ナタリー PowerPush - MEG ZOMBIES+MEG
ゾンビと戦士、TeddyLoidと横山克
MEGが、“MEG ZOMBIES”名義のシングル「KISS OR BITE」と“MEG”名義のシングル「SAVE」を6月5日に同時リリース。ゾンビと戦士をモチーフにしたこれらの楽曲は、特設サイトで公開されている8bit風RPG「MEG THE WORLD」とリンクして、独自の世界を描き出している。
この作品のリリースを受け、ナタリーではMEGを中心に「KISS OR BITE」の作曲、編曲を担当したTeddyLoidと「SAVE」の作曲、編曲を担当した横山克を迎え、制作にまつわる話を聞いた。3人揃っての貴重なインタビューをぜひ楽しんでもらいたい。
取材・文 / 大山卓也 撮影 / 宮腰まみこ
ゾンビ企画は移籍2年目の挑戦
──本日は3人揃ってのインタビューですが、皆さんこうして集まるのはいつ以来ですか?
MEG 実は今日が初めてなんです(笑)。
TeddyLoid 制作は全部オンライン上のやりとりでしたから。
MEG 横山さんはボーカル録りの日にスタジオで一緒に作業したんですけど、Teddyさんとは今日初めてしゃべるという。
──なるほど。今回はMEG ZOMBIES + MEG名義でのシングルですが、そもそもこのプロジェクトの成り立ちというのは?
MEG レコード会社を移籍して、去年アルバム作ったんですけど、そのあと2年目どうするかって考えてたらこんな特殊な企画に(笑)。
──MEGさんがいきなりゾンビになるとは思いませんでした。
MEG そうですか(笑)。ゾンビと戦士っていう設定は、2年目の今だからこそできる挑戦というか、かなり遊べる余裕も出てきたなっていう。
──そもそもなぜゾンビなんでしょう?
MEG きっかけは、ディレクターの宮本(純乃介)さんのアイデアで(笑)。年末くらいに、宮本さんからゾンビとかRPGっていうキーワードが出てきて、そこからアートワークやストーリーが自分の中でもつながったんで。最初聞いたときはびっくりしたけど(笑)。
TeddyLoid 僕もかなりびっくりしましたよ。MEGさんがゾンビになるって言われて。
MEG でも自分では出てこないアイデアだったから面白いなと思ったんです。
世界観がBPMを上げさせた
──今回TeddyLoidさんはMEG ZOMBIES名義の「KISS OR BITE」の作曲・編曲を担当していますが、制作してみていかがでしたか?
TeddyLoid 僕は前からMEGさんの作品が大好きで個人的に聴いていたんで、オファーはうれしかったですね。あの、ゾンビってもともとゆっくりのイメージあるじゃないですか? でも最近のゾンビって速いんですよね。走ったりする。なので疾走感を重視してBPMも上げました。
──今までのMEGさんの楽曲にはあまりないタイプの曲ですよね。
TeddyLoid はい、すごく攻撃的だし、最新のサウンドをいっぱい詰め込んでる。曲全体通していろんな音が入ってるんで、そこを楽しんでもらいたいですね。
──横山さんは、MEG名義の「SAVE」を担当したんですよね。
横山克 最初はエレクトロのバンドサウンド主体で制作を始めて、途中から僕も疾走感を意識してBPMをだんだん上げていきました。
──チップチューン的な音とバンドサウンドとの混ざり具合が絶妙ですね。
横山 もともと好きなんですよ、チップチューンと生のバンドサウンドをあわせるのが。しかもこの曲では演出をたっぷり詰め込んでるんです。4分半くらいある中でドラマを観てるみたいに展開がどんどん変わっていく。すごく楽しんで作ることができました。
──2曲とも制作途中にBPMが上がっていったとのことですが、なぜそういうことに?
MEG 情報が増えるにつれ、という感じですね。最初はシンプルな設定だけだったんですけど、そこにキャラクターの背景やゲームの内容や、あとアートワークができていく間にイメージがだんだん見えてきて。
──世界観に曲が寄っていった?
TeddyLoid そうですね。自分がBPMを上げたいから上げたんじゃなくて、情報がいろいろ来る中で自然と早くなっていきました。
完全体のゾンビになるまで1カ月
──MEGさんはゾンビについてはどんなイメージを持っていましたか?
