ナタリー PowerPush - MEG
岡村靖幸&大沢伸一参加 新たな歌謡曲「TRAP」
MEGが1年10カ月ぶりとなるニューシングル「TRAP」をリリースした。タイトル曲は、岡村靖幸が作曲、大沢伸一がサウンドプロデュースを手がけた話題作。MEGと岡村は、岡村が2002年にMEGのデビューシングル「スキャンティ ブルース」を作曲して以来、10年ぶりのコラボとなる。
さらにカップリングの「セブンティーン・ランデヴー」はNARASAKIが作曲・アレンジを担当し、森高千里のカバー「私がオバさんになっても」では小西康陽がプロデュースを手がけるなど、話題の尽きないこのシングル。久々の新曲に込めた思いを、MEG本人に訊いた。
取材・文 / 大山卓也
歌謡曲っぽいものが新鮮
──「TRAP」最高ですね。歌詞とメロディとアレンジが絶妙のバランスで絡み合った、素晴らしい仕上がりだと思います。
ありがとうございます、自分でも復帰1作目としてぴったりな新鮮な曲ができたと思います。
──以前は中田ヤスタカさんとのコラボでエレクトロ路線を邁進していたMEGさんが、活動休止を経て、今回ポップな歌モノ路線に戻ったという印象を受けたんですが。
私の中で今、歌謡曲っぽいものが一番新鮮で、ビッときてるっていうか、アイデアが湧きやすいんです。だから、そういうのをやりたいなって。
──岡村靖幸さんが作曲を担当するのは、デビュー曲「スキャンティ ブルース」以来10年ぶりですね。
そうですね。今年は10周年なのでいろいろやりたくて、大沢さんと岡村さんとっていう面白いコラボレーションは、一緒に組んだらどういうふうになるんだろうか!っていう気持ちもありましたね。
トラックをヒントに歌詞が生まれる
──制作はスムーズでしたか?
はい。移籍して新しく若いチームになって、ずいぶんフットワークも軽くなって、10年前だったら、こういう感じではできなかったかもしれない。あれ、前のナタリーTVのとき(2012年4月28日)は、曲もまだできてないって言ってましたっけ?
──いや、ちょうど歌詞を書いてるところだって。
そうだ、そのときまさに歌詞を書いてて。最初に岡村さんから上がってきたデモが、ギターに仮歌が乗ってるものだったんですけど、結構広がるメロディっていうか、いろんなシチュエーションが浮かびやすいメロディだったから、テーマを決めかねていたところだった気がします。
──イメージが広がりすぎて逆に難しかったと。
リズムが入ってないから、その時点ではバラードにもなるしロックにもなるしっていう感じだったんですよね。今まで中田くんとやってたときも、オケからキャラクターとか背景とかを想像しながら書いてたから、できればもうちょっとヒントがあるといいなあとは思って悩んでて。そしたら次に、構成が固まってリズムが入ったデモが届いて、「あ、踊れる感じだ!」と少し見えて、そこから歌詞を書き足し始めたんです。
──そこからは順調に?
そのときはサビだけ書いた段階でミュージックビデオの準備にとりかかって、次の週に大沢(伸一)さんからアレンジが上がってきて、それでサビ以外の全体が見えた感じですね。大沢さんのオケが来たのがレコーディングの3日前くらいだったんで「ギリギリ間に合った……」って(笑)。
──MEGさんの作詞は、メロディやトラックに導かれて言葉が出てくる感じなんですね。
そういうことが多いですね。なんていうのかな、ノリとかキャラのバランス? どれくらいライトにするか、どれくらい引っかかりのある言葉を入れるかっていうのが、オケが上がってやっと見えてくるんです。そういうリズムだったらここは英語にしようとか、このオケにはちょっと滑らかな言葉を乗せてみようとか。
──でもMEGさんも岡村さんも、確固たる自分の世界を持っていて、完璧主義的なまでに作り込むタイプのアーティストだと思うんです。そんな2人が世界を共有して、1つの作品をまとめられるというのは、やはり少し不思議な感じがしますね。
それで言うと今回、大沢さんが間をうまくつないでくれたのは大きいですね。同じメロディでもオケによって方向性が全然変わるし、本当に「大沢先輩!」っていう感じです(笑)。それに、ちょっとフレンチディスコみたいなものを意識して作ってくれたみたいで。
──確かにディスコ歌謡っぽい雰囲気もありますね。
そう、私の中では完全にジョン・トラボルタが踊ってるイメージで書いてましたけど(笑)。だからクラップ多めに入れてもらったりとか。レトロなディスコ感みたいなものは意識しました。
CD収録曲
- TRAP
- セブンティーン・ランデヴー
- TRAP(instrumental)
- セブンティーン・ランデヴー(instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
- MEG BIRTHDAY PARTY 2010 in Puroland
- TRAP(MUSIC CLIP)
- TOUGH BOY(MUSIC CLIP)
MEG(めぐ)
2002年7月にシングル「スキャンティ ブルース」でメジャーデビュー。2007年からは中田ヤスタカ(capsule)をプロデューサーに迎えて音楽制作を行い、アルバム「BEAM」「STEP」「BEAUTIFUL」はiTunes Store総合アルバムチャート連続1位を獲得する。多くのファンの支持を集める中、2010年9月にリリースしたベストアルバム「BEST FLIGHT」と、同年10月のライブを最後に国内での音楽活動を休止。その後は「JAPAN EXPO Paris」に出演するなどフランスを中心に活躍した。2012年より国内での活動を再開し、4月にコンセプトアルバム「LA JAPONAISE」、6月にシングル「TRAP」をリリースした。6月23日には、東京・SHIBUYA-AXにてスペシャルライブパーティを開催する。音楽以外にもファッションブランド「CAROLINA GLASER」のメインデザイナー、コスメブランド「baw」のディレクターを務め、モデルとしても多くの雑誌の表紙を飾るなど、東京カルチャーの代表的なファッションアイコンとして多方面に活躍中。