ナタリー PowerPush - MEG
国内活動休止の理由とアニソンカバーの意外な真相
アニメとの距離感
──アルバムはアニメソングを中心に、かなり意外な選曲ですよね。MEGさん自身アニメは観るんでしょうか?
普通です。私は日本のアニメソングってあんまり知らないんです。小学校でアニメを卒業して、そのあとは普通にジブリの映画は観たりするけど、そこまで掘り下げて、テレビ東京を毎週録画!とかはしてないですね。
──してなくていいと思います(笑)。
だから大人になってマンガやアニメのことはずっと忘れてて洋服作ったりしてたんで、フランスに行き始めてから「NARUTO-ナルト-」と「ONE PIECE」のDVDを全部観たんです。この2つはまず基本だから知ってないとイベントも面白さ半分だなと思って。
──「NARUTO-ナルト-」と「ONE PIECE」のDVDって、すごくたくさん出てますけど。
暇だったんで(笑)。原作読んでDVDで全部観て、今やってるのを毎週観て。でもそれくらいです。
──このアルバムに漂う“逆輸入感”はそこから来ているのかもしれませんね。フランスのオタクの人の影響を受けた感じというか。
そうですね。「JAPAN EXPO」みたいな大きなイベントだと、「ONE PIECE」「NARUTO-ナルト-」「北斗の拳」はみんな歌えるくらいポピュラーだし、「DISCOTHEQUE」も踊れる人がたくさんいて、すごく人気です。でも普通の街を歩いているフランス人はやっぱり「宮崎駿映画とかは知ってる」って感じで、このへん全曲知ってるのはかなり詳しい人(笑)。
きっかけは「DISCOTHEQUE」
──フランスでのライブはどんな雰囲気なんですか?
日本と違って、観るというよりも一緒に曲を歌ったり踊ったりして楽しみたいっていうお客さんが多い気がしました。だから自分の歌もいいんだけど、多分知ってる曲もあったほうがもっと楽しんでお家に帰ってくれるんだろうなと思って。
──なるほど。
で、そういうジャパンカルチャーのイベントには、だいたい「KARAOKEブース」っていうのがあるんですよ。でっかいスクリーンがあって、その前に40席くらいパイプ椅子が並べてあるような。そこでフランス人がみんなでアニメのテーマ曲を歌ってるの。「DISCOTHEQUE」とかはそのカラオケブースで出会った曲なんです。この曲がかかると、どのイベントでもみんな立ち上がって同じ振り付けで踊る。
──フランスでも人気の曲なんですね。
そう、それで「この曲すごくかわいいけど、なんの曲だろう?」って思って調べてみたら、水樹奈々ちゃんの曲だったっていう。だから「DISCOTHEQUE」の光景がきっかけになったっていうか、「みんなに楽しんで帰ってもらいたい」と思って選んだ曲です。
──それでアニソンを中心に、フランスの人たちが知ってる曲をレパートリーに加えていったと。
このアルバムには入ってないんですけど、ラムちゃん(RAM RIDER)と一緒に作った「Ma Melissa」って曲があって、それはフランスの子供向け番組の曲なんです。日本で言う「にこにこぷん」みたいな感じかな。この曲をやると「あー、懐かしい知ってる! よく知ってるねー」みたいにみんな大合唱して手を振ってくれて、うれしかった。だからアニメ縛りというわけじゃなく、日本のアニメとかマンガが好きな人たちが集まるイベントで一緒に楽しめる曲。それでこういうラインナップになったんです。
CD収録曲
- 「DISCOTHEQUE」(“ロザリオとバンパイア”)水樹奈々 Produced by 田中ユウスケ
- 「BELIEVE」(“ONE PIECE”)Folder 5 Produced by THE LOWBROWS
- 「TOUGH BOY」(“北斗の拳 2”)TOM★CAT Produced by the telephones
- 「wind」(“NARUTO –ナルト–”)Akeboshi Produced by The Shanghai Restoration Project
- 「バナナの涙」(“ハイスクール!奇面組”)うしろゆびさされ組 Produced by 田中ユウスケ
- 「もってけ!セーラーふく」(“らき☆すた”)泉こなた(平野綾)、柊かがみ(加藤英美里)、柊つかさ(福原香織)、高良みゆき(遠藤綾)Produced by 2 ANIMEny DJs (ミト from クラムボン&牛尾憲輔 a.k.a. agraph from LAMA)
- 「Still Love Her(失われた風景)」(“CITY HUNTER 2”)TM NETWORK Produced by 小室哲哉
- 「VOLEVO UN GATTO NERO」(“ノラゲキ!”)Produced by 中田ヤスタカ(capsule)
- 「ルージュの伝言」(“魔女の宅急便”)荒井由実 Produced by 小西康陽
- [ボーナストラック]
「Comment te dire adieu」Françoise Hardy Produced by 曽我部恵一
MEG(めぐ)
2002年7月にシングル「スキャンティブルース」でメジャーデビュー。2007年からは中田ヤスタカ(capsule)をプロデューサーに迎えて音楽制作を行い、アルバム「BEAM」「STEP」「BEAUTIFUL」はiTunes Store総合アルバムチャート連続1位を獲得する。多くのファンの支持を集める中、2010年9月にリリースしたベストアルバム「BEST FLIGHT」と、同年10月のライブを最後に国内での音楽活動を休止。その後は「JAPAN EXPO Paris」に出演するなどフランスを中心に活躍した。2012年より国内での活動を再開し、4月25日にコンセプトアルバム「LA JAPONAISE」をリリースしたばかり。6月23日には、東京・SHIBUYA-AXにてスペシャルライブパーティを開催する。音楽以外にもファッションブランド「CAROLINA GLASER」のメインデザイナー、コスメブランド「baw」のディレクターを務め、モデルとしても多くの雑誌の表紙を飾るなど、東京カルチャーの代表的なファッションアイコンとして多方面に活躍中。