「唯ちゃん、自分を持って!」

──この5年でどこが変わったと思いますか?

4人共見た目から何から、全部変わりましたよね。「Solitude HOTEL 1F」の映像も、今だと「子供みたい。がんばれ!」って目線で観ちゃう。別のグループみたいですよね。いろんな人の助けを借りながら変わっていったんだなと。

──最近の変化はHIROMI先生が入ったことですよね。

井上唯

「∞F」は初めてHIROMI先生が参加した「Solitude HOTEL」だったんですよ。コショージもセトリとかストーリーを決めるうえで相談する人が必要だから、今まで以上に作り込めた部分があったんじゃないかなと思います。それに歌も変わった。私の声の出し方はほかの3人とは全然違うらしいんです。でも過去の自分の歌い方とか、ほかの人の歌い方に引っ張られるところがあるらしくて。レコーディングも私が最後に歌うんですけど、3人の歌い方に引っ張られて無理やり歌い方を変えちゃうクセがあるから、イヤフォンで全然違う人の曲を聴くようになったんです。

──そうなんですね!

ボイトレの先生がそういうアドバイスをしてくれて。今回はこの方法でレコーディングしました。

──ベスト盤から取り組み方が変わったんですね。仕上がりとしてはどうなんですか?

歌いやすかったです(笑)。今までは無意識に合わせようとしちゃってたんでしょうね。たまに4人でボイトレをやるんですけど、「唯ちゃん、自分を持って!」「ほかの人の潤滑油みたいになってるよ」ってみんなに言われてたんです。あと、今のボイトレの先生は各メンバーのいいところを伸ばしてくれる人で、それぞれやっているトレーニングの内容も違うんですよね。そういうこともあって、以前よりやりやすくなりました。

──新しいアプローチが功を奏している。

言われるまでわからなかったんですよ。なのでレコーディング中はあえてAIさんの曲とか聴いてました。本当はみんなの歌を聴いたうえで、「じゃあ自分はこうしよう」ってできるのがいいんでしょうけどね。

早く誰かとしゃべりたい

──ライブでの歌い方も変わっていきそうですね。新たに録った歌で、特に気に入っている曲はありますか?

「Fiction」は好きですね。あと「bath room_」の新しいキーは歌いやすかったな。

──キーが高くなったのは面白いなと思ったんです。

そうなんですか? というか初期の音域が狭すぎたんでしょうね。ここ2カ月ライブがなかったので、この間スタジオで練習したんですけど、「faithlessness」のサビとかもっとしんどかった記憶があるのに「歌いやすいな」と思って。ライブをしていなかったことで変なクセが取れたのかもしれないです。

──そういう変化もあるんですね。

私がちょっと変なのかも(笑)。うまい具合に力を入れなくなった……思い違いじゃなければ(笑)。まだツアーができないのは悲しいですけど、自粛期間は総じていい方向につながったのかもしれないです。

井上唯

──この状況が落ち着いたら、やってみたいことはありますか。

個人的には……人としゃべりたい(笑)。最近やっとメンバーと会ったり、こうやって取材を受けられるようになってきましたけど、それまでは本当にしんどくて。「早く誰かとしゃべりたいな」と思ってました。独り言とかスラスラ出るようになってヤバかったです。ツアーができるようになれば、地方の人にも会いに行けるだろうし、そこは楽しみですね。「∞F」の映像を観ちゃうと、「今の自分にこんなことできるのか」って心配になることもあるんですけど、がんばって戻していきたいです。

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