音楽ナタリー PowerPush - MERRY
捨てることで生まれた最高傑作「NOnsenSe MARkeT」
MERRYが「Beautiful Freaks」(2011年リリース)以来、約3年5カ月ぶりとなるニューアルバム「NOnsenSe MARkeT」を完成させた。2013年2月にガラ(Vo)の椎間板ヘルニアの手術のため活動休止し、同年10月にはテツ(B)がライブ中の事故により表舞台から離脱するなど、さまざまなアクシデントに見舞われ続けたMERRY。シングル「群青」「梟」「ZERO -ゼロ-」を含む本作には、この数年間におけるシリアスな経験と“どんな困難があってもバンドを動かし続けるんだ”という意思が強く反映されている。
今回ナタリーでは、ガラ、結生(G)、健一(G)、ネロ(Dr)の4人にインタビュー。シンプルかつ独創的なバンドサウンド、社会的なメッセージを込めた歌詞など、新たな変化も感じられる本作、そして2013年から2014年にかけてのバンドの状況についても語ってもらった。
取材・文 / 森朋之
MERRYらしさを1回捨てた
──ついにニューアルバム「NOnsenSe MARkeT」が完成しました。オリジナルアルバムのリリースは実に3年5カ月ぶりですね。
ネロ そうですね。波乱万丈の3年5カ月でした。
ガラ 前回ナタリーさんで取材してもらったのが「ZERO -ゼロ-」(2013年11月 / MERRY「ZERO -ゼロ-」インタビュー)のときだったんですけど、あのときがまさに「ここからもう一度がんばっていこう」という時期で。
ネロ 2013年の2月に活動休止して、その後、「ZERO -ゼロ-」を出すちょっと前のライブ中にテツさんがケガして。このバンドを始めてからの13年の中でも特に大きなアクシデントだったんですけど、その経験が大きな変化をもたらしてくれたんですよね、結果的には。「ピンチはチャンス」ってよく言いますけど、それぞれが役割を果たして、がんばってこれたんじゃないかなと。
──2014年はMERRY復活のための序章的な1年だったのかもしれないですね。
ネロ 2014年は大きなツアーを2本やったんですよ。ゾンビツアー(4月~5月にかけて行われた「THE ZOMBIE ~地獄に堕ちた野郎ども~」)とムックに支えてもらったツアー(ムック主催による「SIX NINEWARS -ぼくらの七カ月間戦争-Episode.4『TRIANGLE』」)なんですが、どっちのツアーもこの4人でステージに立ったんです。そのときの経験もこのアルバムに反映されてると思いますね。
ガラ そうだね。
ネロ テツさんはディレクター的な立場で関わってくれたんですよね。MERRYをちょっと離れたところから見て、曲のバランス、タイトル、歌詞を含めて、トータルでいろんな意見をくれて。それもすごくよかったと思います。
健一 普通のバンドが経験してないことを経験してますからね、このバンドは。その経験はこのアルバムにも生かされてると思うし。
ネロ 最高傑作ですね。今振り返ってみると、この3年5カ月の出来事もすべて必然だったのかもしれないと思うんですよ。
──メンバーの皆さんの力で「必然だった」と言える状況に持っていったということですよね。
ネロ そうですね。1年前はこんなに元気じゃなかったと思うし……。ナタリーさんもチェックしてなかったですからね。ほかのバンドの活動の情報を見ると「すげえ攻めてるな。それに比べて自分たちは……」ってなっちゃうから。今は毎日見てますけど。
──3年5カ月というインターバルがあれば、音楽的な変化も生まれると思うんですが、そこはどう捉えてますか?
ガラ 変化ということでは、10周年のときにリリースした「群青」から始まっていたと思いますね。
結生 MERRYはシングルで音楽的な実験をやることが多いんですよ。「群青」「梟」「ZERO -ゼロ-」でもかなりいろんなことを試したし。シングルのインタビューのときもたぶん言ってたと思うんですけど、それまでのMERRYらしさを1回捨ててみようと思ってたんです。前作の「Beautiful Freaks」ですごく満足できたというのもあったし、このタイミングで1回、白紙に戻してみようって。最終的にはMERRYらしいものに収まるんですけどね。
ガラ そうだね。「こんな曲が欲しい」とか「こういうアプローチでやってみよう」ってゴチャゴチャやるんですけど、結果、MERRYらしさに戻ってくるというか。それは今回のアルバムも同じですね。
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- ニューアルバム「NOnsenSe MARkeT」2014年12月24日発売 / FIREWALL DIV.
- 初回限定盤A [CD+DVD] 5400円 / SFCD-0145~6 / Amazon.co.jp
- 初回限定盤B [CD2枚組] 5400円 / SFCD-0147~8 / Amazon.co.jp
- 通常盤 [CD] 2592円 / SFCD-0149 / Amazon.co.jp
CD収録曲
- iNtO the mARkeT
- NOnsenSe MARkeT
- 「東京」
- 自意識過剰型木偶人間
- ZERO -ゼロ-
- 暗闇にピンク
- Hide-and-seek
- Zombie Paradise ~地獄の舞踏曲~
- Carnival
- Station 07
- 千代田線デモクラシー
- 梟
- Unreachable Voice
- 群青
初回限定盤A DVD収録内容
<ツアードキュメント映像>
THE ZOMBIE ~地獄に堕ちた野郎ども~ 2014.5.24 Zepp DiverCity
- 【collector】
- センチメンタルニューポップ
- Midnight Shanglira
- Hide-and-seek
- 【D・D・D】
- 絶望
- 消毒
初回限定盤B CD収録曲
<アコースティック音源>
- 窓から逃げたラブソング
- カナリア
- 冬のカスタネット
- 閉ざされた楽園
- SWAN
<ライブ音源>
■MERRY 2013「devour」at SHIBUYA-AX 2013.2.13 SHIBUYA-AX
- 罪
- ジャパニーズモダニスト
■MERRY 「devour act 2」 拝啓、最モ臭イ遊戯 絶望ノ窓カラ闇二降ル星…貪リ食ウ夢 at 日比谷野外大音楽堂 2013.8.10 日比谷野外大音楽堂
- 梟
- Screams of the Dark
- オリエンタルBLサーカス
- 群青
MERRY(メリー)
2001年にガラ(Vo)を中心に結成された5人組バンド。全国のインディーズショップへのデモMDばら撒きやライブを繰り返していくとともに、激しさと憂いの両方を内包したサウンドで人気を獲得する。2003年には東京・日本青年館で初のホールライブを行い、清春のレーベル「FULLFACE RECORDS」から1stアルバム「現代ストイック」を発表する。2006年からはドイツやフランスをはじめとする海外公演やCDリリースなど、ワールドワイドな活動を行う。2009年にDIR EN GREYらが所属するFIREWALL DIV.に移籍し、新作のリリースやライブを重ねる。2013年2月よりガラの椎間板ヘルニア悪化に伴い一時活動休止するも8月より活動を再開。11月にシングル「ZERO -ゼロ-」を発表する。なお「ZERO -ゼロ-」発売と同時期にテツ(B)がライブ中に負傷するが、バンドは活動を継続。2014年12月に約3年5カ月ぶりとなるアルバム「NOnsenSe MARkeT」を発表した。