ナタリー PowerPush - まきちゃんぐ

とにかく好きな曲を詰め込んだ2ndアルバム「ワタシノウタ」

とことん暗い曲を書いてやろう

──では次は、約2年ぶりとなるニューアルバム「ワタシノウタ」について訊かせてください。まずは一聴して、すごく真摯な思いが伝わってくる美しい作品だと思いました。

ありがとうございます。もともと私は作品にテーマを設けるタイプではないので、今回も特にコンセプトとかはなかったんです。だから、とにかく好きな曲を入れようという感じで作っていきましたね。

──1曲目「世界の終わり」は、“究極”の愛を歌った痛烈なラブソングだと感じて。これはどんなところから生まれたのか伺ってもいいですか?

もちろんです。……でも、特にないんですけど(笑)。

──ええっ!?(笑)

いやいや(笑)。この曲は「とことん暗い曲を書いてやろう」と思って書き始めたんです。そのときは8曲目の「鼓動」とか結構ハッピーな曲を書いてて、ちょっと(暗いほうへ)戻ってみようかなって。で、曲ができたときに、これを1曲目にしようと自然に思ったんです。

──1曲目にしようと思われたのは、再生ボタンを押して最初に耳に入ってくる曲だからですか? 1曲目って、ある意味、アルバムのイメージを決定付ける曲とも言えますよね。

そうですね。CDショップの試聴機や、家に帰って聴くときもそうですし。そう考えると、今回のアルバムはわりとポップな曲が多くなったので、どうしてもポップな始まり方じゃなくて、「世界の終わり」で始めたかったんです。

──そう思う心の根底には何があるんでしょうね。

うーん、なんでしょう。単純に好きなんじゃないですかね、暗いのが(笑)。

──なるほど。あとこの曲の歌詞には「まっすぐだけじゃ生きられない世界よ」のように、現代ならではの皮肉や社会情勢を見つめたような描写もありますよね。

そうですね。私、嘘があんまり書けないので。わりといつも本当のことを書いてる感じですね。

恋愛はホント、人並みです(笑)

──アルバムに収録されている曲には、シチュエーションこそ違えど恋愛の曲も多いですよね。どれも深く心に染みる内容が印象的だったのですが、歌詞を読むと、まきちゃんぐのパーソナリティな部分にもすごく興味がわいたんですよ。

ああ、そうですか。でも全然、人並みですよ(笑)。もちろん悔しいときは泣くし、嫉妬だってするし、好きな人にすごく会いたくなるときもあるし。ホント、人並みです。

──でも歌詞には、恋愛相談に乗ってもらいたくなるほどハッとさせられる深い言葉が多いなって。

それはどうもです。でもまあ、愛には“思いやり”が大事だなとは思いますけどね。

──確かに。でも、やっぱり人間ですから、別の人に目が行ったり、打算的な面もあったりしますよね? 女の子は特に。

うん、もちろん(笑)。

──で、例えばそういうとき、ハッと我に返らせてくれるような言葉や信念は持ってますか?

うーん、そうですね……。昔からよく言われてることは今も大事だなって思う言葉が多いですね。人にやられて嫌なことは自分もするな、とか。これは恋愛のみならず人生に言えることだと思いますけど、気付かないうちにやっちゃってることもたくさんあるから。そこはいつも気を付けるようにしてますね。

──ああ。そう思う気持ちが、まずは思いやりなのかもしれないですね。

うん、そうだと思います。

歌い手として、ひとつひとつのライブを大事に

──アルバムのすごくバラエティに富んだサウンドについても訊かせてください。今回は根岸孝旨さんや末光篤さんなど、さまざまなアレンジャーさんとの共作も特徴ですよね。

そうですね。皆さんそれぞれにカラーがあって、私の想像を超えたアレンジをしてくださって。私ひとりじゃ絶対に思いつかないものを皆さんが返してくださるのが、いつも面白いし楽しいんです。

──なるほど。表情豊かなボーカルも含めて、楽曲に寄り添うカラフルなサウンドがすごく聴き応えがありました。では改めて、ご自身にとって「ワタシノウタ」はどんな1枚になりましたか?

2枚目としてはわりと優秀なものになったんじゃないかなって。タイトルも曲順も気に入ってますしね。好きな曲だけっていう聴き方ももちろんアリだけど、1枚通して聴いてもらってもいいかなと思います。

──確かに、流れも結構重要な1枚ですもんね。

ありがとうございます。13曲目「愛の雫」のあとに23秒空けて「夢だもの」っていう曲が入ってるんでけど、夜10時くらいから聴き始めて、眠くなってきたころに「夢だもの」を聴くとかいいと思います。

──それ、いい感じにリラックスして眠れそうですね(笑)。

ぜひ(笑)。ちなみに、23秒というのは私の年齢の数字なんです(笑)。

──では最後に、2011年はシングルとアルバムの連続リリースで幸先良く1年が始まりますが、この先はどんな活動をしていきたいですか?

そうですねぇ……ま、正直そろそろ大ヒットを飛ばしてみたいな(笑)。年の頭からありがたいタイアップもいただきましたし。あとは今までわりと好きなことだけやってきたんですが、最近はそれと“歌い手としての活動”が、同じベクトルになってきたかなと思うので。これまでもひとつひとつのライブは大事にしてきたんですが、歌い手として、これまで以上にがんばろうかなと思います。

ニューシングル「愛と星」 / 2011年1月26日発売 / 500円(税込) / VAP / VPCC-82296

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CD収録曲
  1. 愛と星
  2. 愛と星(オリジナル・カラオケ)

ニューアルバム「ワタシノウタ」 / 2011年2月16日発売 / 2500円(税込) / VAP / VPCC-81695

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CD収録曲
  1. 世界の終わり
  2. 愛しさが止まらない
  3. 愛と愛の間に
  4. 満海
  5. 愛と星
  6. 貴方のいない部屋に慣れる日が来るまで
  7. 灰色のピアノ
  8. 鼓動
  9. 名前
  10. 大都会のモンスター
  11. 愛の雫
  12. 夢だもの
まきちゃんぐ

岡山県出身の女性シンガーソングライター。2006年に音楽コンテスト「TEENS' MUSIC FESTIVAL」全国大会に出場し、頭角を現す。2008年にシングル「ハニー / ちぐさ」でデビュー。繊細なメロディと、赤裸々な心情を綴った歌詞が、同世代の女性を中心に人気を集める。2010年には「満海」「愛と愛の間に」「夢だもの / あなたのいない部屋に慣れる日が来るまで」とシングルを3作連続で配信リリース。2011年リリースの2ndアルバム「ワタシノウタ」のリード曲「愛と星」が、日本テレビ系ドラマ「デカワンコ」主題歌に起用され、話題となっている。