16曲入りじゃなきゃいけなかった
──アルバム「明日色ワールドエンド」の話も聞かせてください。まず資料をいただきまして、ほとんどがアルバム用の新曲なのに16曲入りという収録曲の多さに驚きました。
やっぱり多いんですね(笑)。ただ僕の中では今回のアルバムは16曲入りじゃなきゃいけなかったんですよ。そもそもAfter the Rainのアルバム「クロクレストストーリー」が16曲入りなんです。だからそれよりも少ないわけにはいかないと思っちゃって。それと僕がやりたいことを1つずつ数えていくと16曲くらい必要になっちゃうんですよね。
──やりたいことと言うと?
「輪廻転生」は四つ打ちのシンセサウンドの曲、「水彩銀河のクロニクル」は3拍子で浮遊感のあるメロディアスな曲、「ふたりぼっち」はミドルテンポのちょっと退廃的な感じの曲、「フューリー」は今までにないような奇をてらった曲、「終点」は昔から作りたかった曲……みたいに数えていくと16曲は必要だなって感じで。もともと「明日色ワールドエンド」というタイトルのアルバムを作ろうという構想はずっとあったんです。ただ前作「闇色ナイトパレード」(2015年4月発売のアルバム)から時間がかかってしまったのは、自分の中でまだ音楽に関してわからないことが多すぎて、「明日色ワールドエンド」ってアルバムを出すまでにはもっと成長していないといけない、と思ったからで。
──なぜタイトルだけ先に決まっていたんですか?
僕、小さい頃から幼稚園の先生とか周りの大人に「死んだら明日はどうなるんですか?」「人って死んだらどうなるんですか?」って本気で聞いていたんですよ。だいたいまともに接してくれた人はいなくて、先生には怒られていたんですけど。僕の中でわからないこと、不可解なこととしてずっと今日まで生きてきて。「明日色ワールドエンド」っていうアルバムは「もしも明日の色がない、未来に先はないとしたら」というテーマのもとに作った作品なんです。
自分の言いたいことを一番伝えられる方法
──タイトルが決まった上で、まず作った曲はどれでしたか?
アルバム用に最初に書いた曲は「輪廻転生」ですね。この曲はざっくり言うと「こんな下らない人生とはおさらばだぜ」という内容の歌詞の曲。実は歌詞の中には来世に期待してるっていう人間と、人間としての僕がまふまふっていう名前のキャラクターに転生している状態の2つの視点があるんです。転生した先でも結局はくだらない世界だった、ということも表現したくて。
──「輪廻転生」に限らず、まふまふさんの歌詞には“現実世界の否定”といったニュアンスの言葉が多い印象があります。
僕は曲をリスナーさんに向けて書いているというより、あくまで自分のために書いています。というのも、僕はしゃべることが得意なほうではなくて、意思疎通がうまく取れない性格なんですが、何かを伝える手段の1つとして “歌詞を書いて曲にする”という方法をとっています。一方的なコミュニケーションではありますが、僕にはそれくらいがちょうどいいのです。僕の考えている歌詞の意味は確実にありますが、受け手がどう感じるかはそれぞれの解釈に任せていますし、曲に対するリアクションがどのようなものであるかは僕が考えるべきことではないと思っています。あくまで僕は僕の言いたいことを形にしていくべきだと考えています。
──まふまふさんはAfter the Rainでも作詞作曲をしていますが、ユニットでの自分とソロでの自分はどう切り分けて活動していますか?
After the Rainはそらるさんと僕の2人、どちらかが欠けたら成り立たないものだと思っています。だから自分がそらるさんと共に歩んでいくものとして、ふさわしい曲でなければならない。そう思ってわりと責任感を感じてAfter the Rainの曲は作ってますね(笑)。日々勉強を怠らずに気を引き締めて制作しています。その分、ソロは自分でやったことがすべて自分に返ってきますから、もちろん気を引き締めていないわけではないんですけど、自分の思ったこと、自分が作りたい音楽を素のままで表現できてると思います。
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結局はみんな同じ“終点”にたどり着く
- まふまふ「明日色ワールドエンド」
- 2017年10月18日発売 / NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
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初回限定盤A [CD+DVD]
2700円 / GNCL-1274 -
初回限定盤B [CD+DVD]
2700円 / GNCL-1275 -
通常盤 [CD]
2160円 / GNCL-1276
- CD収録曲
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- [Nexus]
- 輪廻転生
- 立ち入り禁止
- 眠れる森のシンデレラ
- 水彩銀河のクロニクル
- 夢のまた夢
- ふたりぼっち
- [Anonymous]
- 罰ゲーム
- フューリー
- 悪魔の証明
- 恋と微炭酸ソーダ
- 常夜の国の遊びかた
- すーぱーぬこになりたい
- [Lycoris]
- 終点
- 初回限定盤A DVD収録内容
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- 「まふまふ一人旅~ぶらり温泉街を行く~」
- 初回限定盤B DVD収録内容
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- 「夢のまた夢」MV&メイキング(実写ver.)
- 「輪廻転生」MV&メイキング(実写ver.)
- 「ひきこもりでもLIVEがしたい!」@幕張メッセ ライブ映像(2曲収録予定)
ひきこもりでもLIVEがしたい!
~明日色ワールドエンド発売記念公演~
- 2018年3月20日(火)千葉県 幕張メッセ国際展示場9~11ホール
- 2018年3月21日(水・祝)千葉県 幕張メッセ国際展示場9~11ホール
- まふまふ
- 2010年よりニコニコ動画をはじめとして動画共有サイトで“歌ってみた”動画の投稿者として活動を開始。2012年からは自身のオリジナル曲も公開しており、ボーカリストとしてだけでなく作曲家、作詞家、エンジニアとしても活動する。2016年にはそらるとのユニットAfter the Rainを結成。同年4月にはAfter the Rainとして1stアルバム「クロクレストストーリー」をリリースした。2017年1月には初のソロワンマンツアー「ひきこもりでもLIVEがしたい!」を実施。また同年5月には埼玉・さいたまスーパーアリーナで主催イベント「ひきこもりたちでもフェスがしたい!」を開催し、大きな注目を集めた。同年10月にはTwitterアカウント数のフォロワー数が100万人を超えたことを記念して24時間にわたる番組の生配信を実施。さらに10月18日、自身の誕生日にソロアルバム「明日色ワールドエンド」をリリースした。2018年3月20、21日には千葉・幕張メッセ9~11ホールにてライブイベント「ひきこもりでもLIVEがしたい!~明日色ワールドエンド発売記念公演~」を行う。