マックジャック feat. KOPERU&teppei|6本のマイクが2024年の夏を「Atty!Atty!」に盛り上げる

神戸を拠点に活動する4人組レゲエクルー、マックジャック。2012年に結成された彼らは、全員が元球児というバックボーンからなる熱くポジティブな楽曲と、グループのモットーである“BAKA VIBES”を全開にした底抜けにハッピーなパフォーマンスでレゲエファンを中心に支持を集めてきた。また「泥だらけドリーマー」や「心に太陽」といった楽曲が高校野球番組のテーマソングに使用されたことも大きな話題を呼んだ。

そんなマックジャックが、去る5月31日に、梅田サイファーの“コペテツ”ことKOPERU&teppeiをフィーチャーした配信シングル「Atty!Atty!(熱!熱!) feat. KOPERU&teppei(from 梅田サイファー)」をリリース。今作では“誰が1番 Atty? Atty?”というサビのフレーズそのままに、ダンスホールサウンドに乗せて6人が熱いマイクバトルを繰り広げている。同じ体育会系出身ながら正反対ともいえるキャラを持つマックジャックとコペテツはどのように出会い、そして、どのように楽曲を作り上げたのか? 大阪の街で話を聞いた。

取材・文 / 高木“JET”晋一郎撮影 / YUTA KIHARA

野球部引退後の文化祭が初ステージ

──昨年行われたイベント「FADE2RED」でマックジャックのライブを初めて拝見いたしました。

JAGA-C ありがとうございます。

──ライブ自体も面白かったんですが、団旗のようなデカい旗を振りながら出てきた瞬間に「景気がよくてバカすぎる!」と。これは褒めてます(笑)。

M.C.L 曲名にもなってるんですが、僕らのモットーが“BAKA VIBES”なんで、それが伝わってうれしいです(笑)。

──マックジャックは音楽ナタリー初登場ということなので、前半ではグループのバックグラウンドについてお話しいただければと思います。まず結成のきっかけは?

M.C.L JAGA-CとM.C.L、CHAIは神戸の幼馴染で、M.C.L、ALI、CHAIは高知中央高校の野球部出身です。甲子園を目指してたんですが結局行けなくて。引退後の文化祭でそのモヤモヤを晴らそうと思って、中央乃風っていう湘南乃風のコピーグループを結成したんです。

CHAI コピー?

teppei オマージュ?

ALI カバー? どっちにしろマネです(笑)。甲子園に行けなかった悔しさを、僕らが好きやったレゲエへのバイブスに変えて燃やそうと。そんで野球部のメンバーを集めてライブをやったんです。

マックジャックとKOPERU&teppei。

マックジャックとKOPERU&teppei。

CHAI 僕はSHOCK EYEさんのマネをしたんでSHOCK CHAIと名乗って(笑)。

M.C.L そこでもう、すごい快感を得てもうて。ブロマイドも売れたなー。

──え、自分たちで作ったんですか?

CHAI メンバーの写真を売ったら飛ぶように売れて。

M.C.L だいぶモテましたね。

KOPERU めっちゃイケてるグループやん! そんときに会わんでよかったかもな。絶対嫌いなタイプやったわ(笑)。

teppei 梅田サイファーのメンバーは学生時代にそういうやつをひがんでたタイプが多いんで。

神戸のレゲエシーンで腕を磨く日々

──悲しくなりそうなので話を変えますが、マックジャックがレゲエに出会ったのは?

M.C.L 高校時代の寮生活では、コンポを持ってる人に音楽を流せる主導権があって。その中にひたすらレゲエをかけ続けてるやつがいたんです。

ALI 「爆走エンジェル~ALL JAPANESE REGGAE DUB MIX CD~」(2007年 / RED SPIDERのJUNIORがプロデュースしたジャパニーズレゲエのダブミックス)を爆音でかけてたのをめっちゃ覚えてる。

M.C.L あのアルバムはダブミックスを収録した作品だから、オリジナルとは全然違うバージョンが入ってて、それがめちゃくちゃカッコよくて。それでレゲエにハマったんです。

M.C.L

M.C.L

CHAI 休みの日はカラオケで湘南乃風を歌いまくって、試合前も湘南乃風のライブDVDを観て気合いを高めるのが僕らのルーティンでしたね。

──それが文化祭のライブにつながると。

CHAI ただ、ライブはその1回きりで、卒業後はそれぞれ別の進路に進んで、好きなアーティストのライブで集まるくらいでした。そんな状態で2、3年経って、野球に代わる何かがないかなと思ってた時期に、M.C.Lの家に遊びに行ったら、棚からボロボロのノートがハミ出てるのを発見して。表紙に「リリック帳」ってきったない字で書いてあったんですよ。「これ何?」「俺、リリック書いてんねん」「じゃあ、やろうか?」という話になって。それが具体的な始まりですね。

──人のノートを勝手に見るなとも思いますが(笑)。

ALI 寮生活の感覚が抜けなくて(笑)。

M.C.L 本当に嫌でしたよ……勝手にリリックを読まれるなんて!

