ナタリー PowerPush - 真心ブラザーズ

「君に届け」をめぐる鼎談 in 札幌

「これは俺無理だわ。桜井歌ってよ」

──せっかくの機会ですし、椎名さん、ここで2人に訊いておきたいことなどありませんか？ファンならではの質問などもあったらぜひ。

椎名　うーん……「砂漠のポプラ」は、何がそう聞こえたんですか？

桜井　またマニアックな（笑）。すごい角度から切り込んできたなあ。

YO-KING　「I will Survive」に入ってる「ポプラ」って曲ですね。「砂漠のポプラ君の声そう聞こえたよ」……今となっては忘却の彼方で。全然覚えてないですねえ。……すみません、期待に応えられなくて（笑）。

桜井　気の利いたことも言えず（笑）。

YO-KING　そういう質問、もっとください（笑）。

椎名　アハハ（笑）。えっと、アルバムの中でYO-KINGさんと桜井さんが歌う曲の比率はそのときどきで違いますけど、それってたまたまなんですか？

桜井　たまたまですね。できあがってきた曲を全部並べて。

YO-KING　最初からKINGが何曲、桜井が何曲って決めるわけじゃないです。デモテープを持ち寄って、アルバム全体のイメージを考えて。

桜井　今回のアルバムに関して言えば、「キスっていいよね」のボーカルを拒否されました（笑）。「これは俺無理だわ。桜井歌ってよ」って。

YO-KING　これは俺の手に負えるスケールの歌ではない。

──真心ならではのやりとりですね（笑）。

椎名　タイトルは始めから決まってたんですか？

桜井　はい。これは去年のツアー中にできた曲で。毎回新曲を発表するというツアーだったんですけど、僕は曲を書くのが遅いから苦痛で。寝ても覚めても曲のことばっか考えてたら、ある日夢の中にYO-KINGさんが出てきて。「今日の新曲はこれ」って渡されたのが「キスっていいよね」って曲で（笑）。なに言ってんだこの人と思いながらも、なんか気になるなあと。目が覚めて思い出したらくやしくなってきて、このタイトルで曲を書いてやろうと。もう頭がおかしくなってたから（笑）。

椎名　ああー（笑）。

桜井　で、タイトル負けしない曲の歌い出しってなんだ？って考えた結果「チュッチュッ」っと。よしこれだと鼻息荒く持ってったら、YO-KINGさんに「何言ってんの？」って言われて（笑）。

代官山のおしゃれなカフェで「俺の空」

──ほかに何か、気になっていることは？

椎名　えっと、YO-KINGさんは今ずっとメガネ（サングラス）は外さないんですか？

YO-KING　外さないですね。モテすぎて困るんですよ。

一同　アハハハハ（笑）。

YO-KING　モテ防止。マンガ家さんは顔出しされてない方が多いと思いますけど、僕もホントは顔出ししたくないんですよ。でも音楽はやりたいっていう。顔は出したくないけどライブはやりたい。そこの矛盾はずっと感じてますね。顔的には有名になりたくないんだけど、音楽的にはもっともっと売れたいんです。

──20年以上活躍しているベテランの発言じゃないですね（笑）。

椎名　ああー。確かに不都合もありますよね。レストランで声かけられたり（笑）。油断してるところを見られるのは……。

YO-KING　そうそうそう。だから絶対顔を出さないのは正解ですよ。謎の部分を残しとくのはいいですよね。

──どこか謎めいた部分を持っておくという。

YO-KING　そう。100パーさらけ出さないというか。100のうち30でもこんなに面白いことできます。あとの70は教えないよっていう。出てる30の部分で残りの70もしみ出ちゃうからね。

──この20数年間で見せたYO-KINGさんの姿は、まだ100ではないと。

YO-KING　うん。面白いもん作るには面白い人にならなきゃいけないし、そのためには毎日楽しく生きなきゃいけないから、そこには結構投資してますね。で、楽しく生きるためには有名になっちゃいけないんですよ。顔がバレちゃいけない。やっぱコンビニでグラビア見てる自分も大事なんですよ。雑誌の中綴じをこうやってる時間とか（笑）。そういう自由がないと。

桜井　最近は代官山のおしゃれなカフェとかでコーヒーをすすりながら、あえて「俺の空」（本宮ひろ志著）を読むのに挑戦してるんでしょ（笑）。

YO-KING　ここで読んでるぞと。ノーカバーで。

桜井　「KING……『俺の空』ッスかあ！」って。

YO-KING　クロワッサンかじりながら。そういう自由を感じていたいですねえ。

CD収録曲

胸を張れ
アメンボ
朝が来た！
サニー
生きる
話
のりこえるの歌
青木橋に陽は落ちて
イナズマに乗って
炎の後半戦
カモン！カナガワン
キスっていいよね
OFF
君にだけ
夜空
Keep on smiling
ぼくのギター

初回限定盤DVD収録内容

「真心道中歌栗毛2011」ツアードキュメント

収録内容

うみ
荒川土手
朝が来た！
かべ
軽はずみ
僕は喜劇王
Sound Of Love
流星
FLYING BABY
情熱と衝動
GREAT ADVENTURE FAMILY
絵
500マイル
アメンボ
胸を張れ
サニー
サマーヌード
（男・桜井が歌う）BABY BABY BABY
どか～ん
空にまいあがれ
RELAX～OPEN～ENJOY

真心ブラザーズ（まごころぶらざーず）

YO-KINGと桜井秀俊によって1989年に結成。テレビ番組の「勝ち抜きフォーク合戦」で10週勝ち抜いたことをきっかけに、同年9月にシングル「うみ」でメジャーデビューを果たす。「モルツのテーマ」「どか～ん」といったナンバーがTVソングに起用され、そのフォーキーなサウンドが好評を博した。1995年リリースのシングル「スピード」以降は、それまでのイメージを払拭するようなロック＆ソウル色の強い音楽性へと移行。「サマーヌード」「拝啓、ジョン・レノン」「空にまいあがれ」など、数々の名曲を発表する。現在までに34枚のシングルと12枚のオリジナル・アルバムを発表。定評のあるライブ・パフォーマンスも健在である。2012年4月25日に通算13枚目となるオリジナルアルバム「Keep on traveling」をリリース。

累計2000万部突破の大ヒットシリーズ、最新巻!! 16巻の続きは5月12日発売の「別冊マーガレット」2012年6月号で読めます！

椎名軽穂（しいなかるほ）

10月23日北海道生まれ。1991年、「別冊マーガレット」（集英社）にて「君からの卒業」でデビュー。同誌での短期連載を活動の中心にしていたが、2003年に長期連載「CRAZY FOR YOU」が開始すると、天然で冴えないヒロインが懸命に恋する姿が読者の共感を呼び話題に。2005年、同誌にて「君に届け」を読み切りとして発表。好評を受け翌年より連載開始となった。陰鬱な外見とは裏腹に純粋なヒロインに魅せられたティーンエイジャーが続出し大ヒットを記録。同作で2008年度第32回講談社漫画賞少女部門を受賞した。「君に届け」は1～15巻まで発売中。最新16巻は2012年5月11日に刊行される。

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