音楽ナタリー PowerPush - AOMORI ROCK FESTIVAL '14~夏の魔物~
吉田豪が問い詰めた私生活、DPG、魔物
青森県の野外ロックフェス「AOMORI ROCK FESTIVAL '14~夏の魔物~」が7月21日に開催される。今年のラインナップにはBRAHMANとでんぱ組.incのダブルヘッドライナーをはじめ、ロック、アイドル、プロレス、サブカルチャーなど多種多様なアクトが約50組クレジットされている。
このフェスのテーマソングを歌うのは「夏の魔物」主催の成田大致率いるエンタテインメント集団・DPG。彼らは都内で数々のショーを繰り広げるとともに、ネット上でもグループの内幕をメンバー自ら暴露するなどスキャンダラスな活動を続けている。過激な話題が先行することで“誤解”され続ける成田大致とDPG。今回は“プロインタビュアー”の吉田豪が2012年から2年ぶりに成田を直撃し、彼の近況とDPGの活動実態、そして「夏の魔物」の見どころを掘り下げた。
取材・文 / 吉田豪 インタビュー撮影 / 中西求
今日は全部話します
──2年前にナタリーの「夏の魔物」特集(参照:「AOMORI ROCK FESTIVAL '12~夏の魔物~」成田大致インタビュー)でインタビューをやったことで、成田大致という男がどういう人間なのか初めてちゃんと伝わったと思うんですよ。それから2年間、DPGの活動も含めてどんなことがあったのか話してもらいたいと思います。
そうですね。とにかく2年前の豪さんのインタビューが発端で、すごい飛び火したんですよ。
──それはいい意味で? 悪い意味で?
両方じゃないですかね。
──ダハハハハ!(笑) あれがきっかけで見られ方が変わった部分はあると思うんです。Twitterを見てると、今まで嫌いだったけどバカ負けして認めようってなる人と、やっぱり許せないっていう人に二分されてましたけど、大人たちの反応も変わってきたんですか?
そうですね。今まで全然連絡よこさなかった人から連絡くるようになったり。あれを見てくれた人が多かったので。それはすごいうれしいんですけど。……今日のインタビューに向けていろいろ考えてみたんですけど、載せられないことが9割なんじゃないかなと思ってて。
──え! 最近の成田さんのTwitterを見てると、いろいろ大変なことが起きてストレスがたまってるんだけど詳細は言えない、みたいな感じですよね。要するに、ハッキリと言えないもめごとが次々と起きてる状態なんですか?
この2年間に起きたことって公に出せないこととかばかりで。なので今日は全部言うんで、あとで構成で切ってもらっていいですか?
──ヤバそうなところは全部、うまく言い換えておきます(笑)。具体的には何が今大変なんですか? 「夏の魔物」が? それ以外のことが?
「魔物」は今回ブッキングもうまくいって、そんなに問題はないです。まあお客さんが来るかどうかわからないっていう不安はいつもあるんですけど、それぐらいで。あとは奥さんに離婚されるかもしれないっていうのが……。
──そういう匂いはツイートから漂ってきてました! 2年前の時点で、奥さんと子供を青森に置いたまま東京でひとり暮らしを始めたら、子供の誕生日を忘れて怒られたって話でしたけど。
やっぱり2年経って、ほとんど帰らなくなってしまって。今DPGのイベントも多いんで。
──たぶんDPGの興行とかだけで手いっぱいだと思うんですよ。
軸にそれがあるんで、それに取られるカロリーみたいなのがものすごいんですよ。今週も子供の遠足や誕生日とかあったけど行けなくて。2年経って青森と東京のスピード感のズレみたいなのが全部影響してますね。
──妻子を上京させるっていう考えはなかったんですか?
来てほしいって言ったんですけど、関係がうまくいってないので来るわけがなく……。
俺がマンガで読んでいた光景じゃないか
それより「魔物」を取り巻く状況とかDPGとかいろいろ、普通に進んでいくことが1コもなくて。……前回、豪さんのインタビューを受けたあと、某音楽評論家さんと知り合って。2年前の「魔物」の会場で「気に入った。東京に戻ったらすぐ連絡よこしなさい」って言われて、よくわかってなかったんですけど行ってみたんですよ。
──音楽業界の大ベテランの人ですよね。
はい。そしたら「あなたをスターにします」みたいなことを言われて、何を言ってるんだこの人はと思って。僕、そのときは事務所に入ってて、契約を更新するかどうか決めてくれって言われてたんですけど、「今すぐ辞めてこい」みたいなこと言われて。
──成田大致の何がそんなに引っかかったんだろう?
