音楽ナタリー Power Push - 丸本莉子×手島いさむ(ユニコーン、電大)

世代を超えた2人の音楽家をつなぐもの

自分の声のよさは低めのほうにあるんじゃないか

──今回配信される「つなぐもの」というラブソングは、けっこう前に生まれたものだそうですね。

丸本莉子

丸本 はい。実は20歳のときに作った曲です。それを今回、歌詞をちょっと変えて、改めて録り直しました。最初に作ってから5年も経っているので、今リリースするには幼い部分があるよねっていうことで。手島さんには以前のバージョンをお渡ししていましたよね?

手島 うん。これ、俺が「怖い怖い、怖いわ!」って言ってた曲だよな?

丸本 そうですそうです(笑)。歌詞を変えたんですけど、マシになってますか?

手島 マシになっているというか、全然よくなってると思うよ。ちゃんと恋を訴える曲になってる。

丸本 よかった(笑)。以前の歌詞はもう「好き好き好き好き!」っていう感じだったんですよ。当時、フラれる直前に書いた曲だったので(笑)。でも書き直した歌詞では相手のことも見えてくるというか、男性にとっての都合のいい女性の歌ではなく、ちゃんとカップルとしての歌になっていて、ハッピーエンド感も強まってるとは思うんですよね。

手島 前はさ、ギブ&テイクを求める感じだったのよ。こんなに好きなのになんで返してくれないの、みたいな。その押しつけがましさがちょっと怖かったというか。でも今の歌詞は無償の愛になってるからね。そこがメジャーとしてリリースするに相応しくなってる気がするな。すごくいいメロディをよりたくさんの人に聴いてもらえる曲になったと思う。

丸本 うん。まさにそうですね。プロデューサーにもそこを指摘されたので、書き直すことにしました。もともと私は下向きの気持ちが徐々に上を向いていく曲を書くのが好きなんですよ。マイナスの感情が最後はプラスになるっていう。そこには自分自身の願望も反映されてるとは思うんですけど。今回新たに書き直すことで、そこをより突き詰められた気がします。

手島 うちらがやってることって娯楽だからね。人に楽しくなってもらうことは、やっぱり生き残っていくための条件の1つなんですよ。

──以前は高いキーの曲を作ることが多かったとおっしゃっていましたが、この曲は低いトーンがすごく魅力的に響く楽曲になっていますよね。

丸本 そうですね。この曲も作ったときは2音くらいキーが高かったんですよ。でも歌っていく中で、「高いなこれ」って思うようになったからちょっと下げたんです。自分の声のよさは低めのほうにあるんじゃないかって思うようになってきたところもあったし、手島さんのおっしゃる「次の段階」を考えるとそうしたほうがいいんじゃないかなって。

──MVも素敵な仕上がりになっていますね。

丸本 はい。この曲はラブソングではあるんですけど、MVでは家族や友達にも当てはまる、広い意味での“つなぐもの”が表現されています。同じ事務所の佐谷戸ミナちゃんが出演してくれて、ほんとに素敵な映像になっているのでぜひ観てほしいですね。

高知県観光特使の丸本莉子です!

──そしてもう1曲、「がんばる乙女~Happy smile again~」も配信されます。この曲は2016年4月から高知県で開催される旅の誘客キャンペーン「2016奥四万十博」のテーマソングになっています。

手島 四万十川っていうとさ、俺はもう松ちゃん(松本人志)のキャシィ塚本(「ダウンタウンのごっつええ感じ」で松本が演じていたキャラクター)しか浮かばないんだけど(笑)。

丸本莉子

丸本 あははは(笑)。私はインディーズ時代にいろんな地域を歌い歩かせてもらっていたんですけど、その中で高知県のことがものすごく好きになったんですよ。で、ことあるごとに「高知県大好き!」って言ってたら、この度、高知県の観光特使に任命していただけて。あ、そうだ。(名刺を差し出しながら)高知県観光特使の丸本莉子です!

──わ、ありがとうございます(笑)。

丸本 で、今回、1年くらい前に作った「がんばる乙女~Happy smile again~」を「奥四万十博」のテーマソングとして使っていただけることになったんです。それに合わせて、歌詞を少し変えたところもありますね。曲調もメジャーで今までリリースしてきた曲とはまったく違った感じになっています。

手島 器用だよねえ。いろんな曲が作れて。俺、20代の頃なんてそんなこと絶対できなかったよ。俺もね、高知でライブがあると前々前乗りするくらいすごく好きなのよ。1回のライブで4日くらい滞在するっていう。知り合いも多いしさ。

丸本 えー、そうなんですか? じゃそれに私も便……一緒に行かせてください!

──今、便乗って言いそうになりましたね(笑)。

丸本 あははは(笑)。うん、ぜひ便乗したいです! カツオのたたきもおいしいですしね。

手島 観光特使になったってことなので、別々のラインから向こうで会うこともありそうだけど、一緒に高知も攻めていこうか!

丸本 はい! 来年からもいろいろよろしくお願いします!

左から丸本莉子、手島いさむ。
配信シングル「『つなぐもの』-EP」/ 2015年12月16日配信/ Victor Entertainment / AndRec / 700円 / 期間限定価格(12月16~27日)500円
「『つなぐもの』-EP」
収録曲
  1. つなぐもの
  2. がんばる乙女~Happy smile again~
  3. つなぐもの(Instrumental)
  4. がんばる乙女~Happy smile again~(Instrumental)
「丸本莉子ワンマンLIVE『丸本ん家(ち)へようこそ~ぷれぜんとふぉーゆー2015~』

2015年12月19日(土)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA

丸本莉子(マルモトリコ)
丸本莉子

広島県出身のシンガーソングライター。高校生の頃からギターの弾き語りを始める。高校卒業後はプロを目指して上京し、全国300カ所以上でライブを実施。地元である広島県安芸太田町のサポートソング、テレビ番組やCMのキャンペーンソングを数多く手がけて注目を浴びる。2015年6月に「ココロ予報」のハイレゾ音源を配信リリースしメジャーデビュー。8月に2作目の配信シングル「やさしいうた」、9月に1stミニアルバム「ココロ予報~雨のち晴れ~」を発売する。11月には高知県観光特使に就任。12月に3作目の配信シングル「つなぐもの」を、2016年3月には2ndミニアルバム(タイトル未定)をリリースする。

手島いさむ(テシマイサム)
手島いさむ

愛知県生まれ、広島県育ちのギタリスト。1986年にユニコーンを結成し、1987年にメジャーデビューを果たす。1993年のユニコーン解散後はBIG LIFE、islandsといったバンドで活動し、2006年には初のソロアルバムを発表する。そして2009年にユニコーンを再結成。2012年にはユニコーンの川西幸一(Dr)、EBI(B)と電大を結成する。電大としては2015年4月に4thアルバム「Δ4th」を発売し、2016年1月にライブツアー「Hello 2016!Yes we can make it.」を開催する。