ナタリー PowerPush - 松下唯

苦難を乗り越えつかんだソロデビューへの軌跡

作詞こそ正解がわからない世界

──「Rigel」と「LOVE MONSTER」では作詞にも挑戦しています。作詞は今回が初めての経験ですか?

松下唯

そうなんです。中学生のときによくわからないポエムみたいなものは書いてましたけど(笑)、こういった本格的な作詞は初めてでした。今回「歌詞を書いて」って言われたとき、正直「えっ? 何から書けばいいんですか?」っていう感じで。「テーマを決めて、思ったことを普通に書けばいいんだよ」と教えてもらって、まず歌詞のテーマを自分で決めていったんです。

──なるほど。ちなみに「Rigel」はどういったテーマなんですか?

私は星や星座がすごく好きなんですね。タイトルのリゲルというのはオリオン座の星の名前なんですけど、どうしてもオリオン座の中の星をタイトルに使いたくて、そこから想像を膨らませて、男の人と女の人がいて……みたいに物語を妄想していったんです(笑)。やってみるとすごく楽しいんですけど、難しいんですよ。だって作詞こそ正解がわからない世界じゃないですか。書いてる人の感性によるところが大きいし。でも周りからアドバイスをいただきながら、なんとか完成させることができました。

──作詞とくると、次は「作曲してみては?」という話も出るのかなと思いますが。

作曲ですか? 私がやったら、しちゃかちゃ(「めちゃくちゃ」の方言)になりますよ(笑)。友達の中にも作詞作曲をしている人が多くて、いろいろ話を聞いてると自分もいずれはやってみたいなと思いますね。でも、まずその前に作詞をもっと勉強しないと。小説をもっと読んだり、映画もいろいろ観たりして作詞の参考にしたいし。まだまだこれからです。

最終目標はアニサマ出演

松下唯

──ソロシンガーとしてデビューが決まり、1stシングルでは作詞にも挑戦しました。松下さんは今後どういう歌手になりたいですか?

カッコよさを売りにしたアーティストになりたいです。今はどうしてもアイドルグループ時代の松下唯のイメージが強いと思うんですよ。今はアイドルとして見てもらってもいいと思うんですけど、いずれは「アーティスト・松下唯」として見ていただけるようになったらうれしいです。

──具体的な目標っていますか?

私が尊敬しているのは平野綾さんやLiSAさん、喜多村英梨さんなんですけど、皆さんちょっとダークな面を持っていてカッコいいイメージじゃないですか。そういったロック色が強くてカッコいいアーティストになるのが夢です。で、ゆくゆくはアニメのオープニングテーマを歌いたい。なおかつ今の最終目標がアニサマ(毎年8月下旬に開催されるアニソンイベント「Animelo Summer Live」)に出ることなんです。アニサマって私にとっては憧れの地なんです。お客さんもアニソン好きの方々がワーッと集まる、大きなイベントじゃないですか。そこに自分も出演者として加わることができたらなって想像しながら生活してます。なのでまずはアニソンが歌えるようになりたいですね。

──「Shooting Star」をはじめ、今回のシングル収録曲って全部アニメと親和性が高そうな気がしますよ。

そうですね。ファンの方も「(『Shooting Star』は)アニソンに使われてもおかしくない曲だよね」っすごい言ってくださっていて。曲を聴いた皆さんがそういう方向で捉えてくれてるのはすごくうれしいので、今後もその軸はブレずにいきたいです。

人前に立つことがやっぱり大好きなんだな

──では音楽活動以外で、何かやってみたいことはありますか?

私、しゃべるのが好きで、なおかつバラエティ番組やトーク番組が好きなんです。なのでバラエティ番組に出演して、いろいろしゃべりたいですね。

──演技についてはどうですか? 4月には初めて舞台にも挑戦しましたが(4月9~14日に東京グローブ座で上演された「音楽朗読劇 イキヌクキセキ~十年目の願い~」に出演)。

今回が演技初挑戦で。私、声優になりたいとか言っておいてあれなんですけど、演技に対する苦手意識が強くて(笑)。別に過去に演技で失敗したとかそういう経験があるわけではないんですけど、ずっと苦手だと思ってたんです。だから稽古のときも本当にどうしようと思ってたんですけど、だんだんと舞台ならではの楽しみを見つけられて。とはいえ今回は初めての経験でしたし、震災を題材にした物語だったのもあって、緊張の連続でした。でもやり終えた今は、本当にやってよかったなってすごく思います。

──じゃあまたやってみたい?

うーん、またお話が来たらがんばりますけど……今はあの緊張感が、ちょっと(笑)。私の周りには舞台をやってる友達が多くて、その子たちはすごく楽しんでやってるので、私もそういうふうになれたらいいなと思いますね。

──ジャンルは違うかもしれないけど、そこでの経験は確実に歌に跳ね返ってくると思いますし。

そうですね。この舞台に出演したことで一歩前進できたのかなという気がしますし、私は人前に立つことがやっぱり大好きなんだなと、改めて実感することができました。

松下唯
1stシングル「Shooting Star」 / 2013年5月22日発売 / 1260円 / 徳間ジャパンコミュニケーションズ / TKCA-73903
収録曲
  1. Shooting Star
  2. Rigel
  3. LOVE MONSTER
  4. Shooting Star(インストゥルメンタル)
  5. Rigel(インストゥルメンタル)
  6. LOVE MONSTER(インストゥルメンタル)
松下唯(まつしたゆい)
松下唯

1988年7月25日生まれ、福岡県出身の女性シンガー。2008年7月に名古屋のアイドルグループのオーディションに合格し、芸能活動を開始する。順調に活動を続けていたが、2010年2月に両足首の病気である「離脱性骨軟骨炎(距骨)」により、手術やリハビリのために1年近い活動休止期間に突入した。2011年1月からは徐々に活動を再開させるも、同年9月末をもってグループを卒業。その後東京や名古屋を拠点に、ライブ活動やFMラジオでのパーソナリティ担当など地道な活動を続けていく。そして2013年5月、徳間ジャパンコミュニケーションズからシングル「Shooting Star」でソロデビュー。