ナタリー PowerPush - 摩天楼オペラ
“合唱”から“劇的ロック”へ 解体から生まれた新たなスタイル
初期のガツガツ感を思い出してみたらどうかな?
──そうした「Orb」での挑戦を経て、今回のシングル「隣に座る太陽」にたどり着いたわけですね。このシングルを聴いたとき、過去のシングル曲と比べてとてもストレートな楽曲だなという印象を受けました。
苑 「隣に座る太陽」はアルバムの流れの中でも、特にシングルを意識して作ったんです。今度のアルバム「AVALON」には展開がコロコロ変わる曲が多いんですけど、それと比べると「隣に座る太陽」はすごくシンプルで。でもアルバムの方向性から逸れてないと思いますよ。
──そうなんですね。これまでもシングル用と意識して曲を書くことはありましたか?
苑 今までも何度かありました。今回の場合はアルバムを制作してる途中で「もっとガツガツ感のある曲があってもいいよね」という話をディレクターとして。ちょうどシングル曲を書こうと思ったときに「初期の頃にあったガツガツ感をちょっと思い出してみたらどうかな?」というアイデアが上がって、それがうまく「隣に座る太陽」に表現できたのかな。
──そんなストレートな「隣に座る太陽」ですが、非常にインパクトのあるタイトルだと思うんです。歌詞からも強い主張を感じますし。
苑 これはアルバムのコンセプトにもつながってくるんですけど、日々生きている中での不安や不満を歌詞にガンガン書いていったんですよ。で、書いていくうちに「こんなに不満ばっかり言っててどうすんだろう?」と感じるようになって、そこからだんだん「ちょっと考え方を変えれば、そんなに悪い世界じゃないぞ」と僕の中で考え方が変わってきて。自分自身が見方を変えたら、嫌だと思ってたことでも全然よく見えたりするものですし、そういうものの見方をリスナーとも共有できたらいいなと。イライラすることがちょっと減るかもしれないじゃないですか。そういう思いを込めて、この歌詞を書きました。「隣に座る太陽」というタイトルも、実は自分の見方を変えればすぐ近くに希望があるんだよ、いつも希望は隣に寄り添ってくれてるんだよ、ということをちょっと皮肉っぽく表現したものなんです。
──隣に「座る」っていう表現が面白いと思うんです。隣に「ある」ではなくて。
苑 なるほど。僕は「座る」という表現に身近なものっていう印象を感じていて。例えば家族や大事なものって、ときには当たり前すぎてちょっと見えなくなるときもあったりするじゃないですか。そういうニュアンスを「座る」という表現に込めてみました。
摩天楼オペラ / 隣に座る太陽 [Music Video YouTube用 Making ver.]
コーラスパートも自然と叫んでもらえたら面白くなる
──2曲目の「メインキャストは考える」というタイトルも興味深くて。「隣に座る太陽」もそうですけど、タイトルは曲や歌詞からインスパイアされて決めるんですか?
苑 そうですね。タイトルは歌詞を書き終えたあとに付けてます。逆にタイトルを先に決めて作ったのって、「GLORIA」ぐらいかな。「GLORIA」のときはタイトルから歌詞を膨らませていきました。
──「隣に座る太陽」や「メインキャストは考える」というタイトルは、とてもイマジネーションをかき立てられるフレーズだと思いました。
苑 「メインキャストは考える」にはBメロにコーラスパートがあるんですけど、コーラスって通常英語のフレーズを使いがちだと思うんですけど、「生まれてから死ぬまで100年」というフレーズを思い付いたときに「おっ、これはいける」と。すごく印象的なパートになったなと思います。
──このコーラスパートも、ライブでお客さんが一緒に叫ぶと面白そうですね。以前の合唱とはまた違って。
苑 そうですね。むしろ一緒に叫んでくれたほうがうれしいかも。摩天楼オペラのライブではいつも「オーイェイ!」とかわかりやすいフレーズを一緒に叫んでもらうことが多いんですけど、こういったコーラスパートも自然と叫んでもらえたら面白くなると思います。
──「メインキャストは考える」は彩雨さんが作曲していますが、この曲は次のアルバムのために用意された曲だったんですか?
彩雨 僕は曲ができたらすぐ形にしてみんなに聴かせるタイプなんですけど、この曲自体は2012年にはもう作っていて、2013年の頭にみんなに聴かせていたんです。ニューアルバム用というよりは次の方向性の話し合いをする前からストックしていたものなんです。
──あ、そうだったんですね。
彩雨 僕はミドルテンポの曲をたまに作って、年に1曲ぐらいの割合で発表させてもらってるんですけど、これもその流れで生まれたもので。「次にミドルテンポの曲を発表するときは、この曲で行こう」と思って温めてたんです。
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CD収録曲
- 隣に座る太陽
- メインキャストは考える
DVD収録内容
- 「隣に座る太陽」 MUSIC VIDEO
摩天楼オペラ「AVALON TOUR」
- 2014年9月17日(水)東京都 TSUTAYA O-EAST
- 2014年9月19日(金)石川県 Kanazawa AZ
- 2014年9月20日(土)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
- 2014年9月23日(火・祝)北海道 札幌KRAPS HALL
- 2014年9月25日(木)青森県 青森Quarter
- 2014年9月27日(土)岩手県 Club Change WAVE
- 2014年9月28日(日)宮城県 darwin
- 2014年9月30日(火)大阪府 BIGCAT
- 2014年10月2日(木)広島県 ナミキジャンクション
- 2014年10月4日(土)熊本県 DRUM Be-9 V2
- 2014年10月5日(日)福岡県 DRUM Be-1
- 2014年10月7日(火)愛媛県 松山SALONKITTY
- 2014年10月9日(木)兵庫県 神戸VARIT.
- 2014年10月11日(土)京都府 磔磔
- 2014年10月13日(月)愛知県 THE BOTTOM LINE
- 2014年10月18日(土)東京都 日比谷野外大音楽堂
摩天楼オペラ(マテンロウオペラ)
2007年に結成されたロックバンド。2008年に苑(Vo)、Anzi(G)、燿(B)、悠(Dr)、彩雨(Key)という現在の編成になる。叙情的な歌詞とシンフォニックメタルからの影響が強いサウンドが特徴で、国内のみならず海外でもCDリリースやライブ活動を展開。2010年5月に初のホールワンマンライブを渋谷公会堂(当時・渋谷C.C.Lemonホール)で実施した。同年12月にはミニアルバム「Abyss」でメジャーデビュー。2011年7月にリリースしたメジャー1stシングル「Helios」は、オリコン週間ランキング初登場16位を記録した。同年10月にはメジャー2ndシングル「落とし穴の底はこんな世界」を発表。同月にさいたまスーパーアリーナで行われた「V-ROCK FESTIVAL '11」にも出演し、大きな注目を集めた。2012年3月、メジャー1stフルアルバム「Justice」を発売。同年後半に「喝采と激情のグロリア」というコンセプトのもとに、「GLORIA」「Innovational Symphonia」という合唱をテーマにしたシングルを連続リリースした。2013年3月にメジャー2ndアルバム「喝采と激情のグロリア」を発売。同年6月にはZepp Tokyoで単独ライブを行った。2014年7月にニューシングル「隣に座る太陽」を発表。9月3日にはメジャー3rdアルバム「AVALON」をリリースし、日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブを含む全国ツアー「AVALON TOUR」を9月から10月にかけて実施する。