俳優の荒牧慶彦と水江建太による期間限定ユニットプロジェクト・まっきーとけんたの1stシングル「Calling...」が12月1日にリリースされた。
舞台「MANKAI STAGE『A3!』」、「『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage」などで共演経験のある2人は、今年9月にまっきーとけんたを始動させた。初作品となる「Calling...」は2人の優しい歌声が印象的な楽曲。CDと同時に配信リリースされた「Calling... ふたりの鼓動ver.」のみ荒牧と水江の心音が入っており、2人が寄り添っているようなイメージが表現されている。またYouTubeでは、2人の歌声と芝居を堪能できる映像“DRAMA CLIP”が公開中。このDRAMA CLIPでは「Calling...」の音源をバックに、2人が探偵事務所「探し屋たびくらげ」のメンバーとして、さまざまな依頼をこなす様子がドラマ仕立てで描かれている。
音楽ナタリーでは「Calling...」の発売を記念してまっきーとけんたにインタビュー。ユニット結成の経緯や楽曲について、今後の展望を語ってもらった。
取材・文 / 吉田可奈撮影 / YURIE PEPE
「ダサい」と言われることを覚悟していた
──まっきーとけんたとしてユニット活動することを発表したときの、ファンの皆さんの反応はいかがでしたか?
荒牧慶彦(以下まっきー) いい反響が多くて安心しましたね。
水江建太(以下けんた) 僕もひと安心しています。
まっきー 最初はまっきーとけんたというアーティスト名を「ダサい」と言われることを覚悟していたんです(笑)。もちろん、カッコいいアーティスト名にしてもよかったんですが、「あれ? まっきーと建太がやってるアーティスト名ってなんだっけ?」となるのがイヤだったんです。それなら、僕らの呼び名である“まっきーとけんた”がいいなと思ったんです。
けんた すごく僕ららしいですし、違和感がまったくなかったですね。最初からしっくりきていました。
まっきー 実はスタッフさんに、表記はアルファベットにしないかと言われたんです。でも、即却下しました(笑)。そこにカッコよさはいらないと思ったんです。そういえば、ファンの皆さんに最初、「ぐりとぐら」って言われていたよね?
けんた そうそう。アーティストロゴと絵本のタイトルの文字が似てるからか「『ぐりとぐら』の実写化?」と言われていて(笑)。
──でも、最初に公開された“DRAMA CLIP Episode01”は、ものすごくクールで、いい意味で名前のイメージを裏切っていますよね。
まっきー そう思ってもらえたのならうれしいですね。
けんた そのギャップを楽しんでもらいたいです。
──お二人はどういった経緯で一緒にユニットを組むことになったんですか?
まっきー 僕は以前から「アーティスト活動をしてみないか」というお話をいろいろなレーベルの方からいただいていたんですが、すべて断っていたんです。というのも、荒牧慶彦として音楽活動をすることにあまり意味を感じていなくて。やっぱり俳優活動が大切なので。でも、今回はキングレコードさんからかなり熱いオファーをいただいて、それなら仲のいい後輩であり、今後次世代を担う人になってほしい建太と一緒にやりたいと伝えたんです。以前から建太が音楽活動をしたいという話を聞いていましたし、それなら僕とのユニットが足がかりになったらいいなと思ったんです。
──ということは水江さんは選ばれし者なんですね。
けんた 選ばれし者です(笑)。なので、声をかけていただいたときは本当に光栄でした。僕がアーティスト活動をしたいということを踏まえて声をかけてくださったと知って、優しさを感じましたね。でもその好意に甘えるのではなく、僕がいることで“かけ算”となって、多くの人に2人の歌と思いが届けばいいなと思いました。
まっきー ただ、アーティスト活動をするにあたって、本業である俳優業をおろそかにすることだけは避けたかったんです。それと、荒牧慶彦と水江建太という俳優2人がやっているからこそ面白いという、いい関係値を作りたいという思いがあったので、期間限定で活動を始めました。そのほうが集中してユニット活動ができると思ったんですよね。好評だったらまたのちのち考えればいいだけの話で、とりあえず今は全力で2人で音楽をやろうと思っています。
けんた まっきーさんから期間限定で活動すると聞いたときに、面白いなと思ったんです。しっかりとした意思もありますし、中途半端にはやらないぞという気概も感じて。僕も役者としての軸はブラしたくないですし、やるのであればアーティスト活動にもまっすぐ向き合いたいと思ったので、期間限定はすごく理に適っているなと。
──水江さんは以前からアーティスト活動がしたかったとおっしゃっていましたが、もともと歌うことに興味があったのでしょうか。
けんた そうですね。僕は学生のときからギターを弾くのも歌うのも大好きで、曲も作っていたんです。でも、当時はまだどこか中途半端な気持ちだったんですよね。表舞台に立たせていただくようになって、いろいろな経験をしていく中で、いつしかアーティストとしての自分を出していきたいと思うようになりました。
まっきー 曲を作るときって、音が降ってくるの?
