豆柴の大群&都内某所特集|「水曜日のダウンタウン」発アイドルの今

「水曜日のダウンタウン」発のアイドルは今、どうなっているのか。

BiSHを輩出した音楽事務所WACKには現在、10組のアーティストが所属している。その中で豆柴の大群、都内某所の2組は、TBS系バラエティ「水曜日のダウンタウン」内の企画から誕生した。どちらにもクロちゃん(安田大サーカス)がアドバイザーとして関わっている。

豆柴の大群は2022年9月から12月にかけて「MUST CHANGE PROJECT」なるオーディション企画を行った。新メンバーを探すという目的に留まらず、既存メンバーも活動継続をかけてオーディションに臨んだ。その結果、彼女たちの進退の決定について1年間の猶予期間が与えられたが、今後の活動次第ではグループを去る可能性があるという、なんとも不完全燃焼とも言える形のオーディションに。豆柴の大群は2023年1月から新メンバーのレオナエンパイア、モモチ・ンゲールを迎え、新体制での活動を開始した。

一方、都内某所は「MUST CHANGE PROJECT」の最終オーディションが行われたタイミングで結成されたグループ。メンバーの1名はクロちゃんと交際することを選び脱退、その後、新メンバーを複数人迎えるもすぐに脱退するなどの紆余曲折がありつつ、活動休止中のミクを除くイズキ、キノの2名でライブ活動を行ってきた。しかし10月1日に1stワンマンライブ「TONAiの日」が行われる2日前、このワンマンをもってキノがグループを脱退することを発表。急展開を迎えた都内某所は、キノの脱退と同時に活動を休止していたミクが復帰し、新たな体制になった。

音楽ナタリーでは、キノが脱退表明をする数日前に行われた2組へのインタビューを掲載。豆柴の大群からはナオ・オブ・ナオとレオナエンパイア、都内某所からはキノとイズキに取材に参加してもらい、激動の昨年12月からこれまでを振り返りつつ、メンバーそれぞれの印象について話してもらった。

取材・文 / 田中和宏撮影 / 塚原孝顕

2022年冬、波乱の序章

──豆柴の大群は昨年12月にオーディション企画「豆柴の大群なりの合宿」を行い、既存メンバーの活動継続については1年間の猶予期間を与えられました。時を同じくして都内某所は「水曜日のダウンタウン」のオンエア内で結成が発表されましたが、ここにいるお二人は追加メンバーとして加入したんですよね。

キノ(都内某所) そうですね。私とイズキが加入したのは今年の2月15日です。リチさんがクロちゃんと付き合って都内某所を脱退して、その追加オーディションで合格しました。

ナオ・オブ・ナオ(豆柴の大群) 12月に都内某所の結成が発表されたときが合宿の最終日だったので、合宿所のテレビの前に最終候補者も含めてみんなで集まって観てました。

レオナエンパイア(豆柴の大群) そう。私はあのとき、豆柴の大群のオーディションの候補生として参加してました。「水ダウ」をみんなで観てるときはクロちゃんもその場にいて。

キノ えー!(笑) じゃあクロちゃんはこの先どうなるかわかってたけど、誰にも言わずにみんなとオンエアを観てたってことですよね?

ナオ そのはず。私たちは本当に何も知らなくて、都内某所の結成をテレビで観て知って、めっちゃびっくりした(笑)。

レオナ 豆柴の合宿のほうは、合格者を最終日ではなく、数日後にヒューリックホールでやったカエデ(フェニックス)さんの脱退ライブで発表することになっていたので、みんなでテレビは観てましたけど、私は合格できるのかわからないままで複雑な心境ではありました(参照:豆柴の大群、怒涛の40曲披露でカエデフェニックス脱退&新メンバー2人加入)。

ナオ で、レオナとモモチ・ンゲールの2人はそのヒューリックホールのワンマンライブで合格が発表されて、今年1月のワンマン(「豆柴の大群のりりりスタート」)でお披露目されました。

左からナオ・オブ・ナオ、レオナエンパイア、イズキ、キノ。

左からナオ・オブ・ナオ、レオナエンパイア、イズキ、キノ。

──その一方、都内某所は12月に結成されたあとすぐ、リチさんがクロちゃんと付き合うことになり脱退。追加オーディションを経て、2月にキノさん、イズキさんに加えてチヒロさんの3人が加入しますが、4月にオリジナルメンバーのミナさん、入ったばかりのチヒロさんが脱退、と入れ替わりの激しい期間が続きます。

キノ 途中加入の私たちですが、都内某所の冬は激しい波のようでした。

イズキ(都内某所) 本当にそう。

キノ 本当に波乱万丈。短期間で次々に環境や状況が変わって、この先どうなるかまったく予想できなくて。体制があまりにコロコロ変わると、ファンの方も不安になると思いますけど、がんばることに変わりはなかったです。体制が変わってもファンの方から「成長しているね」という声を多くいただけたので、起きたことをいい方向にもっていけるようにやってきました。

イズキ 大変だったけど、結果オーライかな? ふふふ。

ナオ その気持ちにすぐ持っていけているのがすごい。都内某所は結成したての頃から一緒にいる時間が長かったので、いろいろと見てきたんですけど、だんだん顔つきが変わっていく姿を目の当たりにしました。2月に日比谷野音でやった「MONSTERS FES」というツーマンライブが新体制(イズキ、キノ、チヒロ加入)のお披露目だったんですけど、そのときと今じゃもうステージに立ってるときの顔が全然違う(参照:都内某所×豆柴の大群の野音ライブ、クロちゃんとリチが終演後ラブラブ)。

