嘘っぽいなとか思っちゃうんですよ

サクライ 唯ちゃんはメンバーの中で一番まともで。ほかのメンバーは……。

井上唯 ヤバい人の集まりです(笑)。

サクライ 自分も含め、ヤバい集まりなんですけど、唯ちゃんはしっかりしてるんですよ。正気を保って冷静に見てる感じは助かる。唯ちゃんは一般的と言うか。普通って言い方も変ですけど、芸能人とかに詳しかったりするんですよ。

井上 ミーハーなんです。音楽もオリコンシングルチャートに入る曲とかが好きです。

サクライ 僕はそのへんのことが全然わからないから、僕とはまったく違う感覚を持っている人なんだなと思います。だから唯ちゃんがどういう気持ちでブクガをやっているのか興味があるんですよ。ブクガに入ってなかったらこういう曲を聴いてなかったと思うし。

井上 でも今は染まり切ったので楽しくやっております。

サクライ 唯ちゃんの感性でも「ブクガのこの曲っていい曲だな」みたいに思うことがある?

井上 全然ありますよ。私の友達も「この曲いいよね」って言ってくれますし。

サクライ それはよかった。多分、唯ちゃんの友達とは友達になれないタイプだと思ってるから。

井上 うん、絶対ならないっす(笑)。この前、友達とカラオケに行ったらRADWIMPSの「前前前世」を歌ってたけど、その子は「faithlessness」が好きって言ってましたよ。

サクライ そういう人にも曲が届くのは本当にうれしい。今回のアルバムについてはどうですか?

井上 よいと思います。

サクライ シンプル(笑)。もうちょっと具体的に教えてよ。自分もメンバーにはライブの感想とかをそんな言わないけど、メンバーから曲の感想をあんまり言われないから。

井上 そうなんだ。

サクライ あんまり聞かない気がするね。だから仮歌の段階で「メンバーはこの曲の完成度についてどう思ってるのか」みたいに思うことはある。

井上唯

──お互いシャイというのもあって、そういうのはあまり言わなさそうですよね。

井上 普通言うのかな。

──アイドルでそういう人は多いんじゃないですかね。SNSでよく見る光景だし。「曲を書いてくれた誰々さんに感謝してます」みたいな。その感じは一切出さないですよね。心に秘めているとは思うんですけど。

井上 そういうのをSNSに書いたところで、嘘っぽいなとか思っちゃうんですよ。ひねくれてると言うか。

サクライ そこは似たところがあるかもしれない。ブクガのインタビューでメンバーが「この曲がいいよ」みたいなことを言っていると「ホント思ってるのかな」みたいな。

井上 あはは(笑)。それは思ってるでしょ。サクライさんが作った曲でこれはちょっとなっていうのは一度もないです。いつもよいと思ってますよ。

サクライ ああ、素晴らしい。ありがとう。自分も唯ちゃんのライブパフォーマンスはすごい好きで。唯ちゃんのダンスとか歌にすごい気迫を感じるんですよ。目付きがすごくて、グッとくるときがあります。

井上 ありがとうございます。これからもがんばります。

歌うたびに歌えるようになるのは楽しい

サクライ コショージとか和田はもともとブクガの世界観が好きだったかもしれないけど、唯ちゃんはそうではなかったと思うので、「よくぞここまで」っていう思いがすごいあるんですよ。

井上 自分でもすごく思います。わかるようになったのは最近なんですよ。

サクライ わかるようになったというのは?

井上 ブクガのよさと言うか、ブクガの世界に対して自分がどうしたらいいのかが。わかりやすい言葉で説明するのが難しいんですけど、感じられるようになってきました。単純にできることが増えてきたっていうのがあるんだと思うんですよ。歌もダンスも経験ゼロの状態で入ったので、できる幅が広がったのが大きいと思います。

サクライ そうだね。ブクガは毎回着実にステップアップを続けられている感じがするから、もし曲がいいと思ってなくても、それがやりがいにつながってるといいなって。

井上 曲もいいと思ってますって!

サクライ ずっとやってきた中で、今回のアルバムまでで一番好きな曲はどれ?

