「真逆の糸」の始まりは「暗いものを作りたい」

──「真逆の糸」は、MeseMoa.のどんな魅力を引き出そうと意識した楽曲ですか？

二番煎じ　これこそ本当に俺たちのことをわかって作られた曲だと思いました。個人的なことでいうと、僕の低くてハスキーな声の特徴を知ってくれているからこそ、それを生かした歌やパート割になってるなと。冒頭のセリフも、おしょい（halyosyのあだ名）が「このセリフは（二番）煎じのこの声で聴きたい」と言ってくれたんです。

とみたけ　俺も自分のパート、死ぬほど歌いやすかった。一番気持ちよく歌える音域で作ってくれてて。

halyosy　「I need them...」のところね。そこは、それぞれ得意な音域で歌ってもらってハーモニーにしてみました。

フォーゲル　halyosyさんは本当に昔からやってくださっているから、全員の声の幅を完璧に把握してる。

野崎弁当　1人ひとりの特性みたいなものもね。

気まぐれﾌﾟﾘﾝｽ　余談やけど、レコーディング中の俺らのふとした言葉とかもめっちゃメモるもんな。しょーもない雑談でも「ちょっと待って。メモる」みたいな。

──それを歌詞に生かしたりするんですか？

halyosy　はい、しますね。

気まぐれﾌﾟﾘﾝｽ　あとはリサーチというか、最近のグループ内の関係性をたまに聞いてきたり。

フォーゲル　「今、誰と仲良い？」とか「誰といちゃつくことが多い？」とか（笑）。

とみたけ　ファンの需要みたいなものも考えてくれてるんだ（笑）。

──楽曲の印象についてはいかがでしたか？

二番煎じ　「わ、また難しいのきたな」というのが正直な感想でした。でも、おしょいが作ってくれたものを僕らがちゃんと表現できたら、また一歩新しい姿を見せられるんだろうなって。そういう気持ちでがんばれる曲だと思いました。

とみたけ　俺は「来た来た来たー!!」って。

二番煎じ　最初に聴いたとき、絶対とみたけ好きだろうなと思った。

とみたけ　どストライク。好きすぎてずっとデモ聴いてたもん。最近のMeseMoa.のシングルって、めっちゃ可愛くて明るい曲か、最悪にドロドロして暗いか……みたいに二極化してる気がするんだけど、俺はどちらかというと暗いほうが好きだから「よし、待ってました！」って。

──halyosyさん、そもそも「真逆の糸」のコンセプトはどんなところから生まれたんでしょうか？

halyosy　　（ぶんけいに）お待たせしましたー！ お願いします。

ぶんけい　じゃあ僕から話しますね。MeseMoa.の曲を作り始めるときって……といっても「Muddy Water」（2017年8月発売）くらいからなんですけど、MeseMoa.のプロデューサーとhalyosyさんと僕の3人で集まってまず打ち合わせするんです。そこでプロデューサーから「次はこんなことがしたい」という発表があって、それが具体的なときもあれば大きいテーマのときもあったりするんですけど、今回は「暗いものを作りたい」と。

あおい　ざっくり！（笑）

ぶんけい　とにかくダークなものってことで、そこから「こういう音使っていきますか？」「映像ではこういう表現がしたいです」と詰めていって、数カ月後にhalyosyさんから100点のものがきたという流れですね。毎回絶対100点なのが本当にすごいなって。

halyosy　いやいや。今回は特に映像化することを重視したシングルでもあったから、僕は最高のBGMになりきろうと思って作りましたね。

MVの考察祭りはメンバーも楽しんで見ている

──「真逆の糸」のMV制作秘話やエピソードも聞かせてもらえますか？

ぶんけい　halyosyさんがいつも100点の曲を持ってくるので、それに応えようと僕は必死です。今回も音でよく遊ばれていて、MVでも何か工夫しなきゃ……と思ったり。でも「真逆の糸」は1曲分の尺の映像じゃ時間が全然足りなかったな。歌詞の意味が深いから、本当はもっといろいろ詰めたい。「2時間の映画にしたほうがいいんじゃない？」ってくらい。

halyosy　あ、それ観たい。

とみたけ　halyosyさんの曲なら楽曲をモチーフにした映画、全然撮れますよね。作品として成立すると思う。

気まぐれﾌﾟﾘﾝｽ　いつかやりたいな。それにしても今回のMV、ここまで暗い内容は初というか。笑顔が一切ない作品もひさしぶりな印象やし、現場でもみんなどこかズーンとした面持ちで。

ぶんけい　ふざける人、あまりいなかったですよね？

とみたけ　いつもはふざける組も今回は抑え気味だった（笑）。

ぶんけい　作品のテンションが現場の雰囲気としてもキープされていたのかもしれないです。

野崎弁当　でもダンスシーンとか動きのあるところはみんなメリハリを付けてやってて。俺、間奏のあおいとプンちゃん（気まぐれﾌﾟﾘﾝｽ）とフォーゲルが3人で踊るところがめっちゃ好き。普段はタイプの違う踊り方をする3人なんだけど、そこはすごい美しくそろってて早くお客さんにも観てほしい。もうね「ブラボー!!」って感じ。

一同　（笑）。

──MVのメインは、今作のセンターを務める二番煎じさん。あおいさんと激しくぶつかるドラマシーンも印象的ですね。

あおい　撮影中、めっちゃ叫んでました。別に声は出さなくてよかったんですけど、気付いたら自然と。

二番煎じ　あおいが叫んだとき、俺びっくりして普通に後ろに引いちゃった。

ぶんけい　ちょっと押されてましたね（笑）。

二番煎じ　今回、芝居のシーンは全部難しかった。というのも、曲、MV、ダンスと、それぞれ作った人たちの解釈がちょっとずつ違うなと感じて。そこに自分の考えも入れると4パターンの解釈があるから、どこに寄せるかを悩みながら演技しました。きっと正解はないと思うし、おしょいにも「いろんな捉え方が合っていいと思う」と言われたから、自分の思うようにやっていいんだ……と思いつつもそれが難しくて。

──halyosyさんは、楽曲の解釈をあえて伝えないんですか？

halyosy　はい。僕はどの曲も自分の解釈を100％伝えていなくて。それは、ぶんけいくんに対しても一緒なんですけど、いろんな受け取り方で表現してほしいから、あえて大もとを明かさないようにしています。あと一次創作として僕が歌詞を作って、ぶんけいくんの映像が二次創作だとしたら、ファンの皆さんが三次創作で盛り上がってくださる……という広がりもありますし。

とみたけ　YouTubeのコメント欄、見ました？ 考察の書き込みがすごいんですよ。みんな、今までの曲とのつながりを考えていろんなストーリーを作り出していて。僕、暇さえあれば考察コメント見てます（笑）。

ぶんけい　あはははは（笑）。そうやってファンの皆さんの中でいろんな曲がつながっていくのは面白いなって。halyosyさんと同じように僕もそれぞれの解釈で観てもらえたらと思います。僕とかhalyosyさんとか曲に携わるメンバーが共通していて、そこから生まれるものだから自然とつながってしまうのかもしれないし、今までのMVの配役は僕がメンバーの人柄によって決めることが多いからかも。

二番煎じ　観てくれた人にそれぞれのストーリーで楽しんでもらう……俺はそれでいいと思います。

とみたけ　（考察を）見てるこっちも面白いしね。普通にめちゃくちゃ面白いストーリーとかもあって、見始めると寝られないです！

ぶんけい　面白すぎて、たまに嫉妬しますよ（笑）。