音楽ナタリー PowerPush - MERRY
捨てることで生まれた最高傑作「NOnsenSe MARkeT」
“歌”を際立たせるために
──これまで以上に歌が中心になっていて、歌詞の内容が強く伝わってくる印象もありました。
ガラ めっちゃうれしいですね、そう言ってもらえるのは。確かに今回は歌が聞こえやすいと思うんですよ。歌い方にも気を付けたし、ミックスでもこだわったので。
結生 簡単に言うとバランスの問題なんですけどね。とにかく歌詞がブッ飛んでると思ったから、「Beautiful Freaks」のときのような細かいアレンジをすると、歌詞が伝わりづらくなるなって。音数もそんなに増やしてないんですよ、実際。
──「Beautiful Freaks」は緻密なアレンジを軸にした作品で、曲によっては混沌とした雰囲気もあって。今回はすごく聴きやすいですよね、いい意味で。
結生 アレンジに関しては、デモの段階からキーワードを決めた上で進めていったんです。「この曲は“怒り”」「これは“叫び”」という感じで方向性を定めて、そこから脱線しないようにアレンジして。だから「原曲とはまったく別物になった」ということはなかったですね。
ネロ もう1つは、どんなにマニアックな曲でもウルサイ曲でもバラードでも、キャッチーであることを意識して。
──それもすべて“歌”を際立たせることにつながってるわけですね。
ガラ そうですね。とにかく言葉を伝えたい、刺したいと思っていたので。今までは自分が言いたいことを書くことが一番大事で、聴いてる人がどう思ってもいいというか、「あとは自分で考えて」って投げっぱなしにしてたところがあったんです。でも今回はライブに来てくれる人、MERRYを好きな人たちに向けて、今自分が思っていること、伝えたいことを120%届けたいと考えていたので。俺たちが何をやろうとしていて、どこを目指してるかをちゃんと伝えた上で、ファンの人たちの中でいろんな会話が広がってくれたらいいなっていう。なんていうか、今までの自分を変えるところから始まったんですよ、今回は。
──先ほどの「今までのMERRYらしさを一度白紙に戻す」という話にも重なりますね。
ガラ そうですね。ずっと歌詞を書いてると、自分の中でセオリーみたいなものができてくるんですよ。それを崩して、自分自身と向き合うところから始めたから、けっこう大変だったんですけどね。1カ月以上かかった曲もあるし、どこが終わりなのかもわからないままずっと歌詞を書き続けて。それだけ思いが強かったんでしょうね。
──今の社会の現状に対する強烈なメッセージも込められていますね。
ガラ よくも悪くも突出することが大事だと思ったし、愛してるとか好きとか、そういう歌はほかの人でも歌えるじゃないですか。俺が歌うべきことがあるはずだし、その中には世の中に対する不満もあるんですよね。上からではなくて、「今、こんなことが起きてるんだよ。どう思う?」ということが伝えられたらなと。あと、もっと大勢の人に向けたいという気持ちもあったんですよ。シングルの3曲に関しては、ガラ個人の思いが強かったんです。「群青」はファンの人たちに「ありがとう」と言ってる曲だし、「梟」は「今に見てろ。ここからひっくり返してやる」という気持ちで書いたし、「ZERO -ゼロ-」はまさに自分が復活するための歌というか。「ここから始めるんだ」という思いが込められていて。言ってみればMERRYというバンドを使って、自分が歌いたいことを歌ってたんですけど、今は真逆で、MERRYをもっと押し出すために歌詞を書いてるんですよね。
──180度違うスタンスですね、それは。
ガラ はい。やっぱり“今までの自分を捨てる”というところから始めたのが大きかったと思います。そのことによってMERRY、ガラというものを客観的に見ることができたし。今までの自分を捨てることで、「まだいっぱい入るな」って思ったんですよ。もういっぱいだと思ってたし、やり尽くしたと思うこともあったんですけど、USBの中身をゴミ箱に入れたら「まだまだ入るな」って。
結生 USBっていう例えは違うような気がする(笑)。
ネロ ハードディスクのほうがいいかも(笑)。
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- ニューアルバム「NOnsenSe MARkeT」2014年12月24日発売 / FIREWALL DIV.
- 初回限定盤A [CD+DVD] 5400円 / SFCD-0145~6 / Amazon.co.jp
- 初回限定盤B [CD2枚組] 5400円 / SFCD-0147~8 / Amazon.co.jp
- 通常盤 [CD] 2592円 / SFCD-0149 / Amazon.co.jp
CD収録曲
- iNtO the mARkeT
- NOnsenSe MARkeT
- 「東京」
- 自意識過剰型木偶人間
- ZERO -ゼロ-
- 暗闇にピンク
- Hide-and-seek
- Zombie Paradise ~地獄の舞踏曲~
- Carnival
- Station 07
- 千代田線デモクラシー
- 梟
- Unreachable Voice
- 群青
初回限定盤A DVD収録内容
<ツアードキュメント映像>
THE ZOMBIE ~地獄に堕ちた野郎ども~ 2014.5.24 Zepp DiverCity
- 【collector】
- センチメンタルニューポップ
- Midnight Shanglira
- Hide-and-seek
- 【D・D・D】
- 絶望
- 消毒
初回限定盤B CD収録曲
<アコースティック音源>
- 窓から逃げたラブソング
- カナリア
- 冬のカスタネット
- 閉ざされた楽園
- SWAN
<ライブ音源>
■MERRY 2013「devour」at SHIBUYA-AX 2013.2.13 SHIBUYA-AX
- 罪
- ジャパニーズモダニスト
■MERRY 「devour act 2」 拝啓、最モ臭イ遊戯 絶望ノ窓カラ闇二降ル星…貪リ食ウ夢 at 日比谷野外大音楽堂 2013.8.10 日比谷野外大音楽堂
- 梟
- Screams of the Dark
- オリエンタルBLサーカス
- 群青
MERRY(メリー)
2001年にガラ(Vo)を中心に結成された5人組バンド。全国のインディーズショップへのデモMDばら撒きやライブを繰り返していくとともに、激しさと憂いの両方を内包したサウンドで人気を獲得する。2003年には東京・日本青年館で初のホールライブを行い、清春のレーベル「FULLFACE RECORDS」から1stアルバム「現代ストイック」を発表する。2006年からはドイツやフランスをはじめとする海外公演やCDリリースなど、ワールドワイドな活動を行う。2009年にDIR EN GREYらが所属するFIREWALL DIV.に移籍し、新作のリリースやライブを重ねる。2013年2月よりガラの椎間板ヘルニア悪化に伴い一時活動休止するも8月より活動を再開。11月にシングル「ZERO -ゼロ-」を発表する。なお「ZERO -ゼロ-」発売と同時期にテツ(B)がライブ中に負傷するが、バンドは活動を継続。2014年12月に約3年5カ月ぶりとなるアルバム「NOnsenSe MARkeT」を発表した。