井上 私、すげー飽き性なんですよ。1週間単位で好きな食べ物が変わったりするくらいなので。だから自分でも好みがよくわかんなくて。今のマイブームは「狭い物語」です。ちょっと前までは「言選り」でした。

サクライ なるほど。だいたい最新のやつがいいのかな。

井上 よく聴くのは新しいやつですね。新鮮に聴けるっていうのがあるのかもしれないけど。

左から井上唯、サクライケンタ。

──新しいものをよく聴くという話ですが、「my cut」を新たに歌い直したことに関してはどう思っているんですか?

井上 私は特にそうなんですけど、前はマジで歌がヘタクソだったんですよ。でもボイトレに通えば通うほど上手になっているのを実感するんです。ちょっと前に録ったものよりも最新のもののほうが歌えているので、歌うたびにどんどんよくなるのは楽しいです。だから過去の曲を今の感じで歌えるのはいいなって思ってます。

サクライ 「my cut」は「MORE PAST」としてアルバムに入れるかわからないままレコーディングしていたんですよね。全曲できるまで入れるかどうかを決めていなかったんですけど、夢というコンセプトにうまくハマったなと思って。曲の展開に合わせて景色が移り変わったり、時間や場所が変わったり、そういうことをうまく表現できたと思っているんですが、唯ちゃんはどうですか?

井上 「my cut」ってめっちゃ最初の頃にできた曲じゃないですか。振り付けもミキティーがパッパと10分くらいで付けてたし。

サクライ 楽屋の前で5分くらいでやってたイメージ。

井上 実はいい曲なのにすごいもったいなって思いながらこの3年やってきてたんですよ。だからこういう形で新たに磨かれたのはよかったなって思います。ホントに昔の歌はヘタクソすぎなので聴きたくないんですよ(笑)。

サクライ 自分も大概だけど、唯ちゃんは滑舌が本当に悪かったじゃん。昔は滑舌のことばっかり注意してたけど、最近はそれをレコーディングで注意することがなくなった。もっと歌の表現の部分で「もっとこういうふうに歌って」っていう話をすることが増えたよね。

井上 やったぜ。

サクライ まあそれが普通なんだけど。そういうふうになってよかったなって思ってます。

井上 うれしい。滑舌を直すために何かをしたわけじゃないんですけど、ボイトレに通うようになったのが大きいです。

サクライ ポエトリーリーディングとかしゃべるところは難しかったりするよね。

井上 舌の長さとかもあるのでね。そこはあきらめてます。

サクライ 体の構造的な問題だからね。でもミックスエンジニアさんと「この感じがかわいいよね」っていつも言ってるよ。個性のアクセントになってる部分もある。

井上 じゃ、そういうことで(笑)。

それがダメなんですよ!

──井上さんからサクライさんに言っておきたいことはありますか?

井上 めっちゃ普通のこと言いますけど、もっとしっかりスケジュールを立てて動いてほしい(笑)。いつもカツカツになってしわ寄せがこっちに来たりするんですよ。すぐ歌入れだ、すぐ振り付けだってなる。

サクライ すいません。精いっぱいやっているのはわかってもらいたいなとは思ってるんですけど……それについてはがんばります。

井上 こないだ「狭い物語」をライブで初披露したんですけど、それの振り入れ期間が3日しかなくて。私、もうホントに無理だと思って2日目は泣きそうになってましたよ。無事にできたからよかったものの。

サクライ 今までなんとかなってきてるから。

井上 それがダメなんですよ! 私はもっとダンスの精度を高めたい。

サクライ お披露目の段階でもね。そのためには曲も早くできてないといけない。逆算してスケジュールを考えないといけない。

井上 そういうことです。

井上唯

──ブクガの歌が成長しているように、サクライさんの成長物語でもあるから、スケージュリングもよくなっていきますよ。

井上 そこはまだまだですね。

サクライ すごいスピードで成長するよ。自分がどのくらいできるかっていうのがわかってきたから。

井上 まだわかってなかったか……そこの把握は大至急でお願いします(笑)。

次のページ »
矢川葵 個人面談