ナタリー PowerPush - MEG

岡村靖幸&大沢伸一参加 新たな歌謡曲「TRAP」

隅っこで自由にやっていたい

──ところでMEGさんは「次はこれがくる」といった流行やトレンドには敏感な人だと思うんですが、自分の作品にはそうした流行をどの程度反映させているんですか?

うーん、反映はさせてないですね(笑)。そのとき流行ってるものをそのときから作ることに興味がないから、そのとき流行ってなくても、自分が興味があって、これを形にしたら面白いと思ってくれる人が自分と同じようにいるはずだっていう。そういうものを作りたいって思ってます。

──その感覚は昔から?

そういう気質なんですかね。理解できる流行りというのに冷めちゃう気持ちがどこかにあるのかも。人一倍飽きっぽいから、自分が夢中になってる瞬間に、集中して、ベストなものを形にして残していきたいんですよ。

──じゃあ飽きたらスパッとやめてしまう?

自分が完全に飽きてるものでも、なんとか作って「これ最高なんです!」って言うのもできなくはないとは思うんだけど……、でもそれってちょっと詐欺っぽくてイヤなんです。だからできればいつも自分の感情に素直に、作っていきたいって思う。

──例えばMEGさんが中田さんとやっていた歌ものエレクトロ路線の音楽は、ひとつのブームになって、でもMEGさんはそれを早々にやめてしまったわけですよね。MEGさんが先駆者の1人として、あの路線を続けていたらもっと売れてたかもって思いませんか?

インタビュー写真

そうですねえ、ちゃんと続けてたら、もしかしたらブレイクとかできたかも!(笑) けど、そういうのをどこかで「苦手だなあ」って思う部分があって。私は主要なアイコンとか流行りの外で、自由に端のほうで好きなことだけして 遊んでたいタイプだから、変に周りに「これでしょ」って決められるのが怖いんです。私みたいなタイプは、元々何をやってるのかよくわからないタイプなんで(笑)、大人の人たちに「テレビに出なさい」って言われて、出たら「これを言いなさい」とかになって、結果ヘンなところを切り取られたりとか、そういうので「やっぱりな」って落ち込んだりすることが多かったので。私、結構ややこしいことやってるから。

──ややこしいことをやってるっていう自覚はあるんですね(笑)。

あるある! 自由すぎるし、暴れん坊でしょ!!(笑)

──だからこそ自分がコントロールできる範囲の中でモノを作りたいという。

そうですね、MEGというプロジェクトの中で、本当に面白いと思ってるものに同じ熱をもったチームと一緒に、自由に考えながら進んでいきたいんです。なんか思いついたときに、クリエイティブ以外の余計なことで身動きがとれなくなる状態が窮屈に感じるんですよね。

けもの道を切り開いた10年間

──でも流行に背を向けると、そこからまた自分だけの“けもの道”を切り開いていかなきゃならないわけですよね。

そうなんですよ、常に“けもの道”パターン! だから何がすごいってファンの人たちがすごいんです(笑)。荒れ地をかきわけ、10年間ついてきてくれてるから。

──そのスタンスは、MEGさんがファッション関連のものを作るときも同じですか?

うーん、ファッションはちょっと違いますね。その洋服が並ぶ場面を予想して、受け入れてもらえるようなものを作ってると思う。あんまり予想外な冒険はしないです。やっぱ洋服って実際に着てもらわないと意味がないし、そっちはそういうところに向かって動いているチームだったりするから。

──それが音楽になると、リミットが外れて暴れん坊になるわけですね(笑)。

だから面白いんですよ。やり方が全く違うからバランスとれてるのかもしれない。音楽は受け入れてくれる人の層が、性別も含めて洋服より広いし、洋服だとこれくらいの年代のこういう生活スタイルの女の子に、っていうのがあるけど、音楽は見えない部分が多いし、そこはあえて考えずにやっていいところもあったりして。

──なるほど。

ただ音楽も洋服も同じように、モノ作りについてはこれからもずっとこだわってやっていきたいんですよ。洋服も音楽もライブも、お金をいただくプレッシャーっていうのは常に感じてるし、そこは手を抜かないで、ちゃんと作り続けていきたいと思います。

──MEGさんはそういう姿勢が律儀ですよね。

人ありきなので、やっぱり同じ目線でやっていきたいですよね(笑)。

インタビュー写真

「TRAP」サウンドプロデューサー
大沢伸一メールインタビュー

大沢伸一

──大沢さんとMEGさんは、以前から交流があったそうですが、これまで彼女に対してどんな印象を持っていましたか?

キッチュなキャラクターとは裏腹に実際のご本人はとてもポライトで常識のある方という印象を持っていました。

──今回「TRAP」でアレンジの依頼が来たときはどう感じましたか?

特に何かを意識することなく、パッと直感で良いお仕事になる気がしてお受けしました。

──アレンジにおいて目指した方向性はどのようなものでしたか?

歌詞、仮歌のない状態でアレンジしたので全く先入観なくMEGさんそのものが持つイメージを大事にし、洗練されたポップスを目指しました。

──MEGさんと大沢さんとのスタジオ作業で、完成に向かって曲はどのように変化していきましたか?

ほぼ何の問題もなく完成しました。実際に一緒に作業したのは最後の仕上げの2時間ほどです。ヘッドアレンジから大幅な変更はありませんでしたが、より歌を強調した良いミックスに仕上がったと思います。

──MEGさん、岡村さん、大沢さんという意外性のある組み合わせによって完成した「TRAP」を聴いた感想を教えてください。

意外性という意見が意外です。パリの瀟洒なカフェで甘過ぎないカフェオレを頂いてるような気分ですw。

ニューシングル「TRAP」/ 2012年6月13日発売 / スターチャイルド

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  • 初回限定盤[CD+DVD] / 2200円(税込) / KICM-91393 / Amazon.co.jpへ
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  • 通常盤[CD] / 1200円(税込) / KICM-1393 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. TRAP
  2. セブンティーン・ランデヴー
  3. TRAP(instrumental)
  4. セブンティーン・ランデヴー(instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
  1. MEG BIRTHDAY PARTY 2010 in Puroland
  2. TRAP(MUSIC CLIP)
  3. TOUGH BOY(MUSIC CLIP)
MEG(めぐ)

2002年7月にシングル「スキャンティ ブルース」でメジャーデビュー。2007年からは中田ヤスタカ(capsule)をプロデューサーに迎えて音楽制作を行い、アルバム「BEAM」「STEP」「BEAUTIFUL」はiTunes Store総合アルバムチャート連続1位を獲得する。多くのファンの支持を集める中、2010年9月にリリースしたベストアルバム「BEST FLIGHT」と、同年10月のライブを最後に国内での音楽活動を休止。その後は「JAPAN EXPO Paris」に出演するなどフランスを中心に活躍した。2012年より国内での活動を再開し、4月にコンセプトアルバム「LA JAPONAISE」、6月にシングル「TRAP」をリリースした。6月23日には、東京・SHIBUYA-AXにてスペシャルライブパーティを開催する。音楽以外にもファッションブランド「CAROLINA GLASER」のメインデザイナー、コスメブランド「baw」のディレクターを務め、モデルとしても多くの雑誌の表紙を飾るなど、東京カルチャーの代表的なファッションアイコンとして多方面に活躍中。