音楽ナタリー Power Push - Maison book girl

“ニューエイジポップを歌う無機質な少女たち”の素顔

ソールドアウトしなかったことないから埋まりますね

──5月に赤坂BLITZワンマンが決まったことについては?

ヤバいっすよね。埋まりますかね?

──そんなふうに思ったりするんですね。

思いますよ! めっちゃ不安です。「マジかー」みたいな。

──11月のWWW Xはすぐにソールドアウトしましたよね。

いや、キャパが大幅に増えるじゃないですか。WWW Xに来た人が全員来てくれても埋まらないんですよ?

──以前は「なんだかんだワンマンは人が来る」みたいなことも言ってたのに。

コショージメグミ

でもいきなり赤坂BLITZとは思ってなくて。あと200人くらい少ないところがよくないですか?

──完売させたいと。

させたいです。じゃないと意味ないですよね? ブクガではソールドアウトしないワンマンをやったことがないのかも。次が3回目のワンマンで、2回ともソールドアウトしてる……ヤバ! 今気付いた! ソールドアウトしなかったことない! ……ってことは埋まりますね。

──急に楽観的(笑)。それは今回のアルバムとツアーにかかっているんじゃないですか?

地方の人が付いて行きたいと思うかどうかってことですよね。アルバムはどうでしたか?

──すごくよかったです。

「bath room」に比べてどのくらいいいですか? 「bath room」、けっこういいですよね。

──その「bath room」と比べても圧倒的にいいと思いますよ。曲はもちろん、皆さんの歌の表現が素晴らしいと思いました。

ホントですか! 確かに歌がうまくなったなっていう実感はめっちゃあります。声とか歌い方が大人っぽくなった。だから「bath room」に比べて聴きやすいのかなって。「bath room」は幼さと音楽のズレがあって、それはそれでよかったのかもしれないけど、今回はその2つが近付いているのがいいと思います。

無の空間に手を突っ込んで、引っ張り出して書く

──ポエトリーリーディングの「opening」はコショージさん作詞で、これまでの散文的な詩ではなく、ストーリーのある短編小説のようになってますよね。これは手応えがあったんじゃないかなと。

コショージメグミ

今まで音源化されたポエトリーリーディングにはストーリーっぽいものはないんですけど、音源化してないやつではそういうのは何個かあったんですよ。そっちのイメージで書きました。けっこうみんなに「ここはこういうふうに言って」って監督みたいなことをやっちゃって。

──ディレクションをした。

はい。だから気持ちが入ってると思います。今までは誰でも言えるようなこと……その人の声質に合った言葉をチョイスしてはいましたけど、今回は「ここはこういうふうに言ってほしいからもう1回やって」みたいなことも言ったりして。確かに新しい挑戦ではありますね。

──どうしてこういう文章を書こうと思ったんですか?

アルバムの曲ができる前にサクライさんに言われて1曲書いてたんですよ。そうしたら、「もっとストーリーっぽいものを書いてほしい。希望みたいなテーマで、これから何かが始まりそうなのを書いてほしい」って言われて。それですごい考えて、ちょっとサクライさんの気持ちがわかりました。

──というと?

なんて言うんですかね……自分の体の一部に何もない穴があるとするじゃないですか。無の空間が。そこに手を突っ込んで、うわーって引っ張り出して書くみたいな。けっこう大変でした。

──希望がテーマでこういう内容になったというのもすごいなと。

私は毎回希望についてしか書いてないと思ってたんですよ。すべてにおいて。でも人に聞いたらそうは思われてなかったみたいで。だからどうやったらわかってもらえるんだろうとすごい考えて。でも、やっぱり、希望は絶望の中からしか生まれないんですよ。そう思ったら、こうなりました。

──この詩を聴いて「大切な人が亡くなったのかな」と思ったんです。

ああ、なるほど。昔から周りの人が死ぬっていうのはけっこう経験していて。友達だったり、家族だったり。自分の中に死のイメージが確実にあって、それを掘り起こすのが苦しかったですけど、だからリアルなことが書けたのかもしれないです。

──死が身近だった?

