ナタリー PowerPush - MEG
豪華アーティスト陣が集結カラフルな10曲「WEAR I AM」
MEGが自身の誕生日である10月3日にニューアルバム「WEAR I AM」をリリースする。これは活動休止前に発表した「MAVERICK」以来、彼女にとって約2年半ぶりのオリジナルアルバム。岡村靖幸、大沢伸一、小西康陽、☆Taku Takahashi(m-flo)、中田ヤスタカ(capsule)、古川裕(ex. DOPING PANDA)、前山田健一、三浦康嗣(□□□)ら、多彩なゲスト作家陣を迎えて制作されたことでも話題を集める作品だ。
ナタリーではリリースを前に、MEG本人にインタビューを実施。かつてない制作スタイルで作られた、このユニークなアルバムの秘密を解き明かしてみた。
取材・文 / 大山卓也
チームでモノを作る楽しさ
──久々のニューアルバムは、歌モノ主体の明るいアルバムになりましたね。
ありがとうございます、 私も明るい感じにしたいなって思ってたんですよね。
──そう思ったのはどうして?
アルバムどうする?っていう打ち合わせのときに、まず最初にジャケットをこんな感じで明るいイメージでやりたいなっていうのをぼんやり話して、それから始まって、中身を1曲ずつ組み立てていって。
──じゃあビジュアル先行で。
そうですね。
──そのチームでの話し合いというのはどんな感じで行われたんですか?
もう、ほんとフランクに(笑)。今のチームは、割と若いスタッフでまとまっているので、自分以外のアイデアも新鮮で前向きなものであれば、どんどん取り入れたいって思ってるんです。特に音楽は。だからそこは今回、割と自分で決めてない感じ。
──えっ、それでいいんですか?
うん、そういうふうにやってみたくて。それぞれのスタッフに信頼があるから できることなんですけど。なので今回はみんなで作った感じがすごいするんですよねー。私が最初に一緒にやりたいって言ったのは小西(康陽)さんと三浦(康嗣 / □□□)さんで、あとは(作家陣の)人選も任せて。ディレクターの宮本(純乃介)さんからどんなアイデアが出てくるのかなっていうのをいつも楽しみに待ってた感じですね。
──そういうやり方はMEGさんの制作では新しいですよね。
そうなんですよね。なかなかやっぱ、そういうふうにできそうでできないことというか。自分がやりたいって思うことが、誰もやってないことだったり、いろいろ結びつけて同時に進行しなきゃいけないことが多かったんで、結局自分が直接各所に説明しないとスムーズに進まなかったり……。でも今回は頼れるスタッフがたくさん周りにいて、向かう方向やプロセスが皆まで言わなくても共有できてるから、いろんなことを任せられる。それに刺激を受けて自分も自分のことをしっかり集中してやろう!って思えることが多かったです。
──いい状況ですね。
そうですね。だから今、チームでモノを作る楽しさっていうのをすごい感じるんですよ。「こうやったら面白いんじゃない?」とか「とりあえずこれやってみよう!」とか、現場で自由に楽しみながら作れてる。その環境を大事にしつつ、自分がその中でやるべきことを精一杯やろうって。そこが今までとちょっと違うんですよね。
攻めの姿勢が音に出てる
──デビューから10年経ってMEGさん自身の意識が変わった部分もありますか?
うーん、デビューして間もない頃だったらこのやり方はできてなかった気がします、逆に。特にその頃の私は、人間不信ぎみな性格に陥っていたし……からみづらいヤツになってたと思います(笑)。10年っていう区切りを迎えて、また自由なことができるっていう気持ちになってるんですよね。若いスタッフのアイデアをどんどん取り入れていける、ちょっと余裕ができたのかも。
──例えば前山田健一さんの曲を☆Taku Takahashiさんがアレンジしてるというのも、誰も予想しなかった自由な組み合わせですよね。
そうそう、そうなんです(笑)。あとパッケージは、テキスタイルといえば!の「ELEY KISHIMOTO」製で布張りボックスに入れて……とかそういう夢みたいなアイデアも、そこで終わらせないで「いや、訊いてみよう」って言って実現させる。楽しんでもらうことに対してのチームの攻めの姿勢っていうのがやっぱり全てに出てるんですよね。
──なるほど。
思いついたことを実際動いてみて形にする、そのパワーっていうのがすごく大事だなと思うし。そのおかげでパッケージ面でも音楽面でも、あとカフェとの連動とかも含めて、すごく面白い、攻めたアルバムになったと思います(笑)。
──攻めの姿勢と同時に、楽しげな感じも強く伝わってきます。
はい、デビューから9年でひと区切りを迎えて、10からのリスタートというか。リラックスした状態で制作に向かえてる感覚がありますね。
──それは今までのMEGさんの作品にあった緊張感とかコンセプチュアルな感じが薄いということ?
そうかも(笑)。少し休んだこととか、フランスでリリースしてたアニメのカバーとか、そういうことの影響は大きいかもしれないです。今はチームがあるから、みんながいるから、何をやっても楽しめる感じがする。今改めて再デビューするような自由さがありますね。
ニューアルバム「WEAR I AM」/ 2012年10月3日発売 / スターチャイルド
CD収録曲
- TRAP [作詞:MEG / 作曲:岡村靖幸 / 編曲:大沢伸一]
- 夏が終わる [作詞・作曲・編曲:小西康陽]
- HIGHTEEEN [作詞:MEG / 作・編曲:横山裕章]
- セブンティーン・ランデヴー [作詞:MEG / 作・編曲:NARASAKI]
- MISS MARTINI [作詞:MEG / 作・編曲:横山裕章]
- LOVE EMOTION [作詞・作曲・編曲:古川裕(ex. DOPING PANDA)]
- ZZZ [作詞:MEG&古川本舗 / 作・編曲:古川本舗]
- SOUTHPAW [作詞:MEG&前山田健一 / 作曲:前山田健一 / サウンドプロデュース ☆Taku Takahashi(m-flo)]
- REPLICA [作詞:MEG / 作・編曲:中田ヤスタカ(capsule)]
- WEAR I AM [作詞・作曲・編曲:三浦康嗣(□□□)]
MEG(めぐ)
2002年7月にシングル「スキャンティブルース」でメジャーデビュー。2007年からは中田ヤスタカ(capsule)をプロデューサーに迎えて音楽制作を行い、アルバム「BEAM」「STEP」「BEAUTIFUL」はiTunes Store総合アルバムチャート連続1位を獲得する。多くのファンの支持を集める中、2010年9月にリリースしたベストアルバム「BEST FLIGHT」と、同年10月のライブを最後に国内での音楽活動を休止。その後は「JAPAN EXPO Paris」に出演するなどフランスを中心に活躍し、2012年より活動を再開。4月25日にコンセプトアルバム「LA JAPONAISE」、10月にオリジナルアルバム「WEAR I AM」をリリースした。音楽以外にもファッションブランド「CAROLINA GLASER」のメインデザイナー、コスメブランド「baw」のディレクターを務め、モデルとしても多くの雑誌の表紙を飾るなど、東京カルチャーの代表的なファッションアイコンとして多方面に活躍中。
2012年10月5日更新