アキバ界隈ですれ違う関係

──歌広場淳さんがプロデュースするオータムリーフが今年の「夏の魔物」にフード出店することが発表されましたが、まずはその経緯を教えていただけますか？

歌広場淳　最初に大致さんと会ったのは去年の年末のとあるパーティで。「アキバ界隈で活躍してる人ですよ」みたいな感じで紹介されたんですよね。

成田大致　そうっすね。ただ、実はその前にも何回かニアミスしてたんですよ。去年の「魔物」のアフターイベントをリキッドルームでやったときに、アーバンギャルドを観に来てましたよね、歌広場さん。

歌広場　ああ、そうだそうだ。

成田　俺は「お！」と思ったんだけど、そのときは挨拶できなくて。そのあとも秋葉原で何回かすれ違ったりもしてたんですよね。で、そのパーティには今DPGをやってる大内ライダーとステファニー・アユミと一緒に行ったんですけど、そこでステフちゃんが「大致、またいたよ！」みたいな感じで歌広場さんに気付いて。

歌広場　またって（笑）。

成田　その時点でもう5、6回目くらいの遭遇だったんで、じゃあ話しかけてみようってことになったんです。

オータムリーフで働きたかった

歌広場　最初の印象としては、なんなんだろうこの人はっていう感じでしたよね。僕はまったくこの人のことを知らないのに、この人は僕のことをすごい知ってるぞ、みたいな。しかもパッと見、フェスの主催者には見えないじゃないですか。ただのパンクな兄ちゃんなのかなっていう。ただ、そのときに盛り上がった話があって。大内ライダーさんのこと……これ、話してもいいんですかね？

成田　いいんじゃないですか。

歌広場　大内さんが僕の大学の先輩なんですよ。大学時代には大内さんのライブを観たこともあるっていう。それで盛り上がっちゃって、大致さんにも一気に興味が出てきた感じだったんですよね。で、その時期がちょうど、僕がオータムリーフをオープンさせますっていう発表をする前後だったので、その話もしたんです。

成田　僕がアキバに住んでるって言ったら、お店をやるんですっていう話をされて。で、ステフちゃんに「大致、今何もしてないんだからやりなよ」みたいなことを言われ。ちょうど、前のバンド（SILLYTHING）をやめなきゃいけなかった時期だったんで。

──「やりなよ」というのはオータムリーフで働くということですか？

成田　そうです。

歌広場　「働かせてください」って言ってきたっていう（笑）。いきなり従業員と雇い主みたいな関係になるところだったんですよ。

成田　俺としては本気でバイトさせてもらうつもりだったんですけど、その後にオータムリーフに遊びに行ったらものすごく真剣にやってるお店だったんですよ。なので、結局は俺みたいなふざけた野郎が働いたらダメだなって思ったんですけどね。

歌広場　来てもらえばわかると思うんですけど、オータムリーフは意外とマジメにやってるんですよ。芸能人がノリでお店出しましたよ、みたいな感じではなく。まあでも今年の「夏の魔物」が終わったら働いてもらおうかなって思ったりもしてますけどね（笑）。

“アーティストなのにフード参加”の理由

──そんな流れで交流が生まれ、出店話につながっていくわけですか。

歌広場　はい。そこからしばらくは大致さんと会うことはなかったんですけど、今年の春くらいに連絡をしてみたところ、「フェスの準備で忙しくなっちゃって」「今年はすごいことになりそうなんですよ」みたいなことを言われ。そこで僕は、この人ほんとにフェスの主催者だったんだなってビックリしたんですけど （笑）、じゃあもしよかったらオータムリーフを「夏の魔物」に出店させてくれないかっていう相談をしたんです。

成田　「夏の魔物」は基本的にフードが弱かったんで願ったり叶ったりでしたね。今年は川越シェフを呼んだりとかいろんなことをやろうと思っていたタイミングでもあったので、全体の色にも合うと思ったし。

歌広場　そんな経緯で、わりと高いテンションでぽんぽんと話が進んだんですよね。

──素朴な疑問なんですけど、ゴールデンボンバーとしての出演という話にはならなかったんですか？

歌広場　いやそれが、ちょうど「夏の魔物」の開催時期はツアーでめちゃくちゃ忙しいんですよ。なのでゴールデンボンバーとしてはムリだけど、オータムリーフとしては大丈夫ですよっていう話で。結果的にアーティストなのにフード1本での参加になるわけですけど、がんばって何かしらの爪痕は残したいですよね。ほかのアーティストを食ってやろうと思ってます。