よくわからないんです(笑)。でもそのときちょうどバンド(SILLYTHING)のメンバーもちょうどみんないなくなってたんで、辞めてもいいかなと思って。ちょっと面白そうじゃないですか。
──とりあえず話に乗ってみたほうが面白そうな気はします。
そしたら次々と偉い人に会うという激動の日々が始まって。電話が来て、「今すぐ来い」って会いに行ったらどっかの社長とかで。「なんなんだ、これは」と思って。自分なんかになんの興味もないんじゃないかって。
──向こうの偉い人たちも確実に(笑)。
はい。
──具体名は出さないですけど、要は業界の偉い人たちに会いまくってたわけですね。
怪しい会食みたいな。行くと某有名人がいたりして、なんなんだこれはと思って。これは俺がマンガで読んでいたいろんな光景じゃないかっていう。でも、それに自分が乗りきれなかったんですよね。みんなビッグビジネスにしようって思いじゃないですか。「魔物」を青森でやって東京でもやって、みたいな。
──ちゃんとお金にできるものにしよう、と。
はい。でも、いざ誰と組むか選ばなきゃいけないってなったとき、誰とも組まなかったんです。今考えるとやればよかったし、某音楽評論家の人にもすごい感謝してるんですけど。で、同じタイミングでとあるアーティストのマネージャーさんに制作チームを紹介してもらって。運営的にはかなりいい感じになったんですが、ふたを開けてみたらものすごい大赤字になったっていう。
──あ、去年はけっこうな赤字だったんですね。
人はめっちゃ来たんですけど。またこれか、みたいな。常に選択のミスをしてきたんですね。トライ&エラーの繰り返しって、よく言えばそうなんですけど。また失敗してしまったかと思って。
──また山を売らなきゃいけないのかっていう(笑)。
親からすると、急に知らない人たちが家に来て、あれはなんだったんだ、みたいな。
──それでお母さんも黙ってられないから、「私もTwitterやるわ」「私が発信しなければ」みたいになったんですかね(笑)。
それがデカいんじゃないですかね。俺に任せてたらとんでもないことになるっていうのが。
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2014年7月21日(月・祝)青森県 夜越山スキー場
OPEN 7:00 / START 8:00
<出演者>
BRAHMAN / でんぱ組.inc / the telephones / 髭 / ドレスコーズ / THA BLUE HERB / 神聖かまってちゃん / 水木一郎 / 蝶野正洋 / 大槻ケンヂ&NARASAKI / 人間椅子 / KING BROTHERS / THE NEATBEATS / 曽我部恵一 / 向井秀徳アコースティック&エレクトリック / 後藤まりこ / 大森靖子 / 田我流 feat. stillichimiya / サイプレス上野 / HINTO / Wienners / アルカラ / アップアップガールズ(仮)/ バンドじゃないもん! / LinQ / Negicco / Especia / lyrical school / BELLRING少女ハート / hy4_4yh / Ladybeard / 寺嶋由芙 / ゆるめるモ! / ULTRA-PRISM / 妄想キャリブレーション / 藤岡弘、 / DJダイノジ / 吉田豪×杉作J太郎 / 掟ポルシェ / クリトリック・リス / ベッド・イン / 久保ミツロウ+能町みね子 / うしじまいい肉撮影会 / 岸田メル / KAMINOGE ROCK FESTIVAL '14(マッスル坂井、井上崇宏) / MC. アントーニオ本多 / DDTプロレスリング / DPG VS ブラックDPG / DJテンテンコ(ex. BiS) / 小林ゆう / and more
2014年7月20日(日)青森県 青森サンシャイン
<出演者>
川本真琴 / 大森靖子 / 撃鉄 / 快速東京 / DJテンテンコ(ex. BiS) / DPG VS ブラックDPG / and more
- DPG VS ブラックDPG ニューシングル「スーパーエンタメ大戦 夏の魔物エンタメユニット DPG VS ブラックDPG」2014年6月25日発売 / 1080円 / 虎の穴レコード
- DPG盤 [CD] DQC-1304 / ジャケット写真:タイコウクニヨシ
- ブラックDPG盤 [CD] DQC-1305 / ジャケットデザイン:岸田メル
- VS盤 [CD] DQC-1306 / ジャケットデザイン:河野さち子
- 収録曲
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- キカイノココロ
作詞:只野菜摘 作曲:浅野尚志 G:ROLLY - ダダダダダン
作詞:只野菜摘 作曲:小池雅也 - キカイノココロ(FUNKOT魔改造 BY DJ JET BARON)
Remix:高野政所
- キカイノココロ
成田大致(ナリタダイチ)
1986年青森県生まれ。2006年、19歳のときに「AOMORI ROCK FESTIVAL~夏の魔物~」を主催し、個人による手作りフェスとして話題を集める。以降「夏の魔物」は規模を拡大しつつ継続中。2013年春からはオーディションでメンバーを集めた新プロジェクト「DPG」を発足し「世の中とプロレスするバンド」をキャッチフレーズに、新たな活動をスタートさせた。