妹と弟は友達に聞かれても隠してそう
──売れたい欲求は強いほうですか?
強いと思います。演出面にしたって、大きくなればなるほどやれることも増えるじゃないですか。やりたいことはきっとみんなたくさんあるから、明るい未来を切り開いていきたい。
──やや暗い人たちが。
ですね(笑)。最近は自分たちの音楽が変わってるとも思わなくなってきました。私、前まではJ-POPとかアイドルソングみたいなのしか聴かなかったんですよ。めっちゃアイドルが好きな時期があって。でも、自分たちが歌ってる曲はなんかおしゃれじゃないですか。その影響なのか最近、洋楽とかを聴くようになって。だから、変わった音楽だと思ってる人の認識のほうを変えちゃうのがいいんじゃないかと思うんですが、どうですか?
──「ブクガが普通なんだよ」と。ちなみに洋楽って、どんなのを聴いているんですか?
1D(One Direction)とか。ひさびさに実家に帰ったら妹が1Dにハマっていて部屋にポスターが貼ってあって。あとはアリアナ・グランデとかSweetboxとか、かわいいやつを聴いてます。
──妹さんとは疎遠なんじゃないんですか?
すげー仲悪いし、弟とはもっとひどいです(笑)。妹とは仲が悪いというか、私が嫌われてるだけなんですけどね。ブサイクだって幼少期から言いすぎたので(笑)。でも、「洋楽聴くとかかわいいな。ポスターおしゃれじゃん」って思って。
──妹さんとか弟さんがライブを観に来るくらいにブクガを変えるっていうのはどうですか?
いやあ、ないかな。
──地元の福岡公演に来てもらいましょうよ。
福岡は……絶対来ないですよ。「行かん」とか「めんどくさい」とか言われそう。メジャーデビューのこと知ってるかなあ? もし知ってたとしても、友達に聞かれても隠してそう(笑)。
サクライさんが作るもので「これはないよね」は基本ない
──アルバムの仕上がりを聴いてみてどう感じましたか?
インディーズのときのCDの音源が一応ケータイに入ってるんですけど、前は自分の曲を聴くのがあまり好きじゃなかったんですよ。シャッフルで流れてきたら飛ばしちゃってた。歌声も聴いていられないくらい嫌いだったんですけど、このアルバムが届いてからはずっと聴いてます。
──おお! 自分でも聴ける作品。
インディーズの曲も、ライブでやるのに飽きたってわけではないんですけど、聴くのはなんか嫌で。聴けるようになったのは、歌が成長したんだと思います。感情が入りました。
──アルバムで「これはうまくいった」という曲や、印象に残った曲はありますか?
「end of Summer dream」がすごい難しいんですよ。拍にハマってないというか、最初に聴いたときは意味がわからなくて。でもめっちゃ聴いてめっちゃ練習したら、意外とすんなり歌えました。今は振り入れをしているんですけど、死ぬほど難しいんです。だからこれが一番がんばった曲かもしれないです。あとは「veranda」。レコーディングの日に体調を崩しちゃって。おなかにくる風邪で、夜中から朝までずっと吐きまくってたんです。病院で先生に「大丈夫」って言われたからレコーディングに行ったんですけど、ブースにゲロ袋持ち込んで歌いました(笑)。死にそうになりながらがんばりました。それはしんどかったですね。
──そんな体調でレコーディングしたんですね(笑)。
サクライさんに「袋持って行っていいですか?」って言ったら、「吐いたらその音どこかで使おうか、ははは(笑)」って言われました。「はははじゃねーよ」みたいな。だから印象に残ってます。
──今回、ついにメンバーではなくサクライさんの声だけが入った曲があります。
「int」ですよね。しかもアルバムの中で一番長いっていう。
──10分越えですね。
Eテレで流れてそうな曲。こういう曲を間に入れてくるあたりが普通じゃないですよね。
──そこがブクガの面白いところだなと思うんです。こういう曲がアルバムに入っていても自然に聴けるというか。
音楽とか、写真のイメージとか、サクライさんが作るもので「これはないよね」って私たちが思うことは、基本ないですね。すんなりと入ります。私が変わったんですかね。染められてるんですかね。
──わからない中でやってきたけど、お客さんが増えたことや、メジャーでの活動を通して、さらにサクライさんを信頼できるようになったということですよね。
いい流れ!
