音楽ナタリー PowerPush - MERRY
捨てることで生まれた最高傑作「NOnsenSe MARkeT」
毒キノコみたいな存在でいたい
──今回もガラさん以外のメンバー全員が作曲していますが、アルバムのタイトル曲「NOnsenSe MARkeT」の作曲は「MERRY」とクレジットされてますね。
結生 今のガラが歌詞の話をしてましたけど、この曲は詞先なんですよ、MERRY初の。しかもアルバムの中で最後に作った曲なんです。ガラが歌詞を持ってきて「これで曲を作ってほしい」って。今までやったことがなかったし、最初は「めちゃくちゃなこと言うな」って思ったんですけど、同時に「面白いかも」とも思って。ちょうどイベントで神戸にいたときだったんですけど、楽器隊だけでホテルの部屋に集まって、テンポとかコード進行を決めて。まさに1から作った感じですね。
ネロ アルバムの制作を通して、振り切ったことができたという手応えはあったんですよ。でも、それを締めくくるような曲がどうしてもできなかったんですよね。ガラが歌詞を持ってきたのはギリギリのタイミングだったんですけど、そこはもう踏み込もうと。結果的にこの曲は、すごくいいアルバムの“扉”になったと思います。
結生 14曲目の「群青」も同じような感じで作ったんですよね、実は。ライブ中、地方のホテルの部屋に集まって1から作ったので。そのときはテツさんもいたんですけど、アルバムの最初と最後が「作曲:MERRY」の曲っていうのも、きれいに収まった感じがあって。たまにやるとすごくいいんですよね、その作り方。バンド感を見直すことができるし、バンドを始めた頃の感覚に戻れるので。
ガラ 曲のタイトルをアルバムのタイトルにするのも初の試みなんです。今はNGがないというか、「これはやっちゃダメ」っていうのを取っ払ったのもよかったんですよね。「NOnsenSe MARkeT」のPVにしても、「どうなるかわからないけど、なんか面白そうだからやってみよう」っていう感じだったし。アルバムが完成したことでさらに前のめりになれたと思うし、いい風が吹いてきた感じがありますね。もともとこのアルバムの制作に入ったとき――あと何枚アルバムを作れるかわからないですけど――「あのアルバムでMERRYは変わったよね」「あそこからカッコよくなったよね」って言われるようなものにしたかったんです。そこにちゃんと着地できたんじゃないかなって。
ネロ 普通にカッコいいバンドには“ナンセンス”っていうタイトルは付けられないと思うんですよ。MERRYの13年間はなんだったんだ?って考えると、「ヘン」とか「ナンセンス」ということだと思うんです。人から見たらバカバカしかったり、中身がないと思われることであっても、それを貫いて「カッコいい」と思われるまで一生懸命やってきて。そこに引き込まれた人にとっては、この上なくいいものなんでしょうし。
ガラ ここ数年、いろんなバンドと対バンしたり、フェスやイベントに出たこともよかったと思いますね。そこで感じた刺激は各々違うと思うけど、それも確実にこのアルバムに反映されてるので。俺自身はとにかく「なんて小さい世界で生きてきたんだろう」って思い知らされましたね。ずっと「ライブにはお客さんがいて当たり前」という状況でやってきたんですけど、フェスに出ると選ばれる側になるわけじゃないですか。向こうのほうを素通りする人を見て「あの人たちの足を止めるのは、どうしたらいいだろう?」ってすごく考えたんですよ。それはショックな場面でもあったんですけど、それがバンドのステップアップにつながったんじゃないかなって。
ネロ かといって、ヘンに周りを意識する必要はないなとも思いましたけどね。ジャンルとかではなく、自分たちの世界観を100%、120%出せば、それがベストなんだっていう。
ガラ 毒キノコみたいな存在でいたいですよね。見た目は普通にきれいなんだけど、食べたら猛毒っていう。ただねえ、がんばって作ったタイトル曲がラジオでかけられないんですよ(笑)。まあ、それもロックでいいですけどね。
──いいじゃないですか、まさに毒キノコみたいで。
ガラ (笑)。
次のページ » MERRY=「笑点」!?
- ニューアルバム「NOnsenSe MARkeT」2014年12月24日発売 / FIREWALL DIV.
- 初回限定盤A [CD+DVD] 5400円 / SFCD-0145~6 / Amazon.co.jp
- 初回限定盤B [CD2枚組] 5400円 / SFCD-0147~8 / Amazon.co.jp
- 通常盤 [CD] 2592円 / SFCD-0149 / Amazon.co.jp
CD収録曲
- iNtO the mARkeT
- NOnsenSe MARkeT
- 「東京」
- 自意識過剰型木偶人間
- ZERO -ゼロ-
- 暗闇にピンク
- Hide-and-seek
- Zombie Paradise ~地獄の舞踏曲~
- Carnival
- Station 07
- 千代田線デモクラシー
- 梟
- Unreachable Voice
- 群青
初回限定盤A DVD収録内容
<ツアードキュメント映像>
THE ZOMBIE ~地獄に堕ちた野郎ども~ 2014.5.24 Zepp DiverCity
- 【collector】
- センチメンタルニューポップ
- Midnight Shanglira
- Hide-and-seek
- 【D・D・D】
- 絶望
- 消毒
初回限定盤B CD収録曲
<アコースティック音源>
- 窓から逃げたラブソング
- カナリア
- 冬のカスタネット
- 閉ざされた楽園
- SWAN
<ライブ音源>
■MERRY 2013「devour」at SHIBUYA-AX 2013.2.13 SHIBUYA-AX
- 罪
- ジャパニーズモダニスト
■MERRY 「devour act 2」 拝啓、最モ臭イ遊戯 絶望ノ窓カラ闇二降ル星…貪リ食ウ夢 at 日比谷野外大音楽堂 2013.8.10 日比谷野外大音楽堂
- 梟
- Screams of the Dark
- オリエンタルBLサーカス
- 群青
MERRY(メリー)
2001年にガラ(Vo)を中心に結成された5人組バンド。全国のインディーズショップへのデモMDばら撒きやライブを繰り返していくとともに、激しさと憂いの両方を内包したサウンドで人気を獲得する。2003年には東京・日本青年館で初のホールライブを行い、清春のレーベル「FULLFACE RECORDS」から1stアルバム「現代ストイック」を発表する。2006年からはドイツやフランスをはじめとする海外公演やCDリリースなど、ワールドワイドな活動を行う。2009年にDIR EN GREYらが所属するFIREWALL DIV.に移籍し、新作のリリースやライブを重ねる。2013年2月よりガラの椎間板ヘルニア悪化に伴い一時活動休止するも8月より活動を再開。11月にシングル「ZERO -ゼロ-」を発表する。なお「ZERO -ゼロ-」発売と同時期にテツ(B)がライブ中に負傷するが、バンドは活動を継続。2014年12月に約3年5カ月ぶりとなるアルバム「NOnsenSe MARkeT」を発表した。