「艦隊これくしょん」というものがございまして

──タイトルについてもうちょっと教えてください。「愚者のロンド」以外のタイトルってどうやって決めたんですか？

「わたしの卒業」なんかは曲のイメージ通りというか、けっこう直球なタイトルだとは思うんですけど、あとは「愚者のロンド」と同じくいい意味で適当というか（笑）。「アマツキツネ First Piano album ver.」をアルバムの真ん中あたりに置くことはけっこう早くから決めていたので、「伝承」や「弧ギツネの乱」なんかについては、そこにつなげる曲はどういう名前がいいんだろう？って考えて付けてますし。「アマツキツネ」自体昔話をコンセプトに作った曲ではあるので、じゃあその前に来る曲は「伝承」かな？ 和モノだしっていう感じなんですよ。あと「金剛」については、これ言っていいのかよくわからないんですけど……。

──そういう言い方をされたら、こちらとしては絶対に食い下がりますよ（笑）。

……えーっとですね、最近人気のゲームに「艦隊これくしょん」というものがございまして、僕、そのゲームが大好きなんですよ。作曲そっちのけでパソコンに向かっては「艦これ」をやっちゃうくらい。

──この「金剛」は「艦これ」の金剛でしたか（笑）。

「艦これ」の中でもあのキャラクターが特に好きなもので（笑）。

やりたいことをやれた“余裕”の1枚

──初のオリジナルアルバムを前にして改めて思うところってあります？

なんて言うんだろう？ やりたいことはやれた気はします。

──それはすごく伝わりました。今やりたいこと、今できることをガッツリやり抜いたアルバムですよね。

ボカロ曲を作る場合は歌モノですし、ある程度制限というか、作曲のお作法みたいなものがあらかじめ決まっていたりするんですけど、ピアノインストのオリジナル曲の場合、それこそメロディがなくてもいいわけですし。僕が普段聴いているダンス、トランス系をピアノ1本でトレースするみたいなことをやっても構わない。あと「愚者のロンド -輪廻-」ではミックスの段階で、一番下のルート音を意図的に歪ませてみることで、ちょっとラフでノイジーに聞こえるようにしていたりもしますし。作曲からミキシングまで、いろんな局面でいろんなことを試せた気はしています。レコーディングのときも多少余裕だったように思いますし。

──「余裕」ですか？

「V-box」の頃ってがんばって録らなきゃ、みたいな気負いがあったんです。もちろん気合いが入ることはいいことなんですけど、ちょっと気負いすぎたり、神経質になっていたりした部分もあって。でも今回は……なんて言えばいいんだろう。気合いは入ってるんだけど、どこか冷静。気合いを入れて演奏しつつも、ちゃんと自分のプレイを聴けている感じがして。だからいろいろなことを試せた。それで「やっぱりダメでしたね。さっきのテイクをOKにします」ってなっても、さっきのテイクが本当にいいテイクになっていればそれでいいと思えるようになったし、いろいろ試せたおかげでホントにいいものが録れたりもしましたし。スタジオで弾くことで、自宅で弾いていたときよりも演奏が底上げされた感じがした曲も何曲かあって。それもよかったなって思います。

もう1人の「2014年のまらしぃ」

──で、同時発売の「Anison Piano ～marasy animation songs cover on piano～」なんですけど……。

これもこれで自己紹介的な1枚なんですよね。アニメソングとかを弾いている動画を投稿することっていうのが、僕の原点であり僕の本質なわけですから。そういう本質的なことをやっているアニソンカバーアルバムを、オリジナルアルバムと一緒にリリースすることには意味があると思ってます。ある意味オリジナルアルバムよりも僕らしい1枚、やっぱり「2014年時点のまらしぃ」的なアルバムなんですよね。

──じゃあこのアルバムでカバーした18曲は全部今のまらしぃさんが聴きたい、弾きたいアニソン？

単純に曲としてアニメとして好きな作品ばっかりですね。