寒かった? 暑かった?
──「昔の音源を聴くと歌がうまくなったと実感する」という話をしましたが、ダンスに関しても、昔のミュージックビデオと観比べると今は格段にうまくなっているのがわかりますね。
和田 そうですね。
コショージ 昔の映像を観るのが恥ずかしいくらいに(笑)。
井上 「人って踊れるようになるんだなあ」って、めっちゃ思います(笑)。
コショージ 今回は特にガツガツ踊る系の振り付けなのでやりがいはありましたね。
──MVの撮影はどうでした?
矢川 めっちゃ寒かった(笑)。
コショージ そうだったっけ?
和田 山の上だったから寒かったね。
コショージ 私、暑かった気がする。
和田 楽屋でストーブ焚いてたんだよ。
コショージ いや、外が暑かった。
矢川 屋上は暑かったのかな。私が撮影する番はけっこう最初のほうで、早朝8時くらいだったので全然日が照ってなくて。しかも地下みたいなところで撮っていたので震えが止まらなくて、それに耐えながら撮ったのが印象に残ってます。
井上 特殊な光を当てると光る衣装なので、暗いところで光を当てながらダンスするシーンがあるんですけど、それがホントに何も見えないくらい真っ暗で(笑)。
矢川 体にライトを照らされて、だんだん模様が出てきたところで「はい撮ります」って言われて撮って、模様が薄くなってきたらまた照らされて、をずっと繰り返してました。
私の中では4拍子という名の変拍子
──カップリングの「おかえりさよなら」もいい曲ですね。
井上 うん、いい曲ですよね。聴かせる系で。
──過去2枚のシングルもカップリング曲は「last scene -2017Ver.-」「十六歳」と4拍子の曲が収録されていましたが、今回も「レインコートと首の無い鳥」がかなり複雑な変拍子なのに対して、「おかえりさよなら」はシンプルな4拍子の曲です。歌う側としては、やっぱり4拍子の曲のほうが歌いやすいですか?
コショージ 3も4も5も同じ、みたいな感じになりつつあります。普通って言われてるリズムは、私の中では4拍子という名の変拍子です(笑)。
──なるほど(笑)。
コショージ サクライさんの曲って、拍子というより譜割りが難しいんですよ。なのでその難しさは変わらないです。
井上 私は「わかりにくい曲こそブクガらしい」という気もするんだけど、「おかえりさよなら」とか「十六歳」みたいな曲のほうがわかりやすくて世間的にはいいのかな。私はどっちも好きですけどね。
──そして3曲目にはコショージさんが書いた詩をメンバーが朗読するポエトリーリーディング「教室」が収録されます。コショージさんがブクガの音源のために詩を書くのはこれで8曲目ですが、書き手として以前と変わった部分はありますか?
コショージ 毎回メンバーに弱音を吐いてから書き始めてます。
井上 「もう無理だよー」「小説家じゃないもん」って言ってるところに、私たちが「大丈夫だよ、できるよ」って(笑)。
コショージ そう。「できるよ」って言われて、「そっか、できるのか」って思って書き始めるのが毎度のパターン。
──「自分の内側から自然と言葉が湧いてくる」みたいなタイプではない?
コショージ それもあるんですけど、サクライさんが作ったほかの収録曲を聴いてから書いたほうが世界観が合うので、最近は曲が全部できてからそれに沿って書いてます。
井上 そのためにサクライさんが曲を作り終わるのを待ってるから、サクライさんが遅れると「ケツが迫ってるぞコショージ! 早くしろ!」とか言われててかわいそうだよね(笑)。
矢川 いつも滑り込みセーフって感じで詩を書き上げてるけど、サクライさんが早く作ってくれれば、その分コショージの時間ができるのにね(笑)。
コショージ そのくせサクライさん、なんか「詩はいつでもいいよ」みたいに言ってくるんですよ。
──全然よくないですね(笑)。
コショージ そうなんですよ。私が「いつまでですか?」って何回も聞いてるのに、「全然いつでも大丈夫」って。だから「そっか、いつでもいいのか」と思ってたら、その3日後くらいに「この日にレコーディング入れたからよろしく」みたいなことを言う。ビックリしますよ。
3年も続けてると、ちゃんと聴いてくれる人のところに届くんだな
──今日のインタビューで僕は全体的に「最近のブクガは以前と変わった気がする」という話ばかりしてしまいましたが、僕が話したこと以外で、自分たちでも変わったなと実感していることは何かありますか?
和田 やっぱり、4人とも前より歌えるようになったなって思います。今回の「おかえりさよなら」みたいな、奇抜な感じじゃなく聴かせる曲って、技量のない今までの私たちには与えてもらえなかったと思うんです。私たちが成長することでこういう曲を歌っても大丈夫になったし、それによってサクライさんが着手できるゾーンも広くなっているので、お互いにやれることが増えていってるなと感じます。
矢川 それと、ブクガがイギリスとかいろんなところに呼んでもらえるようになったのは、私たちがどういう曲をやってるのか知ってくれてる人が増えたからだと思うんです。3年も続けてると、ちゃんと聴いてくれる人のところに届くんだなってわかりました。そういう環境の変化はあると思います。
井上 ただ、歌にしろダンスにしろライブの構成にしろ、ここからできることはまだたくさんあるだろうし、まだまだ変われる部分はあると思います。3年前にマイナスみたいな状態だったところからゼロまで来れた実感があるし、「やればできる」っていうのがわかったから。
──では最後に1つ。皆さんは現在ツアーを開催中で、そのツアーファイナルとして6月23日に東京・日本青年館ホールで「Solitude HOTEL 5F」の開催を予定しています。ホールでのワンマンはこれが初めてということなので、意気込みを聞かせてください。
コショージ 前回Zepp DiverCity TOKYOでやった「4F」は完売できなかったので、今回はソールドアウトしたいです。
──動員についての不安はありますか?
コショージ 私は「大丈夫なのかな?」って思ってるんですけど、大人たちは「いけるいける」みたいなテンションなんですよ。どうなんですかね? まあ前回は年末の平日で、日程的に厳しかったところはあったんです。でも今回は休日なんで、ここで会場を埋めて自信を付けて、今後もっとがんばっていけるように弾みを付けたいです。
矢川 ついこのあいだ、福岡でツアー初日をやってきたんですけど、地方に行くのって1年くらいぶりだったから、「ひさしぶりに観たよ」っていうお客さんから「1年ですごい変わったね」って言ってもらえたんです。「曲もどんどんカッコよくなってるし、その流れに沿ってみんなも、前に観たグループとは思えないぐらい進化してた。これからも楽しみになったよ」みたいに。
──やっぱりみんなもそう思ってるんですね。
矢川 なので、成長した私たちの姿を日本青年館ホールでたくさんの人たちに見せられたらなと思ってます。
和田 福岡で「今までも音源はずっと聴いてたんだけど、ライブには初めて来ました」っていう人がけっこういたんです。ブクガのダンスは曲にリンクしていて、それを私たちなりの解釈でかみ砕いて踊っているので、YouTubeでは観れない部分も生で観てほしい。ホールはきっといい音で曲を聴いてもらえて、集中して私たちのパフォーマンスを観てもらえる環境だと思うので、ライブを観たことがないという人も観に来てくれたらいいなと思います。
井上 この半年ぐらいでたくさん大きなイベントに出させていただいて、ブクガは確実にレベルアップしています。ぜひそれを日本青年館で観てください。