──「int」のようなサクライさんらしさが全開の長い楽曲もありますけど、メンバーの皆さんが操り人形になっているわけでもないんですよね。存在感が拮抗しているというか。
なるほど、そうかもしれない。「bath room」のときは“音ありき”みたいなところがあったけど、今回のアルバムで私たちに自我が芽生え出した気がする。それがよいのかもしれないです。もっと磨きをかけます。
──コショージさんのインタビューでも話題に挙げたんですが、ブログを定期的に更新するようになったことで、それぞれのキャラを知れるいいきっかけができたなと思ったんです。
それレベル低いですよ(笑)。
──でもそういうことすらほとんどしてこなかったわけで。以前は「ブログを更新する意味があるんですか?」くらいのことを言っていたじゃないですか。
それはやる気がないですね(笑)。今は仕事が増えて日常が充実してるから、ブログに書きたいことがあるんだと思います。あの頃はバイトばっかりしていて、書くことが本当になかったんだと思う。そう考えると変わりましたね(笑)。
──そろそろ時間ですが、言い残したことはありますか。
アルバムを買ってほしい。これ聴いてたらおしゃれだと思う。あとはライブに来てください。
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- ニューアルバム「image」 / 2017年4月5日発売 / 徳間ジャパンコミュニケーションズ
- 初回限定盤 [CD+フォトブック] / 3500円 / TKCA-74485
- 通常盤 [CD] / 3000円 / TKCA-74486
CD収録曲
- ending
- sin morning
- end of Summer dream
- veranda
- faithlessness
- int
- townscape
- karma
- screen
- blue light
- opening
- ライブBlu-ray+CD「Solitude HOTEL 2F + faithlessness」 / 2017年2月15日発売 / 徳間ジャパンコミュニケーションズ
- [Blu-ray Disc+CD] 4500円 / TKXA-1110
Blu-ray収録内容
- cloudy irony
- snow irony
- bath room
- sin morning
- film noir
- Remove
- last scene
- 最後のような彼女の曲
- karma
- faithlessness
- 14days
- empty
- lost AGE
- bed
- blue light
- cloudy irony
- my cut
CD収録曲
- faithlessness
Maison book girl「major 1st album『image』release tour 2017」
- 2017年4月2日(日)新潟県 SHOW!CASE!!
- 2017年4月15日(土)愛知県 ell.FITS ALL
- 2017年4月23日(日)福岡県 DRUM SON
- 2017年4月29日(土)北海道 DUCE SAPPORO
- 2017年5月4日(木・祝)大阪府 FANJ twice
Maison book girl「major 1st album『image』release tour 2017 final『Solitude HOTEL 3F』」
- 2017年5月9日(火)東京都 赤坂BLITZ
Maison book girl(メゾンブックガール)
2014年11月に活動を開始した、矢川葵、井上唯、和田輪、コショージメグミの4人からなる“ニューエイジポップ”ユニット。音楽家のサクライケンタが総合プロデュースを担当し、現代音楽とアイドルポップスを融合させた複雑かつキャッチーな楽曲で支持を集めている。2015年9月に1stアルバム「bath room」をリリースし、同年12月にはアメリカのオルタナティブロックバンド、Ringo Deathstarrの東名阪公演にサポートアクトとして出演。2016年11月に2度目のワンマンライブを東京・WWW Xで行い、チケットは即日完売となる。同月、シングル「river(cloudy irony)」で徳間ジャパンコミュニケーションズよりメジャーデビュー。2017年4月にアルバム「image」をリリースする。