ナタリー PowerPush - May'n
生まれながらの歌姫 一直線のヒストリー
「BTOOOM!」の余韻にはバラード「アオゾラ」を
──そしてようやく現在の話題です。今回の新曲は配信シングルということで、10月11日に「アオゾラ」、そして11月22日に「Mr.Super Future Star」と、2カ月連続で配信されます。「アオゾラ」はMay'nさんの力強い歌がじっくり味わえるバラードですが、本間昭光さんとのタッグでは初のバラードなんですよね?
はい。本間さんにはもう何度も楽曲をお願いしているのですが、今回はアニメ「BTOOOM!」のお話をいただいて、久しぶりにエンディングテーマを担当させていただくというところから、本間さんにバラードをお願いしました。
──アニメのテーマソングの場合は、アニメの脚本や概要がわかった上で、May'nさんのほうから作家さんにアイデアを出すんですか?
はい。いつも脚本や原作を読ませていただくところから、自分の中では曲作りがスタートします。アニメのエンディングテーマだったら、やっぱり作品の余韻に浸ってほしいんです。「BTOOOM!」は激しいシーンや苦しいシーンが多いアニメではあるんですけど、その世界観を第一に考えて余韻を持たせるには、バラードがいいかなと思ったんです。
──アニメなどのタイアップとそうでない曲では、やはり作り方や考え方は違ってくるものですか?
タイアップをいただくときは、とにかく作品の素晴らしさ、魅力を楽曲に込めて歌いたいと思っているので、それはすごく意識します。でも、タイアップではない曲や自分で作った等身大の曲だって、曲それぞれにいろいろなタイプの主人公がいて、その主人公の気持ちを大切に歌うという意味では一緒です。
「Mr.Super Future Star」はライブで欠かせない1曲に
──一方の「Mr.Super Future Star」はまるで真逆というか、May'nさんがライブで拳を上げながら歌っている姿が想像付くような豪快な四つ打ちロックで。ある意味シェリル・ノームをきっかけにMay'nさんを知った方にとっては王道と言える楽曲なんじゃないでしょうか。
こちらは楽曲配信日と同日に発売される「エクストルーパーズ」(ニンテンドー3DS / PlayStation 3)という学園モノのゲームの主題歌だから、学園モノが持つ青春っぽさ、さわやかさを取り入れたくて、こんなロックチューンになりました。主人公の男の子はとにかく前だけを見ている前向きな子なので、共感できるところが多いです。なので、もうひたすら前に突き進むような、そんな熱い楽曲になりました。
──確かにサウンドからもう完全に前を向いて、ものすごい勢いで疾走してる感じはグイグイ伝わってきます。
この曲はライブハウスツアーでもいち早く聴いていただいていたんですけど、みんな予想以上にノリノリで盛り上がってくれて。これからライブで欠かせない1曲になるんじゃないかなとすごく楽しみにしています。
ペットボトルのフタを壁一面に
──今回は音楽の面だけではなく、キャラクターの面も掘り下げさせてください。May'nさんは「たい焼き親善大使」を自称するほどのたい焼き好きとしても知られていますが、これはどのようなきっかけで?
たい焼きは元々そんなに意識して食べていたわけではなかったんですけど、ある日たまたま、恵比寿の「ひいらぎ」というお店に行ったときに食べたたい焼きに感動して。今まで食べてきたものと全然違って、めちゃくちゃ薄くてカリカリで「こんなたい焼きもあるんだ!」って(笑)。元々コレクター気質なので、それから「いろいろなたい焼きを集めたい!」っていう感覚でハマッていったんです。
──そうそう。May'nさんはたい焼き以外にも定期的にマイブームがありますよね。そういったコレクター気質が芽生えた瞬間は覚えてますか?
うーん……覚えている限りだと、小さい頃は実家の壁にペットボトルのフタをめっちゃ貼ってました。
──貼ってた?