レオナ 最初、不安そうだったよね。寒かったのもあるだろうけど(笑)。

イズキ ははは。

ナオ 4月にはメンバーが2人脱退しちゃって、大丈夫かな?と思うことも正直ありました。でもそのあと4月末からのツーマンツアー「MONSTERS TOUR」で一緒に各地を回っているうちに、お客さんにしっかりパフォーマンスを届けたいっていう思いがどんどん見えるようになりました。

キノ 都内某所は3人で始まりすぐ1人抜けて、2月に5人の新体制になったあと4月には3人になるんですが、5月にオリジナルメンバーのミクちゃんが活動休止してからはずっと私とイズキの2人でした。不安もあったけど、ファンの方の支えがあったからこそ、続けてこられたと思います。

イズキ ファンの方の応援が「もっと練習がんばろう!」っていうモチベーションにもつながってました。

キノ ツーマンツアーで豆柴さんがそばにいてくださった、というのも大きな力になりました。ツアーが始まった当初は不安でたまらなかったんですけど、落ち込んだときに豆柴さんが声をかけてくれたんです。

都内某所・キノは真面目だけど?

──ここでキノさんの印象を聞かせてください。

ナオ キノは真面目担当って言ってるのに天然でほわほわしててMCも面白い。

キノ 真面目にやってるんですけどね……。

ナオ そこが面白いんだよ(笑)。たまに空回ってるから見逃せない。キノの天然に対してツッコミを入れるイズキがいるから成り立ってますね。

キノ イズキがワイワイキャラなので。真面目キャラは継続したいですね。

イズキ 一生、自分のことを真面目だと思って生活したほうがいいよ。今のままがいいから、変に擦れないでほしい(笑)。

左からキノ、イズキ。

左からキノ、イズキ。

豆柴の大群・レオナエンパイアはどんな人?

──ちなみに豆柴の大群のメンバーだと誰が優しいですか?

ナオ 怖い質問!(笑)

キノ ナオさん、ミユキエンジェルさんは“お姉さん”って感じがします。

レオナ そうだよねー、なるほどねー!

ナオ ミユキは豆柴の中でも周りに対する察知能力が高いから、自然とアドバイスをしてくれる感じはあるんですよね。ツアー中もミユキが都内某所の2人にアドバイスしている場面を見かけました。ミクがいるときも話しかけてたな。ちなみに私もアドバイスはしてましたよ?

キノ レオナさんもしてくれました!

レオナ したよねー! 覚えてないけど(笑)。

──レオナさんは1月にお披露目されたので、イズキさんとキノさんのほぼ同期ですね。1カ月違いでも、あとからWACKに入った2人から見ると、レオナさんがすごく先輩に見えませんか?

キノ はい! 先輩に見えます!

レオナ なんでだろうね? 1カ月しか変わらないんだよ。

ナオ まあ豆柴の最年長なんで、それ相応の落ち着きはありますよね。

レオナ はい。最年長をやらせてもらってます(笑)。私は全然気にしてないんですけど、みんなが年齢を言ってくるんですよね。

ナオ 最近はハナエ(モンスター)がよく言ってる(笑)。「水ダウ」から生まれているグループは基本的にオーディションの段階で年齢が公開されているから、WACKでは珍しいパターンなんだよね。せっかく年齢が出てるんだから、強みにしていかないと……ね?

レオナ はい(笑)。

キノ レオナさんは「いつでも元気!」というイメージです。私は落ち込むときはとことん落ち込んでしまうタイプなんですけど、特にツアー中はその状態になることが多くて。レオナさんはいい意味でテンションの高さを保たれているというか。

ナオ 一定なんだよね。ハイテンションというわけではなくて、気分がぐっと下がらないでいる感じ。

キノ レオナさんの笑顔にすごく元気をもらえるんですよ。だから太陽みたいだな!って。

レオナ 太陽!? 言われたことない!

イズキ 控室でもステージでも確かに笑顔だなーって印象です。ステージで緊張する必要はないし、楽しめばいいんだなっていうヒントをもらいました!

レオナ 私は元気なイメージなんだなあ。確かに落ち込みそうと思ったら、ぐっと持ち直すことはあるかも。

左からレオナエンパイア、ナオ・オブ・ナオ。

左からレオナエンパイア、ナオ・オブ・ナオ。

ナオ 自分の機嫌の取り方をわかってるんだ。

レオナ うん。それはうまくできるかも。豆柴のメンバーもそれなりに情緒不安定だけど、あんまり影響されない(笑)。

キノ え。そうなんですか?

ナオ 聞かなかったことにしといて(笑)。

レオナ 今思えば、春頃だとまだ私はグループに馴染めてなかったな。

ナオ 口数が少なかったね。「ずっと人見知りしてる」って自分で言ってた。

レオナ あまり自分から打ち解けられるタイプではないので、自分からしゃべることも少なくて。話せるようになったきっかけは覚えてないけど、タイミング的にはツーマンツアーの金沢(7月2日の石川・Kanazawa AZ公演)あたりで「今日、仲よくできるかな?」ってなぜか思って(笑)。その日から自分から話せるようになりました。

ナオ ちなみに同時に加入したモモチは、最初からすっごいよくしゃべってました(笑)。