コショージメグミ

自分では普通かなと思っていたんですけどね。こないだ人と話してたら「お世話になった人が亡くなったみたいで。私、知ってる人が亡くなるの初めてなんだよね」って言われて、そうなんだと思って。私は小さいときからけっこう多かったので、逆にびっくりしました。

──リアリティがあったので納得しました。

葵が録ってる最中に「泣きそうになっちゃった」って言ってくれて。私も自分で書いたセリフなのに、ストーリーに入り込んじゃって泣きそうになった部分があるんですよ。

──エモーショナルですね。

そうなんですよ。「あれ? おかしいなあ」って(笑)。配役が難しかったです。猫とおじいさんが出てくるんですけど、私の中では猫は男の子だったんです。葵か和田が言っちゃうと猫が女の子になっちゃうなと。でも、葵や和田におじいさんをやってもらうのも違うなと考えて。唯が毎回おじいさん役になるんですよ(笑)。

──サクライさんは暗い気持ちを言葉にしますが、それとコショージさんの言葉には似たところがあると思います。不思議ですよね。性格的には全然違うと思うんですけど、近いところでものを作っているんだなと感じました。

ああ、そうなのかもしれないですね。最後にこれがきて、アルバムに合っていると思ってもらえたらすごくうれしいです。

ニューアルバム「image」 / 2017年4月5日発売 / 徳間ジャパンコミュニケーションズ
「image」ジャケット
初回限定盤 [CD+フォトブック] / 3500円 / TKCA-74485
通常盤 [CD] / 3000円 / TKCA-74486
CD収録曲
  1. ending
  2. sin morning
  3. end of Summer dream
  4. veranda
  5. faithlessness
  6. int
  7. townscape
  8. karma
  9. screen
  10. blue light
  11. opening
ライブBlu-ray+CD「Solitude HOTEL 2F + faithlessness」 / 2017年2月15日発売 / 徳間ジャパンコミュニケーションズ
「Solitude HOTEL 2F + faithlessness」ジャケット
[Blu-ray Disc+CD] 4500円 / TKXA-1110
Blu-ray収録内容
  1. cloudy irony
  2. snow irony
  3. bath room
  4. sin morning
  5. film noir
  6. Remove
  7. last scene
  8. 最後のような彼女の曲
  9. karma
  10. faithlessness
  11. 14days
  12. empty
  13. lost AGE
  14. bed
  15. blue light
  16. cloudy irony
  17. my cut
CD収録曲
  1. faithlessness

Maison book girl「major 1st album『image』release tour 2017」

  • 2017年4月2日(日)新潟県 SHOW!CASE!!
  • 2017年4月15日(土)愛知県 ell.FITS ALL
  • 2017年4月23日(日)福岡県 DRUM SON
  • 2017年4月29日(土)北海道 DUCE SAPPORO
  • 2017年5月4日(木・祝)大阪府 FANJ twice

Maison book girl「major 1st album『image』release tour 2017 final『Solitude HOTEL 3F』

  • 2017年5月9日(火)東京都 赤坂BLITZ
Maison book girl(メゾンブックガール)

2014年11月に活動を開始した、矢川葵、井上唯、和田輪、コショージメグミの4人からなる“ニューエイジポップ”ユニット。音楽家のサクライケンタが総合プロデュースを担当し、現代音楽とアイドルポップスを融合させた複雑かつキャッチーな楽曲で支持を集めている。2015年9月に1stアルバム「bath room」をリリースし、同年12月にはアメリカのオルタナティブロックバンド、Ringo Deathstarrの東名阪公演にサポートアクトとして出演。2016年11月に2度目のワンマンライブを東京・WWW Xで行い、チケットは即日完売となる。同月、シングル「river(cloudy irony)」で徳間ジャパンコミュニケーションズよりメジャーデビュー。2017年4月にアルバム「image」をリリースする。