いつか前を向いて花束を捧げられたら
みあ 私、今年の3月に初めて海外でライブ(三月のパンタシア LIVE 2024「ブルーアワーを飛び越えて」上海、広州公演)をやったの。ゴールデンウィークにはインドネシア(「AFA Indonesia 2024」)に行くじゃない?
ASCA 私も一緒に出る、「AFA」内の「SACRA MUSIC FES.」ね。
みあ そうそう。私は今まで日本国内で、ほぼ東京と大阪でしかライブをしてこなかったのね。でも、これから海外で歌ったりする中で、私もASCAちゃんみたいに思想が変わっていくのかなって。
LiSA 思想が変わる……大きな話になってきた。
みあ 海外での経験とか環境の変化がサウンドに反映されるという話は、聞いていてすごく面白かった。
ASCA 人によると思いますけど、私はすごく影響を受けました。去年、初めてブラジルに行かせてもらったときなんかは、お客さんのノリも音楽の受け取り方も違うから、私自身も「もっとライブを楽しめばいいんじゃん!」という気付きをもらえて。そういう体験からも作っていく楽曲が変わりましたね。
──「紫苑の花束を」は花言葉をうまく使っていますが、八木さんが以前「魔法科高校の劣等生 追憶編」で歌った「Ripe Aster」も……。
八木 そうですね。アスターの花言葉は「追憶」「変化」で、「Ripe Aster」では達也と深雪の変わらない思いを歌にしました。
ASCA ここ、通じ合ってますよね。
LiSA 海莉ちゃん、違うときは「違います」と言っていいんだよ?(笑)
八木 違ってないです(笑)。ただ、私は花言葉というよりは、花そのものが深雪には似合うと思って「Ripe Aster」を作ったんです。きれいに咲いている花だけじゃなくて、例えば枯れている様子とか、いろいろ含めて深雪というキャラクターにハマるんじゃないかなって。今回、ASCAさんの楽曲で、「追憶」という花言葉があるのはアスターだけじゃないということを知りました。
ASCA そう、紫苑にも「追憶」「遠くにいる人を思う」「あなたを忘れない」という花言葉があって。もともと私の歌は、花をモチーフにしたものが多いんですよ。だから花言葉も好きで、要素として取り入れたりはしてきましたね。
LiSA 今日の衣装も花柄だもんね。
ASCA 似合ってます?(笑) それはさておき、繰り返しになりますけど「古都内乱編」はすごくシリアスで、かつ「魔法科」第3シーズンを締めくくる物語でもあるので、悲しいけれど、いつかは前を向いて花束を捧げられたらいいなって。「紫苑の花束を」には、そういう願いも込めています。
オープニングはLiSAさんがブチ上げてくれるから
LiSA 3人の話を聞いて改めて思ったけど、3曲とも全然違うから……。
ASCA 面白いですよね。この3曲が1カ月ごとに交代していくという。
LiSA だから、本当に作品に寄り添ったぜいたくな人選で。各編それぞれ伝えたいメッセージも違うんだろうなって、曲を聴いただけでも皆さんに想像してもらえるんじゃないかと思います。
──三者三様で、エンディングはある意味で自由度が高いのかなと思ったりしたのですが。
LiSA いや、どうでしょう? 私もいろんな作品のエンディングを担当させてもらってきましたけど、「オープニングはきっとこう来るだろうから、じゃあエンディングは……」みたいに考えてしまうというか。しかもエンディングって、次の回につなげるためのバトンのような楽曲だと思って私は制作しているんですよ。そういう役割とか責任も意識してしまうから、むしろ縛りみたいなものが多いのかもしれないです。逆にオープニングは、作品のテーマに真正面から向き合えば、自ずと正解が導き出されることが多いから。
ASCA 確かに。私は制作が始まるタイミングで、LiSAさんがオープニングを担当されることは聞いていたので……海莉ちゃんとみあちゃんも聞いてました?
八木・みあ 聞いてました。
ASCA LiSAさんは第1シーズンで「Rising Hope」を歌っていますし、今回もアッパーな曲でめちゃめちゃ盛り上げてくれるだろうと、勝手に思っていました。
LiSA でしょ? 思うよね?
