ちゃんとしてくださいよ!

サクライケンタ コショージとはブクガについてけっこうしゃべるよね。ワンマンのセットリストとか演出のことを相談し合ったり。昨日も次のワンマンについて1時間くらいしゃべってた気がする。普段の対バンイベントとかでもコショージがセットリストを考えてたりするんですよ。

コショージメグミ そうですね。

サクライ コショージは今どういう気持ちでブクガをやっているのかな?

コショージ 何それ! と言うか、その質問は逆にサクライさんが答えるべきじゃないですか? 私はブクガしかやってないけど、サクライさんはいろいろ手を付けてますよね? 大森(靖子)さんのバックバンドもだし、クマリデパートもだし……と思ったらZOCも始まったし。

サクライ ZOCは今のところ曲は作ってないけど。

コショージ きっとやりそうですよね。少なくとも編曲くらいはやるんじゃないですか。あ、二丁魁(二丁目の魁カミングアウト)もやってるじゃないですか!

サクライ やってるね。

コショージ だからこっちのセリフじゃん。どういう気持ちでブクガをやってるんすか?

サクライ ブクガは当初から「自分が一番やりたいことをやる場所」という意識が強いかな。

コショージ と言うことは?

サクライ 本体。それがなかったらほかも成り立たない、みたいなところはある。

コショージ だったらもうちょっとさあ……こないだのレコーディングのときも「大森さんのリハとブクガの作曲が重なりすぎてタクシーで意識失ったわ」とか言ってて。知らねーよって(笑)。ちゃんとしてくださいよ!

サクライ がんばります。

コショージ あはは!(笑) 私からサクライさんに言うことってなると、こういう話になっちゃうんですよね。

コショージメグミ

──実際サクライさんは忙しそうだし、もうちょっとブクガのことを見てほしいなという気持ちがある?

コショージ みんな思ってると思いますよ。

サクライ そうなのかな……。

コショージ いろいろやりすぎて、いつも進行がギリギリじゃないですか。ブクガを見れてないのは絶対あると思うんですよ。

サクライ すごい不信感(笑)。そんなことはない。それは誤解です。

コショージ そんなこと言っても行動が伴わないと意味がないんでね。クマリと君ラジ(君の隣のラジかるん)のツーマン観に行ってブクガのライブに来ないとかさ、ブクガ主催イベントの1発目に来ないで大森さんの生誕祭に出演しちゃうとかさ。

サクライ あれはたまたまかぶった。

コショージ たまたまじゃないでしょ。ブクガの主催イベントとかぶっちゃってるのに自分への出演オファーに「OKです」って言っちゃうのは。

サクライ それは……すいませんでした。

コショージ 素直(笑)。

サクライ でも本当にね、比べるわけではないけれど、ブクガには一番思い入れがある。二丁魁はミキティー(本物)のものだし、クマリに関してはむしろ自分っぽくなくしていったほうがいいと思っていて。ブクガは曲を作るエネルギーが一番かかる。そのくらいの思いで作っているんですよ。

コショージ そうなんですか。

振り上げた拳を下ろしました

──今回のアルバムはものすごい出来じゃないですか。それはきっと、サクライさんが大森さんのバンドで全国を回ったりとか、ほかのアイドルに作家モードで曲を作ったりしなかったらできなかったものなんですよ。

サクライ それはマジである。大森さんのバンドでは自分が作っていない曲をバンドで演奏することがあるじゃん。そこで自分にない引き出しを学ぶことがたくさんあって、それがブクガにも影響を与えてる。

コショージ 去年ブクガが「TIF(TOKYO IDOL FESTIVAL)」に出たときに、サクライさんはほぼ同じ日程でやってた「ロッキン(ROCK IN JAPAN FESTIVAL)」に大森さんのバンドで出てたんですよ。その日の夜、私はいろんなアイドルを観たあとだったので、サクライさんに「ブクガにはライブの一体感が足りてないと思う」って言ったんです。そしたらサクライさんもロッキンでいろいろ観て同じことを感じていたみたいで。ブクガの突き放した感じのライブは、フェスに出ると浮いてしまうんです。サクライさんがそれに気付いたのは大森さんのライブに出ていたからだっていうのは理解しているんですけど。

サクライ けど?

コショージ 大森さんの誕生日なのは最初からわかってるのにブクガの主催イベントの一発目をかぶせて、大森さんのほうに行っちゃうとか! しかも、アルバムの曲もまだできてないっていうのに。そういうのはマジよくない。ブクガのスケジュール見てます?

