音楽ナタリー PowerPush - MERRY
捨てることで生まれた最高傑作「NOnsenSe MARkeT」
MERRY=「笑点」!?
──アルバム全体を通して、それぞれの楽器の音もぶっ飛んでますよね。例えば「暗闇にピンク」とか、めちゃくちゃ凶暴な音じゃないですか?
結生 それはたぶんベースですね。ものすごく歪んでるし、怒ってる音なので。
ネロ フラストレーションが爆発してるんでしょうね。
結生 「自意識過剰型木偶人間」も感情が爆発してますね。すごくリアルだと思います。
ネロ テツさんのベースは最後に録ったんですよ。ドラムに関しても「テツさんはこう弾くだろう」というのをイメージしながらレコーディングしてたんですけど、そういうことができたのも、13年間の中で培ったコミュニケーションのおかげかな、と。
ガラ 曲もけっこう書いてましたからね、テツさん。中には「これはさすがに暗すぎるな」という曲もあったんですけど、メンバーとも「今のテツさんじゃないと書けない曲だな」って話していて。仮歌の歌詞も、生きることに貪欲な人間の言葉が多かったんですよね。
──生きることに貪欲というのは、MERRY全体に言えることかもしれないですね。何があっても進んでいく意思というか。
ネロ 活動休止して、地下に潜ってるときも「ここからの1日1日が大事だ」と思ってたし、刀を研ぎすますような時期だったと思っていて。それがこのアルバムにつながって、これから花が開くと思うとすごく気分がいいですね。
ガラ それがアルバムのジャケットにもつながってるんですよ。骨花アーティストの徳重さん(死んだ動物の骨や毛皮で模した造花“骨花”を制作するアーティストの徳重秀樹)に作ってもらったんですけど、この花、全部ネズミの骨でできてるんですよ。死んだネズミを解剖して、骨で花を作って、それを写真に撮って、そのあとで埋葬するっていう。MERRYも1度死んでるバンドだと思うし、「ここからもう一度、日の目を見るんだ」という気持ちでやってるので。「NOnsenSe MARkeT」で勝負をかけるという意識は強いですね。
──ここからが本当の勝負である、と。
結生 11月のツアー(「NOnsenSe MARkeT」のアルバムショーケースツアー「暗闇にピンク」)でもアルバムの曲をやってるんですけど、初日からこれまでに感じたことがないくらいの反応があったんですよね。
──2015年1月2日の渋谷公会堂のライブも重要な意味を持つことになりそうですね。
結生 アルバム発売後、一発目のワンマンライブですからね。
ネロ MERRYにとっても思い出のある会場ですからね。節目節目でライブをやってきた場所なので、思い入れのある曲もやりたいと思っています。
ガラ 12月30日は「COUNTDOWN JAPAN 14/15」、31日が「Over The Edge’14」、元日はリハで2日が渋谷公会堂なんですよ。2015年は“Greatful Year”と位置付けてるので、正月のライブはコケれないですね(笑)。未年だし、来年は絶対、素晴らしい年にしたいんですよ。
ネロ うん。あとはテツさんが戻ってきて、ツアーができれば。
ガラ テツさんが戻ってきやすい状況を作るためにもがんばらないと。
ネロ 今回のアルバムも完全にライブを意識してるんですよ。このままの曲順でライブをやってもいいくらいなんで。
健一 曲はライブで成長しますからね。もっと言えば、発売した時点では完成してないというか。来年のライブの中でどう変化するかはわからないですけど、いい形で完成させたいですね。
──めちゃくちゃ楽しみです。それにしてもMERRYはタフなバンドですよね。これだけの困難を乗り越え、13年間バンドを続けられた理由はなんだと思いますか?
ガラ なんだろうね?
結生 5人の距離感じゃないですかね、まずは。
ネロ あ、それはあるかも。
結生 近すぎず遠すぎず、なんとも言えない関係性なんで。
ガラ 「笑点」みたいなものかもね。
──(笑)。どうしてですか?
ガラ 「笑点」(の大喜利)にも、それぞれのメンバーのポジションとかキャラクターがあるじゃないですか。ボケ役がいたり、腹黒いキャラがいたり、座布団を持ってくる人がいたり。でも、日曜日の夕方には必ずやってるっていう。
結生 はははは(笑)。
ガラ MERRYも似てると思うんですよね。まずバンドという存在があって、その中でメンバーのポジションを持っていて。そういうことじゃないですかね、たぶん。
ライブ情報
- Grateful Year 2015 「ヴァニラスカイアバンギャルド」
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- 2015年1月2日(金)東京都 渋谷公会堂
- ニューアルバム「NOnsenSe MARkeT」2014年12月24日発売 / FIREWALL DIV.
- 初回限定盤A [CD+DVD] 5400円 / SFCD-0145~6 / Amazon.co.jp
- 初回限定盤B [CD2枚組] 5400円 / SFCD-0147~8 / Amazon.co.jp
- 通常盤 [CD] 2592円 / SFCD-0149 / Amazon.co.jp
CD収録曲
- iNtO the mARkeT
- NOnsenSe MARkeT
- 「東京」
- 自意識過剰型木偶人間
- ZERO -ゼロ-
- 暗闇にピンク
- Hide-and-seek
- Zombie Paradise ~地獄の舞踏曲~
- Carnival
- Station 07
- 千代田線デモクラシー
- 梟
- Unreachable Voice
- 群青
初回限定盤A DVD収録内容
<ツアードキュメント映像>
THE ZOMBIE ~地獄に堕ちた野郎ども~ 2014.5.24 Zepp DiverCity
- 【collector】
- センチメンタルニューポップ
- Midnight Shanglira
- Hide-and-seek
- 【D・D・D】
- 絶望
- 消毒
初回限定盤B CD収録曲
<アコースティック音源>
- 窓から逃げたラブソング
- カナリア
- 冬のカスタネット
- 閉ざされた楽園
- SWAN
<ライブ音源>
■MERRY 2013「devour」at SHIBUYA-AX 2013.2.13 SHIBUYA-AX
- 罪
- ジャパニーズモダニスト
■MERRY 「devour act 2」 拝啓、最モ臭イ遊戯 絶望ノ窓カラ闇二降ル星…貪リ食ウ夢 at 日比谷野外大音楽堂 2013.8.10 日比谷野外大音楽堂
- 梟
- Screams of the Dark
- オリエンタルBLサーカス
- 群青
MERRY(メリー)
2001年にガラ(Vo)を中心に結成された5人組バンド。全国のインディーズショップへのデモMDばら撒きやライブを繰り返していくとともに、激しさと憂いの両方を内包したサウンドで人気を獲得する。2003年には東京・日本青年館で初のホールライブを行い、清春のレーベル「FULLFACE RECORDS」から1stアルバム「現代ストイック」を発表する。2006年からはドイツやフランスをはじめとする海外公演やCDリリースなど、ワールドワイドな活動を行う。2009年にDIR EN GREYらが所属するFIREWALL DIV.に移籍し、新作のリリースやライブを重ねる。2013年2月よりガラの椎間板ヘルニア悪化に伴い一時活動休止するも8月より活動を再開。11月にシングル「ZERO -ゼロ-」を発表する。なお「ZERO -ゼロ-」発売と同時期にテツ(B)がライブ中に負傷するが、バンドは活動を継続。2014年12月に約3年5カ月ぶりとなるアルバム「NOnsenSe MARkeT」を発表した。