音楽ナタリー Power Push - MERRY
結成15年目でつかみにいく「Happy life」
結成15年目を迎えて幸せをつかみにいこうとしてる
──歌詞についてもお聞きしたいんですが、てらいのないストレートな歌詞ですよね。
ガラ 今まであえて難しい歌詞を書くとか、何かに例えて伝えたりしてきましたけど、今俺が伝えたいのは飾りっ気のない自分のストレートな思いなんでこうなりました。MERRY流、ガラ流の幸福論を歌ってる。歌詞にもある「世界がどうなったって 別にそれでいい 目の前の人達を幸せにしたいだけ」っていうのがすべて。
──ええ。
ガラ 一応、歌詞のメッセージは「NOnsenSe MARkeT」で歌ってることとつながってるんですよ。「NOnsenSe MARkeT」では社会に対しての鬱憤とか怒りを中心に歌ってたんですけど、ただ文句を言ってるだけでは仕方がないし、今回は自分たちで行動を起こそうっていう思いが表現されている。テレビをつければいろんな事件とか事故とかありますけど、当事者じゃなかったらなかなかリアルには感じられないし、俺らの生活は変わらないじゃないですか。すごい悲しいニュースがあっても街中で酒飲んでる人は飲んでるし、みんないつも通りの生活をしている。人それぞれの価値観があると思うんです。で、考えた結果、俺はファンのみんながいたり、メンバーがいたりするからバンドがやれてるなあ、幸せだなって感じて。もちろん大変なこともあるんですけど、ライブをしてると全部吹っ飛びますね。このためにライブやってるんだなっていう。そういう気持ちをありのまま出したかった。今回の歌詞は、自分の考え方を押し付けてるわけでも、投げやりになってるわけでもなくて、これが俺なりの幸せなんだよって宣言してるだけ。みんなはみんなの幸せを見つめてねっていうメッセージなんです。
──その歌詞には、MERRYのバンドとしてのスタンスも刻まれている気がしました。
ガラ そうそう。結局は俺らは俺らでしかないっていうのも歌いたかったんですよ。MERRYって今までは不幸を歌ってきたバンドだと思うんです。
──そういう自覚はあるんですね。
ガラ ええ。「幸せになりたい」とか、「自分は不幸です」みたいなことを歌ってきた。そんなバンドが14年やってきて、結成15年目を迎えて幸せを自分でつかみにいこうとしてる。この曲がMERRYの歴史の中で、「あのとき『Happy life』っていうのがあってよかったよね」っていうような1曲にしたいというのもあります。最初この「Happy life」ってタイトルが出たときに、ファンの人も「どうしたの?」って思ったと思うんです。でもつらいより楽しいほうがいいし、笑ってるほうがいいじゃないですか。誰でもハッピーな日がいつかくればいいなと思ってがんばっていると思うんで。そういう思いを自分たちでも歌えたかな。
「Happy life」はなんとなく作った1枚じゃない
──ちなみにMERRYにとって“Happy life”を送る上での秘訣ってなんですか?
ガラ まさに俺、昨日誕生日ライブをして(取材は7月7日に実施)、その中で「今年1年をこうして生きていこう」みたいなテーマを掲げたんです。
──そのテーマとは?
ガラ 自分のために生きること、わがままになること。まず自分がどうやったら幸せになるのか考えなきゃと。で、俺が幸せであることで、周りの人も幸せにしていけるんじゃないかなって。
──ちなみにほかのメンバーの皆さんはどうですか?
ネロ 俺はファンと意志を共有することだと思いますね。
結生 今年はライブの年にしてるんですけど、すごく調子がよくて。俺としては間を空けずにライブをやり続けることが、“Happy life”を送れる秘訣かなって。活動休止していた時期は本当にひどいテンションだったし。やっぱり動いていないと死んじゃうバンドなんだなってそのとき実感して。MERRYにとって幸せなことは、ずっと動き続けていることだと思います。
健一 あとは楽しむことですよね。自分たちが楽しむことができれば、続けていけると思うんで。
テツ 僕は、4人がしっかりバンドを動かしていってくれることだと思ってます。ケガをしてから、バンドでもプライベートでも、普段当たり前にやれてることが実はすごいことなんだって思うことが多々あって。それへの感謝があると、不満がなくなるんですよ。ただ一方でほかの4人のストレスは相当なものだと思うんです。それでも「Happy life」という新曲を作って……。決して今回のシングルはなんとなく作った1枚じゃないんです。これまでの経験があったからこそ生まれた1枚だと思ってます。
──ミュージックビデオはかなり強烈なものに仕上がってますね。トマトをぶつけあうスペインのお祭り「トマティーナ」を意識したそうで。
ガラ はい。「MERRY、なんかいろんなことやってんな」って思ってもらいたくて。15年くらい前にメリーって名前で活動し始めて、曲を発表していく中で「MERRYってこうだよね」っていうイメージが作られて……。でも、もともと何をしでかすかわからなくてはちゃめちゃなバンドなんですよ俺らって。「Happy life」をきっかけにじゃないですけど、これからもファンの人たちを驚かせ続けられるバンドでいたいなとは思います。
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- ニューシングル「Happy life」2015年8月5日発売 / FIREWALL DIV.
- 初回限定盤 [CD+DVD] 2500円 / SFCD-0156~7
- 通常盤 [CD]1300円 / SFCD-0158
CD収録曲
- Happy life
- 臆病者の眠り方
- 絶望 feat. 増子 直純(怒髪天)(※通常盤のみ収録)
初回限定盤DVD収録内容
<ライブ映像>
Grateful Year 2015「NOnsenSe MARkeT B1」
2015.2.27 下北沢CLUB Que
- NOnsenSe MARkeT
- 不均衡キネマ
- 暗闇にピンク
- Zombie Paradise ~地獄の舞踏曲~
- stupid×cupid
- sweet powder
- 千代田線デモクラシー
- 「東京」
- Carnival
- 梟
- 群青
※メンバーによるオーディオコメンタリー付き
MERRY(メリー)
2001年にガラ(Vo)を中心に結成された5人組バンド。激しさと憂いを内包したサウンドや、ガラが墨汁や卵を吐くといった強烈なパフォーマンスで人気を獲得する。2003年には東京・日本青年館で初のホールライブを行い、清春のレーベル「FULLFACE RECORDS」から1stアルバム「現代ストイック」を発表する。2006年からはドイツやフランスをはじめとする海外でのライブやリリースなど、ワールドワイドな活動を行う。2010年にDIR EN GREYらが所属するFIREWALL DIV.に移籍し、作品のリリースやライブを重ねる。2013年2月よりガラの椎間板ヘルニア悪化に伴い一時活動休止するも8月より活動を再開させ、11月にシングル「ZERO -ゼロ-」を発表した。「ZERO -ゼロ-」発売と同時期にテツ(B)がライブ中に負傷し療養期間に入る一方で、バンドは活動を継続する。2014年12月に約3年5カ月ぶりとなるアルバム「NOnsenSe MARkeT」を、2015年8月にシングル「Happy life」をリリース。