「売れたいな」って思うことすらおこがましい気がしてた
──どこか無機質なブクガのイメージとは裏腹に、「自分はこんなところが人間的だったんだ」と気付いた部分もあるわけですね。寂しさを解消するには、友達を作るか、ブクガがより忙しくなるかしかないですね。
忙しくなってほしい。
──そこは即答ですね。矢川さんもやはり売れたいという気持ちが強い?
はい。みんなでごはんを食べてるときに、コショージが急に「売れたいなー」って言うんですよ。みんなで「そうだね」ってうなずきました。
──あまりそういうことを言わないイメージでした。
「売れたいなと思ってもいいのかな」って自信が付いたのかもしれない。前は言うのもおこがましいと思ってたんです。大きいところでライブしたいと言うのもおこがましい。ワンマンをして、お客さんが明らかに増えてるのを見てるうちに、最近は「もうちょっと大きいところでやりたい」って思えるようになりました。
──「言っちゃいけないんじゃないか」と思っていたんですか?
始めたばっかりのくせに「武道館立ちたいです」とか言って、「こいつ何言ってんだ」って思われたらどうしようって考えちゃうんですよ。だけど、2ndワンマンの後のインタビューでは、「次はどんなところでライブがしたいですか?」って聞かれたときに「1000人規模のところでやりたい」って素直に言えました。赤坂BLITZも決まったし。
──赤坂はどう思っているんですか?
埋まるんだろうか……。
──やっぱりそうなんですね(笑)。
みんな心配性なんですよね。1000人規模でやりたいと言ったけど、「本当に埋まるのか?」「でも埋めたい、埋めなきゃ」みたいな気持ち。チェキ会に来てくれたお客さんに「チケットはあとで買おうと思わないですぐに買って」って言ってます(笑)。
──「赤坂BLITZだったら買うのはギリギリでいいかも」って思っている人はたくさんいそうですよね。
私も締め切りとかをすぐ忘れるほうなので、そういう人を出さないためにも、今すぐに買いに行ってほしい(笑)。
──でもきっと大丈夫ですよ。赤坂BLITZは埋まると思います。
結果が出るまでわからないじゃないですか。でも、周りの人がそう言ってくれるのに、メンバーには大丈夫って思ってる子が1人もいない、っていうのがいいのかなと思います。
──気をゆるめないでいられますもんね。
はい。調子に乗らずに。
変わらず、調子に乗らず、着実に
──「bath room」がそうだったように、次のアルバムがまた新たな層にリーチすると思っています。前回のシングルの発売時に矢川さんは「以前は自分の声が好きではなかったけど、だんだんそうでもなくなってきた」という話をしていましたが、今回のアルバムはいかがですか?
アルバムも、前のシングル以上にすんなり聴けました。ボイトレの先生が親身に教えてくれていて。一番の恩人と言っても過言ではないくらいの人なんです。自分たちが気付いてないことも占いの先生みたいに当ててくれるんですよ。「葵ちゃんはこうだから」みたいな。「考えて歌ってるつもりかもしれないけど、まだちょっと足りてない」「歌詞だけに囚われると、これから先の歌い方がずっとワンパターンになっていくから、メロディとかいろんな音を聴きなさい」みたいなことを言われて。音を聴いて「この曲はこういう歌い方をしてみよう」って考えながら歌うようになりました。
──ボイトレでかなり変わったんですね。
変わりました。ボイトレは1stワンマンの前に集中的にやって、そのあと何カ月か空いてたんですけど、最近また定期的にやるようになったんです。楽な声の出し方を教えてくれるので、ライブがすごくしやすくなりました。
──アルバムはどの曲が印象に残っていますか。
「end of Summer dream」がすごく好きです。今までにはないかわいらしい曲なので。イントロの時点でかわいいダンスになるのかなって想像してたんですけど、振り入れをしたらイメージと違うんですよ(笑)。そのときはサクライさんの仮歌を聴いて振りを入れていたので、私たちが歌ったのを合わせたら印象が変わるのかなと思ってたんですけど、やっぱりあれは違うなって(笑)。今度レッスンがあるので、振り付けをしてくれたミキティー(二丁ハロのミキティー本物)に「あれは違う」って伝えようと思ってます。
──そこはちゃんと伝えるんですね。
けっこう言います。特に和田ちゃんは言う。振りはミキティーに全部任せるんじゃなくて、和田ちゃんと相談して決めてます。「この曲が好きだな」っていうのがわかるのは、振り付けが決まったり、ライブで歌ったりしてからなんですよ。
