音楽ナタリー PowerPush - マーク・ロンソン×SKY-HI(AAA日高光啓)
互いを刺激するルーツ、ビート、音楽への情熱
3月にニューアルバム「アップタウン・スペシャル」を発表し、日本で一夜限りのDJイベントを実施したマーク・ロンソン。エイミー・ワインハウスやポール・マッカートニーなどの作品を手がけグラミー賞を獲得した敏腕プロデューサーであり、シングル「アップタウン・ファンク feat. ブルーノ・マーズ」で全米チャートの首位を連続14週以上記録し、圧倒的な勢いを見せる旬な存在である。そんなマークの活動に強い影響を受けているというアーティストがSKY-HI(AAA日高光啓)。彼もファンクやディスコの要素を取り入れた最新シングル「カミツレベルベット」を3月にリリースしている。今回ナタリーではマークとSKY-HIの対談を実施。ヒップホップから音楽への関心を広げた2人の間に、数多くの共通点が見つかった。
取材・文 / 松永尚久 通訳 / 伴野由里子 撮影 / 西槇太一
プレミアムなDJイベントを振り返って
──SKY-HI(AAA日高光啓)さんは先日のマークさんのDJイベントをご覧になられたそうですが、感想はいかがでしたか?
SKY-HI サービス精神が最高だなって。最新アルバム「アップタウン・スペシャル」は踊らせる目的で作られたアルバムなんだということを身体で味わうことができました。
マーク・ロンソン 今回のアルバムはバンドでパフォーマンスすることを意識して制作したものだったんだけど、この間のイベントはスペシャルショーケースということで限られた観客の中で行うものだったから、特別にDJセットになったんだ。次の来日では必ずバンドセットでパフォーマンスしたいよ。ところで曲をいくつか聴かせてもらったんだけど、素晴らしい仕上がりだね。君もビッグバンドを従えてパフォーマンスすることはあるのかな? って思ったんだけど。
SKY-HI 3月12日までライブツアー(「SKY-HI TOUR 2015 ~Ride my Limo~」)を行っていて。そこではホーン隊やダンサーも交えて13人体制でパフォーマンスをしました。ファレル・ウィリアムスのトリビュート曲も入れたりだとか。
マーク それはクールだね。
ドラムが生み出すビート
──SKY-HIさんはマークさんがアーティスト活動を始めた頃から注目されているそうですね。どのような点に惹かれたのですか?
SKY-HI マークの曲はドラムがすべてをコントロールしているのが素晴らしくて。
マーク うん、ドラムが最初に触れた楽器だったからね。プロデューサーとして活動を開始した頃はどうやったら録音できるのかわからなくって。でも自分はヒップホップをルーツにしているから、好きな曲はドラムのビートが核になっている。だから自然とドラムへのこだわりが強くなっていったんだよね。
SKY-HI 今回のアルバム「アップタウン・スペシャル」は、自分がここ数年聴いてきたものの中で最高と言える作品で。
マーク ありがとう。
SKY-HI 特に「アイ・キャント・ルーズ feat. キヨン・スター」はドラムが歌っている感じがした。
マーク この曲はSohoの「Hot Music」という、1980年代後半のクラブでかかりまくって当時のブレイクダンサーがみんな踊っていた曲のドラムパターンを参考にして作ったんだ。ちなみに歌い出しの部分はSnoop Doggy Doggの「Ain't No Fun (If the Homies Can't Have None)」(1993年発表のデビューアルバム「Doggystyle」の収録曲)のフレーズを使用している。だからこの曲がヒットしても大した儲けにはならないんだよ(笑)。君もサンプリングするのは好き?
SKY-HI デモの段階では使うんだけど、結局許可をとったりするのが難しいので世に出せないことが多い。ちなみに僕も最初に触れた楽器はドラムだったので。楽曲制作の際は自分で打ったビートを使えばいいかなって思ってます。それをビートミュージックならこの人とか、ディスコならこの人というふうにお願いして制作しています。
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- マーク・ロンソン ニューアルバム「アップタウン・スペシャル」 / 2015年3月4日発売 / ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル / 2376円 / SICP-4387
- マーク・ロンソン ニューアルバム「アップタウン・スペシャル」
収録曲
- アップタウンズ・ファースト・フィナーレ feat. スティーヴィー・ワンダー&アンドリュー・ワイヤット
- サマー・ブレイキング feat. ケヴィン・パーカー
- フィール・ライト feat. ミスティカル
- アップタウン・ファンク feat. ブルーノ・マーズ
- アイ・キャント・ルーズ feat. キヨン・スター
- ダッフォディルズ feat. ケヴィン・パーカー
- クラック・イン・ザ・パール feat. アンドリュー・ワイヤット
- イン・ケース・オブ・ファイア feat. ジェフ・バスカー
- リーヴィング・ロス・フェリス feat. ケヴィン・パーカー
- へヴィー・アンド・ローリング feat. アンドリュー・ワイヤット
- クラック・イン・ザ・パール, Pt.II feat. スティーヴィー・ワンダー&ジェフ・バスカー
<国内盤のみボーナストラック>
- アップタウン・ファンク feat. ブルーノ・マーズ(BB Disco Dub Mix)
マーク・ロンソン
ロンドン生まれのアーティスト。16歳頃よりDJ活動を開始し、人気クラブや数多くの著名人のパーティに出演。当時のニューヨーククラブシーンを代表するほどの話題を呼んだ。プロデューサーとしても活動を行っており、エイミー・ワインハウスのアルバム「バック・トゥ・ブラック」で2008年度のグラミー賞にてプロデューサー・オブ・ザ・イヤー(ノンクラシカル部門)を受賞。2015年3月に最新作「アップタウン・スペシャル」を発表した。
- SKY-HI ニューシングル「カミツレベルベット」 / 2015年3月18日発売 / avex trax
- CD+DVD 1 / 1944円 / AVCD-83180/B
- CD+DVD 2 / 1944円 / AVCD-83181/B
- CD 1080円 / AVCD-83182
CD収録曲
- カミツレベルベット
- LUCE
- カミツレベルベット(Instrumental)
- LUCE(Instrumental)
- カミツレベルベット(Acappella)
- LUCE(Acappella)
CD+DVD盤1 DVD収録内容
- カミツレベルベット(ウラMusic Clip)
- カミツレベルベット(ウラMusic Clip Making)
CD+DVD盤2 DVD収録内容
- そばにいるだけで(SKY-HI TOUR 2014 Trip of TRICKSTER LIVE)
- Tyrant Island(SKY-HI TOUR 2014 Trip of TRICKSTER LIVE)
- キミサキ(SKY-HI TOUR 2014 Trip of TRICKSTER LIVE)
SKY-HI(スカイハイ)
ラッパー、ソングライター、歌手、ダンサーなど幅広く活動を行うアーティスト。AAAでもメンバーとして活動している。さまざまなラッパーとのコラボレーション企画「FLOATIN' LAB」を2011年よりスタートし、翌2012年に同企画のコンピレーションアルバム「SKY-HI presents FLOATIN' LAB」を発売。2014年3月にはファーストアルバム「TRICKSTER」をリリースした。2015年2月からライブツアー「SKY-HI TOUR 2015 ~Ride my Limo~」を全国9カ所で実施し、追加公演も決定している。2015年3月に最新シングル「カミツレベルベット」をリリース。tofubeatsやBase Ball Bearとの競演など、多方面のアーティストとの交流も行っている。