CHAI 全然ドヤってたやん!(笑) むしろ見せるために、ちょっと棚からハミ出させてたぐらいの(笑)。

M.C.L そんときは無敵モードやったから。

ALI それから、自分たちの主催で「MACK JACKパーティ」ってイベントを月1で開催するようになったんです。

KOPERU それは神戸で?

JAGA-C そう。そこに遊びに行ってたのが僕とかCHAIで。

JAGA-C

JAGA-C

M.C.L JAGA-Cは皆勤賞ぐらいで来てくれるんで、ええ加減かわいそうやなってことでグループに誘いました(笑)。

CHAI だから最初は遊びやったし、地元のレゲエシーンを本当に知らなくて。

ALI そうしたら、ZEBRAMANさんという神戸のレジェンド的なレゲエアーティストが関わってるJAMDUNGという超老舗のレゲエバーの店長に、「なんかやっとんな⁉」と目を付け……目をかけていただいて(笑)。

M.C.L 「挨拶ないんか?」みたいな。野球部かと思いました(笑)。イベントのゲストに卍LINEさんとかを呼んでたし、集客もかなりあったんで。

teppei へー、それはすごい。

ALI そんな流れでJAMDUNGにも修行に通うようになり。

M.C.L ラバダブで「(マイク)握ってみろや」とか、めっちゃ圧がヤバかった(笑)。

CHAI テンポが速いトラックのほうが僕らはやりやすかったんですけど、ゆったりとしたオーセンティックなレゲエの(レコードの)裏面のリディムで、「これでやれるんか?」って。

CHAI

CHAI

JAGA-C めっちゃ試されましたね、あの時期。

M.C.L 当時は全然スキルがなかったんで。

ALI でも、あの修行のおかげでだいぶスキルも上がって、ハートが強くなったし、JAMDUNGでもイベントをやらせてもらえるようになりました。

名匠・YANAGIMANとの出逢い

──そしてジャマイカ修行などを経て、2017年にデビューアルバム「Bellyas」をリリース。2019年発表の2ndアルバム「Energy」からはケツメイシのプロデューサーとしても知られるYANAGIMANさんが制作に関わっていますね。

M.C.L 人づてに「YANAGIMANさんとマックジャックは絶対に相性がいいと思う」って紹介していただいたんです。当然、僕らもケツメイシを聴いてきたんで、「あのYANAGIMANさんや!」と。

ALI でも最初はケチョンケチョンに言われましたね。僕らは誰も音楽的な素養を持ってないし、完全に独学だったんで、基礎の基礎から教えてもらう感じで。言葉選びはもちろん、声の出し方とか、いろいろアドバイスをいただきました。今でも目から鱗のようなお話をたくさんしてもらってます。

JAGA-C 「このアーティストはこう歌ってるから聴きやすい」とか、実際の体験談を教えてくれるからすごくわかりやすいし、リズム感やノリ方もシビアに教えてくれて。

マックジャックとKOPERU&teppei。

マックジャックとKOPERU&teppei。

CHAI 自分が一番ハッとさせられたのは歌詞ですね。僕らはアンダーグラウンドの世界にいたので、深夜帯に響く言葉と昼間に響く言葉が違うことに気付いてなかったし、尖れば尖ってるほどいいと思ってた。

M.C.L JAGA-Cが最初に作ったリリックは「日本列島 俺が筆頭」でしたから(笑)。

JAGA-C ぶっ飛んだワードをどれだけ入れられるかっていう。インパクト重視で。

KOPERU わかる。最初はそう思うよな。

CHAI もともと多くの人に言葉を届けたいという気持ちはあったんですけど、YANAGIMANさんと出会うことで「より多くの人に聴いてもらうためにはどうしたらいいんやろう?」と考えるようになりました。