ナタリー PowerPush - May'n
充実の日々と渇望の歌
May'nの2014年第2弾シングルとなる新作「Re:REMEMBER」が完成した。デビュー10周年を来年に控え、1月にはシングル&アルバムの同時リリース、2月から1年かけて行う日本全国47都道府県を含む世界規模のツアー「May’n Road to 10th Anniversary Japan & World Tour 2014-2015『dots and lines』」の開催と、精力的な活動を続けている彼女。ナタリー3度目の登場となる今回のインタビューでは、新作「Re:REMEMBER」の話題を中心に、充実した日々を送るMay'nの現状とその先に見据える未来についてじっくり話を聞いた。
取材・文 / 臼杵成晃 撮影 / 佐藤類
May'nのリア充?生活
──May'nさんのブログを拝見していると、最近は仕事もプライベートも本当に充実していて……ものすごいリア充ですよね。
そうですか?(笑) でも確かに、休みの日でも家でダラッと過ごす日はないです。今は47都道府県ツアーも始まって(参照:47都道府県を網羅!May'n、10周年ツアー日程第2弾発表)週末はライブで楽しく過ごしていますし、お休みの日もジムに通ったり。以前よりも体を動かすことが好きになりました。
──そのジム通いも、ツアーに向けての体力作りというレベルではなく、本格的に体を鍛えてますよね。
めっちゃ鍛えてます! 2カ月ほど前から下半身強化トレーニングを始めました。もっとバランスのいい体になりたくて始めたんですけど、それは体幹を鍛えてバランスをよくするというトレーニングで、足を鍛えると同時に腹筋も鍛えられるんです。体幹が鍛えられている実感が湧いたら、もっともっと……。
──で、腹筋が割れるところまで鍛え上げたと(笑)。
はい(笑)。私はのめり込みやすいタイプなので、プロテインも摂るようになって。ごはんも成分を考えながら食べるようになりました。もともと体を動かすことが好きだったので、ツアーがあるから鍛え始めたというわけではないのですが、実際にツアーが始まってみたら高いヒールで踊っていても全然疲れないし、今まで以上にラクに歌えるようになりました。自分の中で、この曲は体を反って歌いたいな、と思う曲がいくつかあるんですけど、それも「こんなに反れるようになってる!」って。端にいながら逆側のお客さんの顔を見て歌えるようになりました(笑)。
──ブログではLiSAさんとプライベートで遊んでいる様子も見ましたし、LiSAさんのブログにもMay'nさんからすすめられてプロテインを購入したという報告がありました(笑)。お2人は面白い関係だなと思うのが、どちらもソロシンガーで、May'nさんは「マクロスF」のシェリル・ノーム、LiSAさんは「Angel Beats!」のGirls Dead Monsterという、アニメと密接に関わる音楽で注目を集めたという共通項があって。
そうですね、歌シェリル、歌ユイですね。
──しかも2人とも、叩き上げの根性すわったシンガーで(笑)。やはり共感するところが多いのかなと。
それはすごくあります。アニメの歌パートをやっていたことでも共感し合えますし、音楽に対する熱い思いもお互い照れもなく話し合える関係です。
10年目の第1歩、10枚目のシングル
──新作「Re:REMEMBER」はそんな充実した日々の中で制作された今年2枚目のシングルとなりますが、その内容は強烈に何かを渇望する人の歌だというのが興味深くて。何かを強く渇望する思いは、どれだけ満たされた生活を送っていても歌えるものですか?
