私たちだけじゃなく、世界中のアーティストも不安だった
──ブクガの配信を仕切っている和田さん。
めっちゃすごい人みたいになってるじゃないですか! メンバーの中でパソコンを持ってるの、私だけなんですよ。それもすごくないですか? iPhoneとSwitchとテレビを起動してもらって、なんとか配信をやってます(笑)。
──自粛期間中はどんなことを考えて、どんなことをしていましたか?
積んでたRPGを1本クリアして、あとは眠っていたアコギを引っ張り出して練習してました。
──以前から楽器をやっていると言ってましたけど、ピアノじゃなくてアコギなんですね。
もうちょっと弾けるようになってから言おうと思って。身になることをしないとどうにかなりそうだった。そうじゃなかったですか?
──そう思うときもありましたけど、結局はのんびりしてしまいました。
私ものんびりしてる時期、ありましたよ。最初は仕事ができなくなって焦るじゃないですか。今何をすべきなんだろうって考えたんですけど、「そういえば『全部辞めて1カ月くらい休みてー』ってなった時期あるじゃん」と思い出して、ゆっくり休んでました。最初が一番不安で、だんだん大丈夫になっていった感じですね。適応していきました。それに1カ月も経つと、ブクガだけじゃなくて世界中のアーティストが同じように不安だとわかったのもありましたし。いろんな時期がありましたね。「考えるのやーめた」と決めてから楽になったんですけど、そうこうしているうちに取材が始まりましたね。
──少しずつ元に戻ってきてよかったですよね。
そうですね。ベスト盤の発売が控えていたので、みんなに何か発表できる安心感もあったと思います。発売日は延びたりしましたけど、このベスト盤ができていたのは本当によかったです。
「歌ってたというより吠えてた」ブクガ史上もっとも感情的なパフォーマンス
──ブクガに新作リリースのタイミングで取材すると、よく「このタイミングで売れたい」と話していたんですけど、和田さんはその思いは常にあるのでしょうか。
私個人としてはほかのメンバーよりは売れたい、みたいな気持ちは薄いんじゃないかなと思うんです。ただただいいパフォーマンスがしたいから、収容できる人数よりもステージの規模に興味があって。だからそれほどは……。
──毎回のように言っていたし、自分も毎回同じことを聞いているなと思いました(笑)。
性格上、みんなどこまで行っても満足しないタイプなんだと思います。
──そういう結論に達しました。不安で発言しているというよりも、すごくハングリーなんだなと。
実際そうだと思ってます。自分もほかのメンバーも上を見ている、ということなんでしょうね。
──1月の「Solitude HOTEL ∞F」は和田さんもかなり納得のいくものだったのでしょうか。
そうですね。いつものライブだと、終わった瞬間の感想は「あそこができなかった。練習ではもっとできたはずなのに」だったんですけど、今回はハイになって終わりましたね。最後の「悲しみの子供たち」はブクガ史上一番感情的なパフォーマンスになったと思うんですけど、歌ってたというより吠えてたなって。でも、あとで映像を観たらちゃんと歌になっていたから、そういう面でも成長してるのかな。
──自分で吠えてしまったと思うくらいエモく歌った。
そんなふうに歌うことができるようになったし、めちゃめちゃに歌い散らかしても、ある程度は形になる力も付いてきたのかなと。
──観ている側からしてもすさまじいライブだと思ったんですよね。だから今回、改めて全員に感想を聞いているんですが、全員の意見が一致していて。
おー。珍しいですね。
──ベスト盤に収めるのにふさわしい内容ですよね。
ベスト盤に入ってる曲もライブではアレンジを変えていたりするので、その違いも楽しめますしね。でも自粛期間に入ってしまって、なかなかベスト盤がリリースできなくなっちゃって(笑)。ライブが終わったあとの勢いが途絶えるのも嫌だったし、レッスンができなくて腕が鈍っていくのも嫌だったし。今までできていたことができなくなるのは最悪って感じでした。
──活動再開に向けてやったことなどはありますか?
体力は落としちゃダメだなってことで縄跳びしたり、そのへんを走ったりしました。
──コショージさんは縄跳びを3回跳んでやめたって言ってました。
3日とかじゃないんだ(笑)。体力は落ちたあと、戻すのが特にキツいと思うんですよ。だから保つほうが楽だと思って、いろいろやってました。とはいえ落ちてそうです。恐ろしい……。
──ライブと同じだけの運動量を1人で消費するのは難しいですよね。
無理ですよ。アドレナリンが出てるときの運動はできないですよね。でも、今は意外といい感じに収まりました。
──自粛期間に入って、生活リズムが戻ったという人もいますよね。
私は朝方に寝て昼に起きてました(笑)。ライブの入り時間に合わせた生活をしているとそうなるので、あんまり変わっていないです。
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今だからこそ、歌に説得力を持たせることができる