ASCA ミドルなわけがない(笑)。そういう絶大な信頼があったからこそ、新しいジャンルに挑戦できたというのは大いにありますね。先輩の胸を借りてじゃないですけど、LiSAさんのおかげで新境地を開拓できたと言ってもいい。
みあ 私も、オープニングは絶対にアッパーで攻撃的なロックだろうと思って。じゃあ、私はちょっと大人でダークな曲やろうみたいな。
LiSA やっぱりバランスを考えて……というか、私がバランスとらせてる(笑)。
──八木さんの「recall」も、大枠としてはロックになりますが、LiSAさんの「Shouted Serenade」とはまったく毛色が違いますもんね。
八木 そうですね。最初に「オープニングっぽく」というオーダーをいただいたとき、正直「難しいな……」とは思ったんです。でも、きっとオープニングはLiSAさんがブチ上げてくれるから……。
LiSA ちょっと待って。3回も言われると恥ずかしくなってきた(笑)。
八木 自分は曲を作り始めてからまだ日が浅いし、引き出しも少ないので、今の自分にできることをやろうと。苦戦はしたんですけど、苦戦したおかげでこういう歌詞も書けた気がします。
その髪、いつ染めたの?
──この機会に、「魔法科」から離れてもかまわないので、アーティストとしてお互いに聞きたいことなどはありませんか?
LiSA みあちゃんはその髪、いつ染めたの?
ASCA あ、全然違うベクトルだ。
みあ 3日前ぐらいです。この取材のためにきれいにしてこようと思って。
LiSA じゃあ、きれいに撮ってもらおう(笑)。青ってキープするのめちゃくちゃムズいでしょ? だから染めてから何日経ってるんだろうって、つい気になっちゃって。
みあ そう、青は落ちやすいんですけど、私が行っているサロンの美容師さんがめっちゃ上手で。
ASCA サロンの宣伝になってる(笑)。どれぐらい持つの?
みあ 今の色が持つのは2週間ぐらいなんだけど、ちゃんとケアをしていれば色が抜けても黄ばみが出なくて。きれいな水色に抜けてくれるから、色抜けも楽しめる。私もずっと聞きたかったことがあるんだけど、ASCAちゃんは、黒染めしてる?
ASCA うん。髪の毛の話になってきちゃった。
みあ やっぱりそうなんだ。めっちゃきれいだなと思っていて。
ASCA 私は、地毛が茶色いんですよ。だから、正確には黒じゃなくて、紫とか青を混ぜた黒っぽい色に月1で染めてもらってます。それ以上経つと茶色くなってきちゃうから、デビューして6年ちょっと経ちますけど、毎月染めてます。
──前髪のラインはどのぐらい持つんですか?
ASCA 前髪は1日です。だから毎日、自分で切ります。
LiSA 毎日? 自分で切るの?
ASCA さっきも自分で切って、ついでに海莉ちゃんの前髪もね。
八木 ちょっと伸びすぎだったので、切ってもらいました。
ASCA 前髪ぱっつんは維持が大変なんですよ。毎日状態が違うから、このラインをキープするには毎日切るしかない。LiSAさんは、自分で髪を染めてますよね?
LiSA 自分で染めてます。でも今日は、ちょっと染める時間がなくて……。
八木 グラデーションかと思ってました。めっちゃきれいですよね。
LiSA ありがとう。海莉ちゃんの髪色は、ちょっと前までもっと明るかったよね?