ペットボトルのフタがとにかく大好きで。小学生の頃だと思います。1000個以上あった気がします。壁中ペットボトルのフタでした。
──ペットボトルのフタがなぜそんなに魅力的だったんでしょうか。
最初はかわいい絵が描いてあるフタを集めだしたのがきっかけなんですけど、見ているうちに「これは防音に使えるんじゃないか」と思ったんです。レコーディングスタジオにあるプチプチみたいな。当時からよくアーティストさんのメイキング映像とかでレコーディング風景を観て憧れてたんです。卵のパックなんかも「これ使えるかも!」って両面テープで貼ったりしました。
──あー! なるほど! 卵パックは僕もやりました。ペットボトルのフタはちょっとわかんないです(笑)。
ははは(笑)。のちに音響スタッフさんに「ペットボトルのフタで防音は絶対できないよ」って言われたんですけど(笑)。それに、フタをいっぱい貼った壁を見ていたら、ちょっとアメリカンな部屋になったような気がして。それが最初のマイブームでした。
──コレクター気質の原点すら、音楽に関わるものだったんですね。
はい。振り返るとそうです。
「47都道府県ライブ」が目標
──……と、幼少時から現在までを駆け足で振り返って参りましたが、ここまですごく順調ですよね。堂々とした佇まいもあって、あまりくよくよ悩んだりくじけたりしている姿が想像付かないんですが、どこかでくじけてしまいそうなこともあったんですか?
May'nになる前は、デビューこそできたもののうまくいかなくて、挫折しそうになったことはありました。ただ、そんなときでも「今、自分ができることはなんだろう」って考えることができるのは自分の長所だなと思っていて。逆に立ち止まってしまうことへの怖さがあるんです。立ち止まる暇があったら、そのときできることをがむしゃらにやりたい、というタイプなので。今は立ち止まって考えることの素晴らしさも理解できるんですけど、まだまだ立ち止まらないでずーっと走っていきたいというタイプなので、常に何かをしていたいというのはあります。
──では、ここからは未来の話です。近いところでは年末から2013年にかけて、さらにはもっと先の将来まで、どのようなビジョンを見据えているのでしょうか。
現時点での目標は……ちょうど10月21日の誕生日に長いツアーが終わって、そこでみんなからもらったパワーが本当に大きかったんです。だから近いところでは、来年3月2日に開催が決定した日本武道館ライブ(「May’n Special Concert 2013『MIC-A-MANIA』」)でいかにそれを返せるかです。まずはこのライブに向けて突き進んでいきます。とにかくライブを中心に動いていきたいと思っているので、たくさんの場所でライブをしたいです。前回のツアーでは国内外34カ所を回りましたけど、まだまだ行ってないところが日本だけでもたくさんあるから……日本で行うライブとしては「47都道府県ライブ」をやるのがひとつの夢であり目標なので、近い将来には絶対に叶えたいと思っています。
──音楽的にこういうサウンドに挑戦したい、こんな人と組んでみたいという構想は?
自分の、May'nのロックというのをどんどん探求していきたいと常に思っています。でも普段はダンスミュージックやR&Bも大好きでよく聴いているので、そういうサウンドも取り入れた、自分だけのスタイルを探していきたいなと思っています。
──ロックというジャンルがMay'nさんの中で大きくなったのは、やはりライブを通してできあがってきたものなんでしょうか。
それもすごくあります。「マクロスF」でシェリル・ノームの楽曲に出会って、今までとは違うロックサウンドに出会ったのが出発点なんですけど、やっぱりライブをやっていく中で、自分のアグレッシブな部分を表現した楽曲が声質的にも一番合っているかなっていうのを感じたので。バラードももちろんありますけど、私らしいロックをもっと追求して歌っていきたいです。
──では、音楽とは関係ないところでの目標はありますか?
誕生日に両親からいい鍋をもらったので、それで煮物が作れる素敵な女子になりたいです(笑)。料理はすごく好きなんです。ひとり暮らしを始めてもう3年目かな? その頃から必要に迫られて始めたような感じなんですけど(笑)。でもそこからすごく料理が好きになって、いろいろな料理を作ってます。もっとレパートリーを増やすのがプライベートの目標です。
May'n (めいん)
1989年10月21日、愛知県名古屋市生まれ。幼い頃から歌手を目指し、中学生のときに「ホリプロタレントスカウトキャラバン」に合格しデビューのきっかけを掴む。2008年1月1日に本名から「May'n」へと改名し、同年4月より放送されたアニメ「マクロスF」で作中に登場する歌姫シェリル・ノームの歌声を担当。「シェリル・ノーム starring May'n」名義によるシングル「ダイアモンド クレバス / 射手座☆午後九時 Don't be late」が大ヒットを記録した。2010年1月には初となる日本武道館単独コンサートを開催。同年3月には初のアジアツアーを大成功に収めた。2012年3月21日には3rdフルアルバム「HEAT」が発売。5月には6thシングル「Chase the world」を発表した。10月11日には2カ月連続配信シングル第1弾「アオゾラ」、11月22日には第2弾「Mr.Super Future Star」をリリース。