1曲1曲の主人公になるというのが私の音楽に対するスタンスなので、私生活が大きく影響するということはないです。例えばライブだと、さっきまであんなに笑っていたのに次の曲では深い悲しみを歌ったり、その次には男らしくなったり、曲ごとに思いや表情を変えて歌えるアーティストでいたいと思っています。
──物語に寄り添った歌を歌うことが多いから、自然とそういうスタンスになったんでしょうね。
そうですね。それに、こういった苦しさや絶望を描いた歌は、May'nらしさの1つだと思うんです。自分自身の葛藤や、絶望から這い上がる姿を描いた歌はシェリルの頃から多かったですし、スローナンバーをシングルで出すのはMay’n名義では初めてなんですけど、May'nらしい楽曲を皆さんにお届けできるかなと思っています。
──世界観としてはこれまでMay'nさんが歌ってきた、心の奥底から湧き上がるような思いを歌った曲ですけど、音楽的にはまた新しい方向性に挑戦していて。スローナンバーでかつ3拍子のワルツのリズムというのは、これまでになかったですよね。
ワルツのリズムには、私はどちらかというとハッピーでキュートなイメージがあるんですけど、この曲は真逆ですね。一定のリズムで刻む3拍子が、ここから這い上がりたいという思いをがんじがらめにするようなリズムに感じられて、切なさがより出ているかなと思います。
──作詞の藤林聖子さん、作・編曲のNAOKI-Tさんというコンビは、今年1月に発売された最新アルバム「NEW WORLD」の収録曲「IN THE AIR」と同じですね。藤林さんは以前からMay'nさんの作品を手がけていますけど、NAOKI-Tさんは2回目?
はい。NAOKI-Tさんとは「IN THE AIR」で初めてご一緒させていただいたんですけど、曲作りがすごく楽しかった思い出があります。私の声を聴きながら「このアレンジはどう思う?」「こっちのメロディが合ってるんじゃない?」って、その場でどんどんアイデアをくださるし、私のアイデアもたくさん取り入れてくださったんです。自分にとって10年目の第1歩で、10枚目のシングルという記念すべき作品を作るにあたって、より納得のいく作品にしたいと考えたときに、もう一度NAOKI-Tさんと一緒に作ってみたいという思いがあったので今回お願いさせていただきました。
──NAOKI-Tさんはさらにカップリング曲「誰がために」の作・編曲とカバー曲「カタツムリ」の編曲を手がけていますが、どれも「IN THE AIR」とは違ったテイストのサウンドで。
NAOKI-Tさんの音楽性の幅広さはほかのアーティストさんの楽曲を聴いても感じていましたが、どんな曲でも目的に沿って一緒に考えてくださる方なんです。「Re:REMEMBER」ではアニメ「M3~ソノ黒キ鋼~」のオープニングテーマということをふまえて、NAOKI-Tさんも藤林さんもその段階で揃っていた台本を何回も読んでイメージを膨らませてくださって。台本から受けたインスピレーションを出し合いながら曲作りを進めていきました。
- ニューシングル「Re:REMEMBER」/ 2014年6月18日発売 / FlyingDog
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1944円 / VTZL-81
- 通常盤 [CD] 1404円 / VTCL-35184
-
CD収録曲
- Re:REMEMBER [作詞:藤林聖子 / 作・編曲:NAOKI-T]
- 誰がために [作詞:藤林聖子 / 作・編曲:NAOKI-T]
- カタツムリ [作詞・作曲:周杰倫 / 訳詞:地宗明香 / 編曲:NAOKI-T]
- Re:REMEMBER(without May'n)
- 誰がために(without May'n)
- カタツムリ(without May'n)
初回限定盤DVD収録内容
- Re:REMEMBER(MUSIC VIDEO)
May'n(メイン)
1989年10月21日、愛知県名古屋市生まれ。幼い頃から歌手を目指し、中学生のときに「ホリプロタレントスカウトキャラバン」のファイナリストに残りデビューのきっかけをつかむ。2008年に本名から「May'n」へと改名し、同年4月より放送されたアニメ「マクロスF」で作中に登場する歌姫シェリル・ノームの歌声を担当。「シェリル・ノーム starring May'n」名義によるシングル「ダイアモンド クレバス / 射手座☆午後九時 Don't be late」が大ヒットを記録した。2010年1月には初となる日本武道館単独コンサートを開催。同年3月には初のアジアツアーを大成功に収めた。2014年2月からは2015年のデビュー10周年に向け、日本全国47都道府県ツアーを含む世界規模のツアー「May’n Road to 10th Anniversary Japan & World Tour 2014-2015『dots and lines』」を実施中。6月18日には2014年第2弾となるニューシングル「Re:REMEMBER」を発表した。