八木 そうです。少し金髪にして遊んでいました。去年は青だったんですけど、最近はこの色と髪型がお気に入りで。
LiSA 普段インタビューであんまり髪の話はしないから私たちは面白かったんですけど、こんな締めで大丈夫ですか?(笑)
プロフィール
LiSA(リサ)
2010年春、テレビアニメ「Angel Beats!」の劇中バンドGirls Dead Monsterの2代目ボーカル・ユイ役の歌い手に抜擢され、同年5月にGirls Dead Monster名義のシングル「Thousand Enemies」をリリース。2011年4月にLiSA名義のミニアルバム「Letters to U」でソロデビューを果たす。2019年7月にシングルとしてリリースしたテレビアニメ「鬼滅の刃 竈門炭治郎 立志編」のオープニングテーマ「紅蓮華」で、同年末に「NHK紅白歌合戦」へ初出場。2020年には映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」の主題歌「炎(ほむら)」で「第62回日本レコード大賞」大賞を受賞した。2024年5月にテレビアニメ「魔法科高校の劣等生」第3シーズンのオープニング主題歌「Shouted Serenade」をシングルリリース。6月からアジアツアー「LiVE is Smile Always~ASiA TOUR2024~」、9月から全国8都市を回るアリーナツアー「ソニー銀行 presents LiSA LiVE is Smile Always~COCKTAiL PARTY~ [SWEET&SOUR]」を行う。
LiSAオフィシャルブログ「今日もいい日だ」Powered by Ameba
八木海莉(ヤギカイリ)
アーティストになる夢を追いかけて15歳で上京。YouTubeに多数のカバー動画をアップして注目を浴びる。2021年に放送されたテレビアニメ「Vivy -Fluorite Eye's Song-」にて主人公ヴィヴィの歌唱を担当し、その歌声が話題に。同年12月にテレビアニメ「魔法科高校の劣等生 追憶編」の主題歌である「Ripe Aster」をデビュー曲としてリリースした。2022年9月に初のワンマンライブを開催。2023年11月にテレビアニメ「アンデッドアンラック」のエンディングテーマ「know me...」を表題曲としたシングルをリリースし、12月に初のワンマンツアーを行った。2024年5月にテレビアニメ「魔法科高校の劣等生」第3シーズン「ダブルセブン編」のエンディング主題歌「recall」をリリース。
三月のパンタシア(サンガツノパンタシア)
「終わりと始まりの物語を空想する」をコンセプトに、みあ(Vo)がスタートさせたプロジェクト。2015年8月に活動を開始し、2016年6月にシングル「はじまりの速度」でメジャーデビューした。その後、みあによる小説、さまざまなクリエイターの楽曲、イラストを掛け合わせてストーリーを描き、思春期の切ない恋心や憂鬱な気分といった繊細な心の揺れを表現している。2022年3月に4thアルバム「邂逅少女」をリリース。2024年3月に大阪、東京、中国の上海、広州でワンマンライブ「三月のパンタシア LIVE 2024『ブルーアワーを飛び越えて』」を開催。映像演出や朗読など、みあが紡ぐ物語の世界観を体感できるライブは高い評価を得ている。5月公開の映画「ハピネス」に主題歌「僕らの幸福論」を提供した。テレビアニメ「魔法科高校の劣等生」第3シーズン「スティープルチェース編」のエンディング主題歌「スノーノワール」を5月にリリース。8月に東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)でワンマンライブを開催する。
みあ(三月のパンタシア) (@3_phantasia) | X
三月のパンタシア Official YouTube Channel | YouTube
ASCA(アスカ)
2011年開催の「第5回全日本アニソングランプリ」でファイナリストに選ばれ、2013年にアニメ「さくら荘のペットな彼女」のエンディングテーマ「Prime number~君と出会える日~」で大倉明日香としてCDデビュー。2017年8月にアニメ音楽誌「リスアニ!」誌上にてASCA名義では初のオリジナル曲「RUST」を発表し、同年11月にアニメ「Fate/Apocrypha」のエンディングテーマ「KOE」を表題曲としたシングルでSACRA MUSICよりメジャーデビューを果たす。2023年2月のポリープ摘出を経て、6月に1年ぶりのワンマンライブ「ASCA LIVE 2023 -No Voice, No Live-」を実施。9月にデビュー5周年ツアーを行い、11月にアニメ「豚のレバーは加熱しろ」のオープニングテーマ「私が笑う理由は」を表題曲としたEPをリリースした。2024年2月に東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)でワンマンライブ「ASCA Zepp LIVE 2024 -Departure-」を開催。3月に3rdアルバム「VIVID」を発表した。5月にテレビアニメ「魔法科高校の劣等生」第3シーズン「古都内乱編」のエンディング主題歌「紫苑の花束を」をリリース。8月より全国ツアー「ASCA LIVE TOUR 2024 -VIVID-」を行う。