歌詞が変わってしまい「ごめんね」って言いたかった

──オリジナル曲もカバーに負けてない楽曲ばかり。オープニングを飾る「SCHOOL WARS」は本当に1曲目にピッタリの、勢いのあるナンバーですね。

アップテンポでテンションがすごく高くて、ライブで絶対に盛り上がれる曲になりました。やっぱりこのアルバムのリード曲ですし、そのあとに続くカバー曲に負けないような曲にしようとがんばって歌いました。

──そしてデビューシングルの「Shooting Star」があり、そのあとに仕様ごとに異なるオリジナル曲が1曲ずつ収められています。「zero」（初回限定盤A収録）や「dear」（初回限定盤B収録）といった曲は、デビューシングル収録曲の「Shooting Star」や「Rigel」の延長線上にあって、1つのカラーができつつありますね。

そうですね。実は「zero」と「dear」はライブで何度も歌ってきた曲なんですけど、今回は“学園モノ”というアルバムコンセプトに沿って歌詞もガラリと変えたんです。

──あっ、そうなんですね。

はい。例えば「dear」の以前の歌詞はメッセージが強いもので。以前の歌詞では私が作詞をさせていただいたんですけど……私のおばあちゃんが天国へ逝ってしまったので、そのことを書いた歌詞だったんです。ずっとライブでも歌っていたので、この曲の歌詞と同じような境遇のファンの方から「『dear』が音源になるのがすごくうれしい」と言ってもらえたんですけど、歌詞が変わってしまったことをCDが発売されるまで伝えられなくて。それがずっと心残りで、ファンの皆さんに「ごめんね」って言いたかった……おばあちゃんに向けて書いた歌詞は、また今後作詞する機会があれば、違った形で残したいと思ってます。

告白するときに「とぅるまは」って唱えてもらえたらうれしい

──通常盤には「とぅるまは」というオリジナル曲も収録されています。

イベントでこのアルバムを流していると、「とぅるまは」が好きっていう声をたくさんいただくんです。うちの母も「いい曲だね」って言ってるし、私もすごく好き。

──僕も今回のオリジナル曲の中では「とぅるまは」が特に気に入ってるんですが、同じような声が多いんですね。

そうなんですよ。そういえば先日、声優の井ノ上奈々さんとお仕事したときに「『とぅるまは』ってどういう意味なの？」って聞かれたんですけど、「『true my heart』っていう意味なんですよ」と教えたらすごく感動して（笑）。

──ああ、ひらがなだしそこに気付かない人もいるわけですね（笑）。

なんか呪文みたいですし（笑）。実際に恋をしてる子に、告白するときに「とぅるまは」「とぅるまは」って唱えてもらえたらうれしいですね。でも、実はオリジナル曲のレコーディングで一番苦戦したのが「とぅるまは」なんですよ（笑）。

──そうだったんですね。

ちょっと横ノリっぽい曲で、今まで歌ったことのないタイプの楽曲だったので、音の取り方が難しくて大変だったなあ。何回も録り直したんですけど、そのぶん思い入れも強い楽曲になりました。

──制作は大変だったとはいえ、ライブでの盛り上がりが目に浮かぶ楽しげな曲だと思いましたよ。

確かに、ライブで歌ってる姿が想像できますよね。オレンジとか黄色とか、あったかい色のライトの中で、お客さんと一緒にニコニコして歌うんだろうなって。この曲はまだライブで歌ったことがないので、今からすごく楽しみなんです。もちろん、CDで聴いてくれた人がどういう反応をするのかも楽しみですし。カバー含め、オリジナル曲の感想も気になりますね。

お姉ちゃんは弟に頭が上がらないんです

──このアルバムを作ったことで、目標としているアニソンシンガーの道にまた一歩近付いたんじゃないでしょうか。

近付けているのかちょっと不安ですが……でも、アニメの世界に近付けたっていう意味では、すごくうれしいことなので。弟もひそかに喜んでますからね（笑）。

──ああ、松下さんにとって「アニメの師匠」とも言える弟さんも（笑）。

弟は口数は少ないんですけど、いつかこういう場に出したいと思ってるくらいなんです。とはいっても、人前に出るのがあまり好きじゃない人間なんですけど（笑）。でもアニメの知識は私とは比べものにならないくらいすごいんですよ！ だから、しゃべらせたら絶対に面白いと思うんです。例えば「Fate/Zero」というアニメを弟の解説付きで観てると、たまに一時停止されて「今のとこ、意味わかった？」と言われたり。「も、もう1回巻き戻してもらっていい？」って返すと、「ここはね、こうこうこうで、こうだからこうなんだよ」と全部説明されてからもう1回観るんです（笑）。「そもそもギルガメッシュって何？」って言うと、「もともと古代にそういう王様がいて。お姉ちゃん、ちゃんと勉強しなよ」って怒られたり。

──そこまでちゃんと調べてるんですね。

そうなんです。そういうのも全部知ってるから、かなわなくて。お姉ちゃんは弟に頭が上がらないんです（笑）。

──じゃあ、いつかインタビューに参加してもらいましょうか（笑）。

インタビューのときだけでも隣にいたら面白いんじゃないかな。アニメの話になったら、急に補足が入ると思うし（笑）。