「大人がどう評価するんだろう？」って興味本位だった（松本）

松本　オーラルみたいな濃いエピソードないですよ、俺らは（笑）。

山中　そう？ テレンの話してよ。

松本　LAMP IN TERRENはオーディションを受けた年の夏に初めてワンマンをやって、えーと……2013年の7月かな。上京はしてたけど、本当にアマチュアで。でも、同じ頃に自分たちでいいなと思える「緑閃光」「ランデヴー」という2曲ができたんです。レコーディングもして、ワンマンのために1カ月限定でYouTubeにその2曲をアップしたり。

山中　うんうん。

松本　だけど、上げるだけだともったいないなとも思ったんですよ。当時の俺らはブッキング運がなくって、対バンは年配の方が多くて、周りに同い年くらいのバンドがいない状況で引きこもりみたいな感じになってたんです。何かしらの形で1回誰かに評価してほしい気持ちがあって、「MASH FIGHT」と「RO69JACK」に申し込みました。MASHは事務所の硬派なイメージが強かったから、自分たちの本質的なものが見える「緑閃光」を出そうと。ROにはフェス向きの明るめな「ランデヴー」を出したんです。

石原　なんだかんだ考えてますよね。

松本　いや。俺はメンバーに何も言ってなくて、1人で勝手に応募した。落ちたら落ちたで、悔しい気持ちを共有するのも嫌で（笑）。「とりあえず、大人がどう評価するんだろう？」って興味本位でさ。ライブ審査が決まったところで初めて話した。「この日はバイト入れないで」みたいに。

山中　お前、ヤバイな（笑）。それはメンバーがびっくりするわ！

松本　すいません！（笑） 結局、両方共グランプリをいただいて、すべてがガラッと変わったんですよ。でも、本当にね……さっきオーディション出身者に対する偏見の話がありましたけど、最近まで「僕らはポッと出で実力のないバンドなんだ」っていうどこか後ろめたい思いが自分の中にあって、それを克服するためにここ3年くらいを歩んできた気がします。いろいろ悩んで、「開けたいい曲を書かなきゃいけない」ということばかりに意識がいっちゃったり、何をやりたいのかが見えなくなってた時期も長かったので。本当は通ってきた道を理解して、1回1回のライブにしても取材にしてもどう立ち向かうのかが大事で。今年に入ってから、ようやくハッキリしてきたんですよ。

山中　変わってきたよね。大はいつも音源ができたら送ってくれるじゃん。俺のレスポンスとしては、いいときは「いい」って言うし、悪いときは何も言わないけど。

石原　そうなんですね！

山中　せやけど、本当にいいなって思ったタイミングがあって。けっこう最近やんな？ 今年出たアルバム、「fantasia」やもん。あのときはすぐ連絡した！

松本　自分の中でまだ混同してる感じのアルバムなんですけど、変化の時期は訪れてて。

山中　音源をくれたときに大が初めて「俺、今いろいろ抱えてるものがあって……」って言ってきてくれて、「じゃあ、1回一緒にメシ行こうか？」ってなったもんな。そこでかなり話したよ。

松本　ですね。

山中　その話をしてる大がもう変わってて、これからいい方向に行くだろうなって思った。

「受かっちゃった！」みたいな感じなんですよ（石原）

松本　こういう取材なんで「MASHについてのことをしゃべったほうがいいな」と思いつつ、つい自分たちのこんな話をしたくなっちゃいました。グランプリ関連では、あまり実のある話がないから（笑）。

山中　でも、MASHが支えてくれたってことやな。

松本　はい。サポートはすごく大きいし、常に刺激が与えられる場所なので。例えばオーラルが武道館でやるとか、フレデリックもどんどん人気出てるとか。離されてしまった悔しさもあるけど、MASHを自分らの色に染めていくのは今からだって思ってます。で、サウシーがオーディションを受けた理由は？

石原　この流れで僕が話すんですか!?（笑）

松本　お前が一番話しやすいと思うよ。最近のことなんだから。

山中　オーディションの色も固まってきてるわけだから。

石原　わかりました。Saucy Dogがオーディションを受けたきっかけとしては、2015年の冬から2016年の春まで、僕1人で活動してた時期がありまして。その頃、好きなバンドや仲よくなりたい人のライブを観に行ったりもしてたんですよ。で、ライブハウスでもらったフライヤーにMASHのオーディションのやつがあって、それをなんとなくずっと保管してて。

松本　うん。

石原　2016年の4月に今のメンバーになって、全国各地回っていくうちに少しずつ自信が持てたんです。「ライブ、よかったよ！」と言ってくれる人もだんだん増えてきて。当時は炊飯器を持って、いろんな場所へライブしに行ってましたね。60本くらい。高速は使わずにほとんど下道で車中泊。

山中　すごいよなあ。

石原　その苦労を乗り越えて、今ならオーディションとかでいいとこまで行けるんじゃないかなと。それでフライヤーのことを思い出して。「MASH FIGHT」に勝手に俺が応募して。

山中　お前もか！

松本　あはははは（笑）。

石原　そしたら、東京でライブがあった日に電話がかかってきたんですよ。「ファイナルに通ったので」って。でも、僕は意味がわからなくて「え!? 何の話ですか？」みたいな。応募してたことを忘れてて（笑）。

山中　ファイナルの前にライブ審査なかったんや。

石原　ない時期でした。

松本　ああ、そっか。3rdシーズンはファイナル前のライブ審査なしなのか。9月あたりに応募すると、忘れた頃に電話が来るんだよな。て言うか、俺らもそうだったわ（笑）。

石原　そうです！ 「誰ですか？」って思ったんで（笑）。

山中　誰ですかって（笑）。

石原　でも、ファイナルに出てたのが関西の人ばかりで、あまり東京感がなくて。落ち着いてライブができたのは覚えてます。それで「受かっちゃった！」みたいな感じなんですよ。

松本　だいぶ雰囲気が違うなあ（笑）。自分たちのときは申し込む段階で、「俺ら以上の奴らがいるなら見せてくれ！」ぐらいのことは思ってたよ。

山中　そういう感じやんな。俺らは発表のときは「負けるとしたらフレデリック。それ以外には負けへん！」って思ってた。

石原　僕らも自信はありました。「最近で一番いいライブだったね」って、メンバー同士で終わったあとに話したし。

松本　サウシーのファイナルのパフォーマンスは会場で観たよ。フラッと行ってフラッと帰ったんで、グランプリ発表の瞬間はいなかったけど。って言うのも当日はパノラマパナマタウンがゲストで出てたし、彼らにその場は任せようと思って。あとでパノパナから「グランプリ、Saucy DogとYAJICO GIRLです！」ってLINEが来て、「マジで!? 2組も？」みたいな。

石原　びっくりしました。ヤジコだけやと思ってたんで。ほかのバンドとは明らかに違って、堂々としててすごかったから。

山中　俺らはその日ライブがあって、出番の前後にLINE LIVEでチラチラ観てた。ステージが終わったあとに結果を聞いて、「ええ!? いきなり後輩が2組も増えるやん！」って騒いでたね（笑）。いいバンドが2組も入って、今はよかったと思ってる。