けんた 楽器を弾いているときに、「このコード進行、いいな」「いい曲書けそう」となる感じですね。
まっきー すごい! SNSにアップしていた曲は聴いたことがあるけど、まだまだストックがありそうだね。よかったら、まっきーとけんたでオリジナル曲作る? 僕が歌詞で、建太が作曲!
けんた おお! すごいですね。いいかもしれない!
まっきー キングレコードさんからすぐにはOKはもらえないと思いますけど(笑)。
けんた そうですね(笑)。
2人が積み上げてきた関係値
──さて、1stシングル表題曲「Calling...」は、作曲をkaniさん、作詞を山崎寛子さんが手がけています。お二人にとってどんな曲になりましたか?
まっきー 歌詞にある、「僕だけじゃ描けない夢を君が鮮やかに彩った」というフレーズが、僕ら2人の関係値や成り立ちにしっくりくるなと思いました。僕だけではアーティスト活動をしていなかったですし、建太がいることによってその夢が叶ったんです。建太からも、そう思ってもらえているのかなと思っていて。
──荒牧さんは先ほど「水江さんに次世代を担う俳優になってほしい」とおっしゃっていましたが、荒牧さんが感じる水江さんの魅力は?
まっきー そうですね。一番は、俳優活動を、いい意味でビジネスとして捉えているところに共感しました。俳優というものを客観的に見て、どう動くべきか、建太はわかっている気がするんです。僕はそういう考え方が好きですし、何よりも舞台に立ったときの建太の魅力がすごいんです。それに、すごく懐いてくれるんですよ。
けんた うれしいですね。まっきーさんには右も左もわからなかった頃からお世話になっていて。本当に優しくて温かい、尊敬できる先輩だなと思っています。
──相思相愛だったんですね。
まっきー そうですね(笑)。
──水江さんはこの曲からどんなことを感じましたか?
けんた すごく素直な歌詞だなと思いました。僕とまっきーさんが積み上げてきた関係値も反映されていますし、役者としての考え方が歌詞とすごくリンクしているなって。
──ちなみに配信リリースされた「Calling... ふたりの鼓動ver.」にのみ、お二人の心音が入っているそうですね。
まっきー そうなんです! 自分の心臓にマイクを当てて、鼓動の音を録音しました。建太が歌っているときは僕の心臓の音が入っていて、その逆もあるんですよ。いつでも2人が寄り添っているイメージを感じてもらえたらうれしいです。
けんた 実際に心音を聞いて、まっきーさんと僕の心音の速度が全然違ってビックリしました。
まっきー ファンの皆さんにも話しているんですが、実は僕、高度徐脈で心臓の音が普通の人よりも遅いんです。
──そうなんですね。そもそもなぜ音源に心音を入れようと思ったんですか?
まっきー 病院で全身麻酔を受けたときに脈がずっと落ち着いていて、お医者さんにビックリされたんです。「君、全然緊張しないの⁉」って。そのエピソードを鮮明に覚えていたので、録ってみたら面白いかなと。
──普段からあまり緊張しないほうなんですか?
まっきー いや、舞台の初日は緊張しますよ。ただ、全身麻酔のときは「早く治してくれ」という思いが強くて、逆に落ち着いていたんです。
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俳優だからこそできること