MEG 私、もともとゾンビのことはそんなに詳しくなかったんですけど、年末から年明けにかけて、映画観たり本読んだりして勉強して。そしたらだんだんゾンビ風のファッションも気になってきて。写真撮影のときには、ゾンビの動きが自然と出てきてた(笑)。
TeddyLoid ゾンビっていうと人を食い尽くすイメージがありますけど、このMEG ZOMBIESはどこかきれいで優雅な一面も持ってるところが面白いなって。まだ人の心を持ってるゾンビというか。
MEG そうなんです。ゾンビの設定については宮本さんと何回も話しあったんですけど、このゾンビは噛まれてから完全体のゾンビになるまで1カ月くらい猶予があるって設定なんですよ。それまでは人間のときもあるし脳がゾンビに支配されちゃうときもあるっていう、あまりない設定の。そういう世界観を文字で説明するとくどくなっちゃうけど、ゲームでわかりやすくイメージしてもらいつつ、音楽も楽しんでもらえたらって。
TeddyLoid ゲーム面白いですよね。食われてちょっとずつ変わるあの過程とか。ただ僕、何回もミスしちゃってなかなか進めなくて(笑)。
MEG あれ2面のほうが難しいですよね?
横山 押しっぱなしが難しいかも。
MEG 指が痛くなるっていう。
横山 うん、ちょっとキーボードが心配になるくらい(笑)。
MEG そして3面はちょっと複雑な展開(笑)。全部リンクしてるからどんなふうに遊んでもらえるか、楽しみなんですよね。
- MEG ZOMBIES ニューシングル「KISS OR BITE」/ 2013年6月5日発売 / 1000円 / スターチャイルド / KICM-1451
- MEG ZOMBIES「KISS OR BITE」
収録曲
- KISS OR BITE
- グラジオラス -夢ならいいのに-
- KISS OR BITE(off vocal ver.)
- グラジオラス -夢ならいいのに-(off vocal ver.)
収録曲
- SAVE
- ワスレナグサ -夢をみていた-
- SAVE(off vocal ver.)
- ワスレナグサ -夢をみていた-(off vocal ver.)
MEG(めぐ)
2002年7月にシングル「スキャンティブルース」でメジャーデビュー。2007年からは中田ヤスタカ(capsule)をプロデューサーに迎えて音楽制作を行い、アルバム「BEAM」「STEP」「BEAUTIFUL」はiTunes Store総合アルバムチャート連続1位を獲得する。多くのファンの支持を集める中、2010年10月のライブを最後に国内での音楽活動を休止。その後は「JAPAN EXPO Paris」に出演するなどフランスを中心に活躍し、2012年より活動を再開。4月25日にコンセプトアルバム「LA JAPONAISE」、10月にオリジナルアルバム「WEAR I AM」をリリースした。音楽以外にもファッションブランド「CAROLINA GLASER」のメインデザイナー、コスメブランド「baw」のディレクターを務め、モデルとしても多くの雑誌の表紙を飾るなど、東京カルチャーの代表的なファッションアイコンとして多方面に活躍中。
TeddyLoid(てでぃろいど)
1989年生まれのサウンドクリエイター。2010年に☆Taku Takahashi(m-flo / block.fm)主宰のTCY Recordingsへ参加し、☆Takuと共にアニメ「Panty & Stocking with Garterbelt」のオリジナルサウンドトラックを制作する。2011年には柴咲コウ、DECO*27とgalaxias!を結成。翌年の「COUNTDOWN JAPAN 12/13」には、初音ミク楽曲をフロア向けに全曲リメイクしライブミックスした“初音ミク×TeddyLoid”名義で出演した。2013年はももいろクローバーZの「Neo STARGATE」でアレンジとミックスを担当。同年4月の「ももいろクローバーZ 春の一大事 2013 西武ドーム大会」ではオープニング楽曲を制作し、ライブ本編のDJとして共演を果たした。
横山克(よこやままさる)
1982年生まれ、長野県出身の作曲家、編曲家。ドラマ、アニメなどの映像音楽を中心に活躍し、近作にはドラマ「悪夢ちゃん」「夜行観覧車」「35歳の高校生」など。ポップミュージックの作・編曲も手がけており、ももいろクローバーZ「Chai Maxx」「D'の純情」「上球物語 -Carpe diem-」など代表作も多数。