──こうして取材をする段階では、ライブでやっていない曲もあるから、メンバー自身も全貌がつかめなかったりするわけですね。
はい。「townscape」の振りがめちゃくちゃややこしくて、今すごい頭を抱えてます。難しい。何回かやってるうちにすんなりわかるタイミングがあって。1回わかると大丈夫なんですけどね。
──「opening」のレコーディングで矢川さんが感極まったという話を聞きました。
内容を事前に知らされてなくて。詩をもらって、すぐに「録ります」って感じだったんですよ。朗読してたら最後のほうで感動的になっていって、一番大事な唯ちゃんのセリフで泣きそうになりました。コショージも「自分で書いたんだけど、いい詩じゃない?」って言いながら泣きそうになってて、「わかる!」って。悲しいだけの話じゃないんですよね。最初と最後のセリフが私なので、緊張しました。
──とてもいいラストだと思いました。ブクガはこれからどうなっていきましょうか。
いい意味で変わらず、調子に乗らず、着実に階段を登っていきたいと思います。
──急に友達がいっぱいできたりして。
性格上できないです! 一番仲がいい大阪の友達に、「東京で友達を作るんだ」って言ったら「無理やろ?」って言われて(笑)。私は増やしたいと思っているんですけどね……。
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- ニューアルバム「image」 / 2017年4月5日発売 / 徳間ジャパンコミュニケーションズ
- 初回限定盤 [CD+フォトブック] / 3500円 / TKCA-74485
- 通常盤 [CD] / 3000円 / TKCA-74486
CD収録曲
- ending
- sin morning
- end of Summer dream
- veranda
- faithlessness
- int
- townscape
- karma
- screen
- blue light
- opening
- ライブBlu-ray+CD「Solitude HOTEL 2F + faithlessness」 / 2017年2月15日発売 / 徳間ジャパンコミュニケーションズ
- [Blu-ray Disc+CD] 4500円 / TKXA-1110
Blu-ray収録内容
- cloudy irony
- snow irony
- bath room
- sin morning
- film noir
- Remove
- last scene
- 最後のような彼女の曲
- karma
- faithlessness
- 14days
- empty
- lost AGE
- bed
- blue light
- cloudy irony
- my cut
CD収録曲
- faithlessness
Maison book girl「major 1st album『image』release tour 2017」
- 2017年4月2日(日)新潟県 SHOW!CASE!!
- 2017年4月15日(土)愛知県 ell.FITS ALL
- 2017年4月23日(日)福岡県 DRUM SON
- 2017年4月29日(土)北海道 DUCE SAPPORO
- 2017年5月4日(木・祝)大阪府 FANJ twice
Maison book girl「major 1st album『image』release tour 2017 final『Solitude HOTEL 3F』」
- 2017年5月9日(火)東京都 赤坂BLITZ
Maison book girl(メゾンブックガール)
2014年11月に活動を開始した、矢川葵、井上唯、和田輪、コショージメグミの4人からなる“ニューエイジポップ”ユニット。音楽家のサクライケンタが総合プロデュースを担当し、現代音楽とアイドルポップスを融合させた複雑かつキャッチーな楽曲で支持を集めている。2015年9月に1stアルバム「bath room」をリリースし、同年12月にはアメリカのオルタナティブロックバンド、Ringo Deathstarrの東名阪公演にサポートアクトとして出演。2016年11月に2度目のワンマンライブを東京・WWW Xで行い、チケットは即日完売となる。同月、シングル「river(cloudy irony)」で徳間ジャパンコミュニケーションズよりメジャーデビュー。2017年4月にアルバム「image」をリリースする。