音楽ナタリー PowerPush - Mellowhead
盟友ボーカリスト3名とタッグ「Kanata」で描く新たな世界
Pro Toolsがあれば30秒で切り替えられる
──現在深沼さんはMellowhead、PLAGUES、GHEEEという3つのプロジェクトでそれぞれアクティブに活動しています。こういう活動の仕方をしているアーティストはかなり珍しいと思うんですが。
しかも年に2回くらい弾き語りのライブやったりしてて、そのときは全部の曲ごちゃ混ぜでやってるしね。
──相当忙しいですよね。
でも、まあ成り行き上こうなってるだけだから(笑)。でも20年以上音楽をやってきて、どの現場でも全力を出せるようになった。だから「しばらくこれ一本に集中したい」とかないんです。若いバンドのプロデュースとかも全部ひっくるめて、音楽が仕事になってて超楽しい!としか思わなくなった。
──意識を切り替えるのが難しそうですけど。
やっぱりそこはテクノロジーの進歩が大きいですよね。いくつかの仕事が並行して動いてるときでも、Pro Toolsを使ってると立ち上げた瞬間に全部の設定が前のまま残っているから、1つが煮詰まって別のことをやろうと思ったときに、30秒あれば切り替えられる。そういう環境のおかげで3つバンドあってもなんとかなってるっていうのはありますよね。
──それにしても多作ですよね。創作意欲が枯渇したりといったことは?
それは全然なくて、1つできるとすぐに新しいのを作りたくなるんです。その感覚はここ10年ぐらいでより強くなった。だって自分がこんな40半ばになるまで音楽やってると思ってなかったですからね。こんなに音楽好きだったっけ?みたいな(笑)。ここ1年くらいは人生最高に忙しいけど、でもそれが楽しいんですよ。
自分の庭にみんなを呼び込めるようになった
──デビューから20年以上経った今も楽しさが持続しているのは素晴らしいですね。
自分でも驚きですけど。今、自宅スタジオをちょっとずつ改造してるんだけど、電気ドリルでラックとか組み立ててるとき、それだけでけっこう楽しかったりね。これでだいぶ作業が楽になるとか思って、そんなくだらないことにもすごい喜びを感じる。
──いい状況ですね。
それに今自分がやってるプロジェクトはそれぞれ特色もあるし、例えば佐野さんとこに行ったら、そこで求められてるギターを弾いてコーラスをする。いろんな場所で自分に求められてることがあって、これはもう運がいいとしか言いようがない(笑)。なんてありがたいことだろうって思ってます。
──そしてMellowhead自体も形を変えながら進化を続けていますよね。初期はもっと箱庭感があって、閉じた世界の中で深沼さんが緻密に作っているイメージが強かったですが。
確かにそうかも。Mellowheadのスタンス自体は変わらないけど、いろんなプレイヤーが入ってくるようになりましたよね。自分の庭にみんなを呼び込めるようになったというか、誰かが入ってきてもMellowheadを維持できるようになった。
──成長したということ?
うん、でもそれはいろんなプロジェクトに関わって刺激を受けたり影響を受けたり、そういうものがあったからこそだと思うんです。自分1人で成長したわけじゃない。それがMellowheadのスケール感とか、新しい音につながっていくんだと思うんですよね。
- ニューアルバム「Kanata」 / 2015年4月22日発売 / [CD2枚組] 3780円 / LAVAFLOW RECORDS / DQC-1473~4
- [CD2枚組] 3780円 / DQC-1473~4
収録曲
- 逆光のせい
- その予感
- Silent bliss
- 未完成(feat. 堀込泰行)
- スパムの森
- Come together
- Memory man(feat. 片寄明人)
- 残像の部屋(feat. 西寺郷太)
- 乾いた涙無駄にならないように
- 5秒前のゴースト
- 栞
- 手の温度
- 逆光のせい(reprise / feat. 堀込泰行)
bonus disc
- Better days(feat. 佐野元春 2015 New mix)
- Convertible(feat. 片寄明人 2015 New mix)
- ラハイナ(feat. TURNER CAR 2015 New mix)
- MABATAKI Rewind(feat. 竹内宏美 English ver.)
- Leviathan(未発表曲)
- 未完成(FKNM Vocal ver.)
- 残像の部屋(FKNM Vocal ver.)
- Memory man(FKNM Vocal ver.)
Mellowhead(メロウヘッド)
深沼元昭のソロプロジェクト。PLAGUESのフロントマンとして活躍していた深沼が、バンドの活動休止を機に2002年より始動させる。バンド時代とは趣の異なる宅録スタイルを特徴とし、2003年4月に1stアルバム「Mellowhead」をリリース。2009年からはバンドサウンドを主軸としたスタイルに移行した。また深沼は作家・プロデューサーとして多くのアーティストの作品を手がけるほか、佐野元春 & THE COYOTE BANDにもギタリストとして参加。2007年からはGHEEE、2010年からはPLAGUESでの活動も並行して行っている。