音楽ナタリー Power Push - MAGIC FEELING

ポップに舵を切った「RAINBOW」

「このままじゃだめだ」

──今作を聴いて感じたのが、これまでのMAGIC FEELINGのサウンドや歌詞に見え隠れしていた負の要素を排除した代わりに、ポップな部分を大胆にフィーチャーした作品だなと。全編を通して前向きでキラキラした世界が描かれていることに潔さすら感じたんですが、そこにはどんな思いがあったんでしょうか?

MAGIC FEELING

桜本 確かに今回のアルバムは、これまでの僕らの音楽からガラッと変わった作品だと思います。去年のツアーが終わってから少しずつ曲を書き始めたときは、明確なコンセプトがあったわけではないんですけど。でも明るい方向に行きたい、ポジティブな曲を作りたいっていう意識はありました。

──その理由はなんだったんでしょう?

桜本 自分たちの曲で友達とか家族とかリスナーを幸せにしたいっていう思いを実現するには、このままじゃだめだとは感じていて。自分たちとしても、もっと動員を増やして大きいバンドになりたいし、ある種の危機感というか「変わらなくちゃ」という思いはかなりありました。

──本作は1曲目の「ALL MY LIFE」から、その「変わらなくちゃ」という思いが顕著に現れていますよね。高揚感のあるエレクトロサウンドにAuto-Tuneを使った桜本さんのボーカルが乗っていて、これまでになかったテイストのサウンドがバンドの新たな幕開けを感じさせる楽曲です。

桜本 この曲が一番、前作を聴いてくれていたリスナーが驚くんじゃないかな。1曲目で「これがMAGIC FEELING?」って思わせたかったんです。

──ライブでも盛り上がりそうなナンバーですね。

Hideo そうですね、自分たちも演奏していて純粋に気持ちいいし。それぞれの音楽性の違いとか、4人の個性がわかりやすく出ている曲でもあります。

Soap 僕らって、無意識に曲を作ると複雑になっていってしまう傾向があって。前作のツアーは演奏に夢中になりすぎて、目の前のお客さんの顔がちゃんと見えていなかったんですよね。もっとお客さんとの対話を楽しみながらライブをしたいと思ったから、今回のアルバムはそのあたりも意識して楽曲を作っていきました。

実話がもとになった「H.A.P.P.Y」

──ギターの弾き語りから始まる「H.A.P.P.Y」の牧歌的な雰囲気や写実的な歌詞の書き方も、これまでにないアプローチです。「一緒にバカやってた親友のあいつが 立派な式をあげて」という歌詞がありますが、これは実話?

桜本 実話ですね。「H.A.P.P.Y」はもともと、友人の結婚式で歌うために作ったプライベートな曲だったんです。でもバンドでアレンジしてみたら、結果としてアルバムのバランスをよくしてくれる1曲に仕上がったと思います。コーラスには僕が好きな沖縄の民謡のイメージを詰め込みました。

──一方で「GINGA」のようなディスコチューンも収録されているのは、幅広いジャンルの音楽を吸収してきたバンドならではと感じました。

桜本 この曲はオケが完成した時点で、すごく幻想的なイメージが浮かんで。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をモチーフにしながら歌詞を書いていきました。

何色と断定できない音楽を

──タイトルトラックの「RAINBOW」で歌っている「変わらないために変わっていこう」という歌詞は、まさに今作で変化を遂げたバンドのことを歌っているように聞こえます。

桜本 そうですね。自分たちの根っこの部分は変えないまま、より多くの人に届く音楽を作りたいという思いを込めました。

──タイトルの「RAINBOW」はどこから?

桜本 虹って7色ですけど、実は青と赤の間にも微妙なグラデーションがあるじゃないですか。僕らの音楽も「何色」って断定できないところと重なるなと思って。「RAINBOW」を作ったことで、より自分たちの表現も自由になった気がします。

──11月からはアルバムのリリースを記念した全国ツアーが始まります。

Hideo はい。このツアーに賭けて、背水の陣でがんばります!

Soap まあ確かにそうなんですけど、ライブが始まってしまえば楽しむだけなので。お客さんを楽しませつつ、自分たちが楽しむことを忘れずにやっていきたいなって思います。

ochan 「RAINBOW」の曲は僕らも1曲1曲すごく気に入っていて、現状これ以上ないって言える作品が完成したと思ってるしね。あとは多くの人に届くことを願うのみです。

桜本 自分たちのこれまでの曲って、4人だけで完結してたというか。それはそれでよかったんですけど、今回の作品はお客さんがいてやっと完成すると思うんです。だからツアーで各地のリスナーに会うことが今から楽しみですね。

MAGIC FEELING
ミニアルバム「RAINBOW」/ 2016年10月19日発売 / 1728円 / INNO-2010 / INNOVATOR RECORDS
「RAINBOW」
収録曲
  1. ALL MY LIFE
  2. LET IT DIE ~Welcome To The New World~
  3. H.A.P.P.Y
  4. Oh Yeah
  5. GINGA
  6. RAINBOW

MAGIC FEELING「RAINBOW Release Tour 2016」

2016年11月6日(日)新潟県 CLUB RIVERST
<出演者>
MAGIC FEELING / 午前四時、朝焼けにツキ / セプテンバーミー / NECOKICKS
2016年11月8日(火)宮城県 仙台MACANA
<出演者>
MAGIC FEELING / the twenties / BruteRocks / 松本、水野と(その他少数) / watame
2016年11月14日(月)東京都 下北沢SHELTER
<出演者>
MAGIC FEELING / 音の旅crew / FIVE NEW OLD
2016年11月24日(木)愛知県 池下CLUB UPSET
<出演者>
MAGIC FEELING / ASTLOGY / asobius / classicus / NOVELS
2016年11月25日(金)大阪府 LIVE HOUSE Pangea
<出演者>
MAGIC FEELING / ARKS /asobius / classicus / shimmer
2016年12月1日(木)広島県 CAVE-BE
<出演者>
MAGIC FEELING / 午前四時、朝焼けにツキ / RED in BLUE / and more
MAGIC FEELING(マジックフィーリング)
MAGIC FEELING

桜本アキトシ(Vo, G)、ochan(G, Key)、Soap(B)、Hideo(Dr)からなるロックバンド。2012年に桜本、ochanを中心に結成される。精力的なライブ活動の傍ら、2013年に1stミニアルバム「Debut」をリリース。翌年には2ndミニアルバム「THE MIXTAPE」を発売する。2015年4月にシングル「あかり/ 27」をリリースし、その後東京・下北沢SHELTERにて行ったワンマン公演のチケットはソールドアウトとなった。2016年10月に3rdミニアルバム「RAINBOW」をリリースする。