サクライ 見てる見てる見てる。

コショージ 何回も言うってことは見てないわ。見てないときに言うやつだわー。

サクライ すごい見てるよ。毎日メンバーのこと考えてるよ。1人30分ずつくらい。それで睡眠時間が2時間くらい減ってるから。

コショージ へー(笑)。それ、私は理解したけどほかのメンバーにも伝えてくださいね。

──こういうことは普段話さない?

コショージ 話さないし、そもそも会わない。

サクライ 制作期間はけっこう会うけど。

コショージ 会ったとしても歌を録るときだけなので、レコーディングの話しかしない。

左からコショージメグミ、サクライケンタ。

──そのわりに、アルバムに収録された新曲を聴いて、曲の理解度とか歌の表現が一気に進化していると感じました。

サクライ それは僕も思ってます。アルバム用に録った新曲と、それ以前のシングルの曲を比べたときに、新曲のほうが全然よくなっていて。半年前と比べてみても、今だったらもっとよく録れるかなと思ったりするんですよ。成長の速度が早いんじゃないかと思いました。それについてはどう?

コショージ 確かに新しい曲を聴いたら歌がうまくなってる気がしたんですけど、ミックスでいい感じにしてもらったって聞いて、「そうだったんだー」って(笑)。

サクライ いや、ミックスの前段階の歌が変わった。声の出し方がうまくなっていて、1人ずつの声が一層際立っているんだよ。

コショージ 今回のアルバムは私もけっこういいと思います。

サクライ 「けっこう」って何(笑)。

コショージ うちらにはそれまでのサクライさんに対して「曲できるのおっそいなー」みたいなマイナスイメージがあったんですよ。だから生半可なものを出されたら殴りかかるところだったんですけど、いい曲揃いだったので、振り上げた拳を下ろしました。

サクライ よかった。許してもらった。

コショージ ホントにギリギリですよ? ギリギリですからね! でも、ということはですよ? 私たちみたいに負の感情を持ってない人が聴いたら「すごくいいアルバム」ってことですよ?

いや、要経過観察です

──「コショージさんはどういう気持ちでMaison book girlをやっているのか」っていう質問の返事を聞いてなかったですね。どうでしょう?

コショージ ブクガを通して、自分がライブの構成を考えたり、詩を考えたりするのが好きだっていうのがわかりました。もし私がブクガじゃなくてほかのアイドルさんだったら、セトリとか詩とかを自分から発信することはないと思う。私はある意味サクライさんに近いんだと思う。

──アルバムにもコショージさんが書いたポエトリーリーディング「不思議な風船」が収録されていますが、サクライさんはコショージさんの書く詩についてはどう考えているんですか?

サクライ いつも面白いなと思ってます。自分では書けない感じでもありますし。

コショージ あざっす!

──書いた詩についてコショージさんからサクライさんに説明することはあるんですか?

サクライ ないですね。でも「わかるわかる」って感じることはあります。ブクガを始めるときから、コショージとは好きな世界観がわりと似ているから、認識のズレはないんですよね。今回のアルバムでもコショージが「これ足したほうがいいかな」って悩んでたら、「それはわかりやすくなりすぎるからやめたほうがいい」とか言ったりして。

コショージ メンバーみんなに読んでもらって、意味がわかったか聞くと「ちょっとわかんない」って言われるんですよ。でも「これはこういう意味なんだよ」って伝えるとわかってもらえるから、ということは足したほうがいいのかなって思ったんです。それでサクライさんに聞いてみたら「なくていいよ、わかるよ」って言ってくれて。もしサクライさんがそう言ってくれなかったらたぶん足したんですよ。いつもは「みんながわかる詩を書かないと」なんて思ったりはしないんですけど、今回は「どうせ書くならみんなにわかってほしい」と思っていたので。

コショージメグミ

サクライ 足さなくて正解だと思う。全体のバランスを考えてもちょうどいい。

コショージ 舞台の演出でもそういうことありますよね。「こういう演出でやろう」ってなったときに、私とサクライさんにとっては普通のことなのに、周りの人たちからしたらなんか違う、みたいな。

サクライ 僕ら2人にはどうしてそうなるのかわからないんですよ。でも、最終的に決めるのは僕なんですけどね(笑)。

コショージ もし私たちがバラバラにやってたら意見が周りに掻き消されてますよね。「普通じゃないんだ、じゃあみんなに合わせるよ」ってなっちゃってたと思う。

サクライ なので、頼りにしてます。

コショージ 私も。サクライさんを使ってやりたいことをやれてるので。

──丸く収まってめでたしめでたしということで。

コショージ いや、要経過観察です(笑)。

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