弾「攻殻機動隊ARISE border:4 Ghost Stands Alone」の主題歌としてオリジナル楽曲「Split Spirit」を発表。2015年にはバンド名をMETAFIVEと改め、高橋が主催する音楽フェス「WORLD HAPPINESS 2015」をはじめとする複数のイベントに出演した。2016年1月には1stオリジナルアルバム「META」をリリース。