面白そうなことがたまたま新しいだけ

──イベントでは初披露の新曲もありました。まずは小湊さんとのコラボ曲「Bamboo Fluter」。この曲を作ったのはまらしぃさんですか？

僕が作りました。どうせなら尺八とピアノがかけ合いをする曲を作ろうと思って書いたんです。小湊さんには曲を渡すときに「尺八で吹きやすいように落とし込んでください」と伝えています。

──曲を作るうえでピアノと尺八の違いをどう意識しましたか？

ピアノは単音を鳴らすと「ポン」というきれいな音が鳴りますけど、尺八は単音を吹いたときの音が太いし、息を吹き込む音も聴こえて、音の情報量が多いんですよね。メロディを吹いてもらうのはもちろん、高音を伸ばしてもらうだけでも、僕が想定してた音より3段階ぐらいカッコよくて。「うおお、すげえ」と思いましたね。

──ピアノと尺八、どちらの楽器も主役を張るアグレッシブな曲になりましたね。

尺八ってメロディを吹いても立つ楽器ですけど、曲の裏で鳴っててもカッコいい楽器なんですよ。ピアノも同じでメロディを弾いてもいいし、伴奏に徹することもできる楽器ですから、じゃあもうどっちも主役になる曲を作っちゃえと思いまして（笑）。

──もう1曲、maras kとしてステージに立った際に披露された「情熱大陸（maras k ver.）」もイベントで初披露された楽曲でした。

こちらはkors kさんにお任せした曲ですね。「情熱大陸」は僕がピアノでよく弾いてる曲ですから、どういうイメージの曲にしたいかは伝えましたけど、最終的なトラックのアレンジはkors kさんに委ねています。めっちゃアガる曲ですよね。

──kors kさんのことを初めて観るオーディエンスも多かったと思いますが、皆さん大いに盛り上がってました。

僕、ホールとライブハウスではピアノを弾いたことがあるんですけど、kors kさんが普段パフォーマンスするようなクラブという空間ではまだライブをしたことがないんですよね。だから今度は僕がkors kさんの現場にお邪魔して、ピアノを弾けたら楽しいかなと思っています。

──コラボ相手も毎回斬新ですけど、まらしぃさん自身に「新しいことをやってみたい」という気持ちが強いんですね。

最近はそうみたいですね（笑）。新しいことというか、面白そうなことをやろうとすると、それがたまたま新しいことってだけなんです。とは言え、僕の活動の核にあるのがソロであることは変わらないですし、新しいコラボとかもそんなに今いろいろ計画しているわけじゃありませんから。今後も思い付いたことがやれたらいいなってくらいに考えています。

自然とアレンジをしない曲も

──新たにリリースされるアニソンカバー集「Anison Piano2～marasy animation songs cover on piano～」についても話を聞かせてください。前作のカバー集も名曲ぞろいでしたが、今作では、「タッチ」「ラムのラブソング」といった古典的な名曲が増えた印象です。

僕の中で最近ブームになった曲ももちろん入ってますけど、コンサートに親子連れとかで聴きに来てくれる方がいるのを考えて、親御さんにも響く時代のアニソンを入れようと思ったんです。思い返してみたら、どれも名曲ばかりが思い浮かんだので今回は選曲でけっこう悩みましたね。新しいアニソンばっかりとか、昔のアニソンばっかりにもできたと思うんですけど、ちょうどいい加減を探っていて。

──新旧のアニソンをカバーしてみて、両者に何か違いは感じましたか？

例えば「ポケモン」とか「タッチ」の曲って完全に“アニメの曲”なんですよね。いいとか悪いとかはないですけど、最近のアニソンはアニメを知らない人でも楽しむことができるように作られている。同じアニソンというくくりでも、曲の立ち方が違ったりして、僕は弾いてみてその違いを楽しんでました。

──前作のアニソンカバー集「Anison Piano ～marasy animation songs cover on piano～」でのインタビューでは、まらしぃさんに「アニソンをピアノでカバーする意味」について語っていただきました（参照：まらしぃ「First Piano」「Anison Piano」インタビュー）。具体的に言うと、歌詞が存在しないピアノカバーでAメロ、Bメロ、サビを2コーラス分繰り返すことに意味があるのかとおっしゃっていたんですが。

そんなこと言ってましたっけ？

──言ってました（笑）。「2コーラス目の響きを変えるために最適なアレンジを探した」と話していましたが、先ほどのお話を聞いてアニソンをカバーする際の意識が以前とは変わったのかなと感じました。

考え方がちょっと変わったのかもしれないですね。すばらしい原曲があってのことなので、別に必ずアレンジしなければならないとは思っていないんです。「ここはこう弾きたいな」と思ったら自然にアレンジしてると思いますし、逆に自然とアレンジしなかった部分も多々あります。