7人組ガールズロックユニット・MELiSSAが1stアルバム「GATHERWAY」をリリースした。
MELiSSAは2019年4月にアイドルカレッジの派生ユニットとして誕生。松隈ケンタ率いるSCRAMBLESが手がける激しいサウンドのロックナンバーを武器に、王道アイドルである母体グループとは異なる独自の路線を歩んできた。今年に入るとオリジナルメンバーの1人であるAYUの卒業に伴い新メンバーオーディションが行われ、5月にAiNA、MiSAKi、YU-Kiの3人が加入。7人体制での活動がスタートした。音楽ナタリーではメンバー全員と古川朋久プロデューサーに集まってもらい、初期5人時代の音源と新録曲の両方を収めた「GATHERWAY」の話題に加え、結成の経緯、アイカレの派生ユニットにもかかわらず外部から新メンバーを入れた理由についてインタビュー。今後MELiSSAがどこへ向かっていくのか、たっぷりと話を聞いた。
取材・文 / 近藤隼人 撮影 / 宇佐美亮
ロックユニットとして結果が残せそうな5人を選んだ
──MELiSSAはアイドルカレッジの派生ユニットとして2019年に誕生しました。アイカレは王道的なアイドルとして活動していますが、その中でガールズロックユニットを立ち上げたのはどういう経緯があったんですか?
古川朋久 もともと僕はアイカレでプロデューサー的な立ち回りをしていて。以前、アイカレはチームI、D、C、Up's Collegeというようにグループ内で分かれていて、それぞれコンセプトを持って活動していたんですけど、一旦そのチームを解体してもっとコンセプトを突き詰める形にしようという話が出てきたんです。僕は前からロック系のユニットを手がけたいと思っていたので、事務所と話してMELiSSAを作りました。メンバーもロックユニットとして結果が残せそうな5人を僕の独断で選びました。
──メンバー選びの基準をもっと具体的に言うと?
古川 一番大事にしているのは声質ですね。歌唱力というより、ロック調の楽曲に合う声という基準で選びました。アイカレの活動を通してメンバーの声質についてはよくわかっていたので。
──オリジナルメンバーの皆さんは、母体グループと音楽性の異なるユニットで活動を始めることについてどう感じていました?
PARU 私はロックとか全然わからない人間で。ずっと王道アイドルとして活動してきたし、自分が好きなのも王道アイドルだったんです。なので「えっ! 私にできるのかな」と不安になったんですが、古川さんに「リーダーとして活動してほしい」と言われて、「ちゃんとまとめられるようにがんばろう」という気持ちになりました。でも、SCRAMBLESさんでのレコーディングではかなり試行錯誤してきましたね。前まではユニゾンばかりでソロパートもそんなになかったし、個性を出すような歌い方を研究したことがなかったんです。戸惑いつつ、「こういう音楽や歌い方もあるんだ」と学びながら活動しています。
古川 僕がPARUに期待したのはキャプテンシーですね。あと、彼女はアイカレのチームではかなりアイドルっぽい感じで活動していたんですけど、石塚汐花という絶対的エースの影に隠れがちで。どちらかと言うと器用なほうだし、枠を飛び越させてあげたらもっといろんなことができそうだなと思ったんです。
MUTSUMi おー!(笑)
BAYASHi 逆に私はアイカレの曲の中でもカッコいい系の曲が得意だったので、MELiSSAのメンバーに選ばれたときはすごくうれしかったです。新しい自分を見つけられるかもというワクワク感があって、最初からモチベーションが高かったですね。実際に活動してみると、自分の歌い方や声質について深く知ることができて、日々勉強になっています。
古川 BAYASHiはもともとバンドの曲もよく聴いていて。でもMELiSSAに入るまでは黒髪で、見た目は王道アイドルっぽかったんですよ。ロックをやらせたら違う才能が開花するんじゃないかと思って、こっちに引っ張ったんです。まだ潜在的なものを引き出しきれていないとも思っているんですけど、最近ではBAYASHiにもキャプテンシーが生まれてきて、期待していた以上に人間として成長してるんじゃないかな。
BAYASHi 私は今まで自分のことばかり考えて活動してきたんです。でもMELiSSAで活動していくうちに、周りを見ることも大事だなと感じ始めました。
古川 PARUが11月にアイカレとMELiSSAから卒業することが決まっているんですよ。たぶんですけど、BAYASHiは先々のことを考えて「私がみんなを引っ張っていかなとダメだな」という気持ちが芽生えたんだと思います。
BAYASHi 確かにそうかもしれません。
メンバーに選ばれた意味がわからなかった
MUTSUMi 私はMELiSSAじゃなく、もう片方のユニット・HOP-PASに選ばれるだろうなと思ってたんです。ロックという音楽は自分にはできないと思っていたし、実際に活動を始めたらアイドルが歌うロックじゃなく、がっつりしたロックだったのでびっくりしました。でも歌い方や表情の作り方をいろいろと研究していくうちに、もう1人の自分が生まれた気がします。
古川 MUTSUMiはチーム内のバランサーとして優秀だと思って入れたんです。新しく活動を始めるにあたって、歌唱面でグループを支えられるメンバーってすごく貴重なんですよ。彼女はアイカレに加入してまだ3年も経っていないけど、アイカレでも歌唱面で欠かせないメンバーになっていて。声質だけ考えるとロックというよりアイドル寄りなんですけどね。本人もハロプロ(ハロー!プロジェクト)が大好きだし、声もどことなく鈴木愛理っぽくて。
MUTSUMi えっ、ウソッ! ホントですか!? 初めて言われました!
古川 鈴木愛理もずっとアイドルとして活動していましたが、ロック系の曲を歌ったらすごく合うじゃないですか。MUTSUMiの声もアイドル寄りとは言え、僕の中ではロックを歌うのにそこまで違和感はなくて。実際にMELiSSAの曲を歌ってもらっときに「入れてよかった」と確信しました。
MUTSUMi ありがとうございます……!
──HANAMiさんは昨年8月にアイカレを卒業し、今はMELiSSAの活動に専念していますね。
HANAMi はい。私はアイカレにいた頃からキャピキャピしたイメージだったと思うので、MELiSSAのメンバーに選ばれたときは意味がわからなかったです(笑)。でも自分には無理だと思っていたことも挑戦してみたらできることに気付いたし、MELiSSAに入って成長できたのかなと思います。
古川 MELiSSAを始めるにあたって、最初の構想の段階からHANAMiが欲しかったんですよ。伸びしろがあるし、声質も好きで。HANAMiは自分自身の声を好きじゃないみたいですが、MELiSSAの曲に一番合う声だと思って入れました。普段はちゃらんぽらんなんですが、最近は何かあるたびに悔しがっていて成長を感じますね。ぶっちゃけ、アイカレと同時にMELiSSAも辞める話もあったんですよ。でも事務所がHANAMiの思いを汲んでくれて、特例になりました。
──MELiSSAの活動は続けたかったんですね。
HANAMi はい! 今も楽しく活動できているので、辞めなくてよかったです。
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アイカレのことを考えていたらMELiSSAは売れない